サムライ8 八丸伝 第15話 八丸の「義」感想③
「サ姫様 ムジン様がお亡くなりになられ
厳戒態勢が敷かれているこの状況で――――
外へ出ると言うのですか?
アンまで!」(ウーン姫)
「狙われているのは
アンの運命の侍八丸だ
それに…この星に留まれば
次の刺客がやって来る
移動していれば
捕らえられにくい」(葉芽道)
「……」(ウーン姫)
「……」(アン)
「アン…」(ウーン姫)
「は…はい」(アン)
「八丸様を大切になさい」(ウーン姫)
「は…はいっ!!」(アン) ←ココッ!!
<ゴソ><ゴソ>(八丸)
「!」(八丸)←除外
「わ…私も…一緒に行かせて下さい」(アン)
「……
オレ……
今までの自分が不幸だと思ってたんだ…
だからアンに嘘ついて隠そうとしたんだ…
昔の事…
でも父ちゃんはそんなオレとの今までを
”楽しい生涯だった”って言ってくれた
父ちゃんとの事を思い出せば思い出すほど
オレもそうだったんだって気付いたんだ」(八丸)
「…!」(アン)
<スッ…>「…オレは今だって
本当はガリガリのつまようじと変わんない
でもせいいっぱいアンの事を守るかと誓うよ」(八丸)
「それは嘘じゃない」(八丸)
「わ…わかりました…」<クルン>(アン)
「!」(八丸)
「じゃあまず…
さ…最後までひ…人の話を聞いて下さい」(アン)
「……は…はい」(八丸)
「そ…それから」(アン)
「!」(八丸)
「さ…最後まで……
私の事を守って下さい……」(アン)
「よ…よろしくお…お願いします…八丸くん!」(アン)
「こちらこそよろしくアン!」(八丸)
今回のお話で八丸のセリフにかなりの大きな変容があることにお気付きの読者様は多いかと思います。一つは達麻に対する八丸の言葉遣いが微妙に丁寧になっています(笑)。それと「!」が増えてるんです。年末の紅白歌合戦で会場席の得票を観測する日本野鳥の会に八丸の「!」を数えてもらったんですが(ウソ)、五回(達麻との会話で三回、アンちゃんとの絡みで二回)ありました。それ以前のデータは面倒臭いので割愛しますが、八丸の脊髄反射的なガチャガチャした反応が治っていますね。
僕は八丸みたいなガチャガチャした子が苦手でどうしても関係を遠ざける方向に動いてしまうんですが、このくらい落ち着けたら何とかなると思います(笑)。でも、やっぱ変わり過ぎてて気持ち悪いです。目つきもしっかりとして落ち着いたし、真面目な空気がわからずにふざけてしまう悪癖が影を潜めています。僕はその道の専門家ではありませんが、これは医学的見地からは別人の判定が下るレベルに思われます。そして、それは達麻に対してだけではなくアンちゃんに対しても堅持されていて、八丸はかなり男前でした。
ところで、この件(くだり)でアンちゃんが八丸らに同伴する事が確定しました。僕は葉芽道にも八丸のお兄さん的な立ち位置で同伴して欲しいと思ってたんですが、何だかかなり微妙です。この星の守護侍がムジン以下全滅してますからね。そんな時に葉芽道まで居なくなったら困りますもんね。アンちゃんがウーン姫に出国の許可を貰う時の葉芽道の感じから察すれば葉芽道は一緒に行かないっぽいですね。達麻と八丸のジェネレーションギャップを埋めるのに葉芽道は適任なだけに何とかなればいいのになー…と思いますが。
八丸は既にありのままの自分を受け入れて、それを肯定できて居ますので、アンちゃんに対してもフラットなのですが、アンちゃんはそれに対して何で違和感を抱かないのでしょうか?前回で八丸とアタさんの戦いにアンちゃんも臨場していましたけど、こんなに…別人に生まれ変わりましたー!!みたいな変わりようですからね。それが父の屍の上にある出来事とは言え、こんなに短時間に変われるなら誰も苦労しませんけどね。だからアンちゃんには多少なりとも八丸の変節には戸惑って欲しかったです。
それとウーン姫がアンちゃんを優しく送り出した後にアンちゃんが嬉しそうな顔で前かがみになるじゃないですか?!その時、パックリと開いた襟元からお胸の谷間が見えますけど、僕はこれが三度の飯よりも大好物です!!でも、どうして女の子ってこういう感じの胸の谷間が強調されるような服を着るんですかね?そんな格好したら、もうそこばっか見ちゃうので許して貰えますか?(オマワリさーん!!この人です!!)Tシャツでも首回りがめちゃくちゃ余裕あって、そんなの着て寒くないですかー!?って(笑)。
でも、女の子にとって「可愛いは正義」なんですよね。ええ…可愛いのはオッチャンも好きですもの!!大好きですもの!!正義ですとも!!だから凝視しちゃうんだけど、申し訳ないけどそれは本能なので許して下さい(笑)。しかし、こんなめんこいアンちゃんに告られているような状況で、しかも八丸の生家で二人きり…達麻や早太郎すら近くにいなさそうなのに何で二人が事に及ばないのか不思議です(笑)。ここはアメリカンバッファロー達も近場でアップしてたと思うんですが、空振っちゃったみたいですね(笑)。
続きまーす!!
サムライ8 八丸伝 第15話 八丸の「義」感想②
「……かつて
武神不動明王に仕える一人の侍がいた
その男…他の流派のどこにも属さず
意を唱え新たな流派を立ち上げる
…それが——
烏枢沙魔流…初代党首
その名は——」(達麻)
「!」(八丸)
「カーラ
星々を簡単に消失させるほどの力を持ち
この宇宙のどこかで今も暗躍し
星々を消し続けている
我ら金剛夜叉流は
カーラを止め続けてきた」(達麻)
「!」(八丸)
「……今もなお
我が師は何世紀にも渡って
奴らを止め続けている
だが…
同志の一人だった侍が
我々を裏切り
カーラの右腕となった…
無比力のアタだ」(達麻)
「何で…敵側に?」(八丸)
「色々あったが
簡単に言うなら私欲のためだ
…アタは強者だった
烏枢沙魔ではさらに力を得……
この銀河の星々を破壊して回っている
拙者は奴らを止めるため我が師より
”銀河を救う力”を秘めた
「パンドラの箱」と
その箱を開けるとされる侍の——
7つの鍵を集める事を託された
烏枢沙魔流は対となるもう一方の箱
「マンダラの箱」をすでに手に入れているようだ
”銀河を滅ぼす力”——を持つという箱だ
もしこの箱が開けられてしまえば
カーラの思惑は成就してしまう」(達麻)
「それ…アタが言ってたやつですよね
不動明王がもってたっていう…」(八丸)
「どちらの箱も開けるには
選ばれた7つの鍵が必要になる
カーラはそれを人工的に作った鍵で開けようとし
失敗したようだ…
…お前の父が…
連れ出し隠したことによってな」(達麻)
「!」(八丸)
「…あいつら言ってましたね…
父ちゃんの事「博士」って…
なんとなく話が見えてきましたよ
…オレは…烏枢沙魔流によって
敵の持つ箱の鍵として造られた…
父ちゃんによって…
オレは銀河を滅ぼす鍵でもあり
同時に——
銀河を守る鍵にもなってたって事か…
…師匠は何でオレがパンドラ…って箱…
それを開けられる鍵を持つ侍だって
分かったの?」(八丸)
「……
師が拙者にこう言った……
目の光を失いこの体になったのも意味があると
拙者は目が見えぬ……
だが時として全てが見える時がある
阿吽がな
お前が侍となる時…
拙者は見たのだ
白い侍魂の刀を持ち
姫と共に力強く立っている
立派な侍の姿を…!
その時に感じたのだ
この子で間違いないと
…侍にはそれぞれ役目がある
それが侍の「義」だ
拙者は箱と鍵を探す事
そしてお前は……」(達麻)
「…オレの事…
信じてくれるんですね……」(八丸)
「お前の目はアタとは違う」(達麻)
達麻の説明によると…武神不動明王という侍が存在していて、その段階で他にも侍が存在し、既に他流派が分化していたようです。侍とはロッカーボールの儀式によりサイボーグの身体を得た元人間ですね。それで流派というのは金剛夜叉流などの侍を括る社会を意味すると言えます。この時点で金剛夜叉流を含む四流派が分化していたかまでは不明です。カーラは不動明王直下の侍で、新たな流派である烏枢沙魔流を創設したとあります。これが最後発とすれば四流派はこの時点で在ったんだろうな…と思います。
それで烏枢沙魔流の頭首であるカーラが宇宙を消し去ろうとするのを金剛夜叉流の頭首である夜叉さんが止めてる…何世紀にも渡って。第一話「1つ目の鍵」の冒頭のアレと繋がったのね。そして、達麻の一番弟子が烏枢沙魔流に寝返ってカーラの右腕という事だからNo.2ってとこですね。でも、ここまでは「カーラ」という名前以外は物語を読み込んでいれば凡そ見当が付く内容ですね。それならば、遥か彼方の宇宙の果てで夜叉さんとカーラさんが剣を交えるワンカットで済みます。その程度の情報に過ぎないという事です。
そして「パンドラの箱」が正六面体の箱で、「マンダラの箱」が球体。「マンダラの箱」は既に烏枢沙魔流の手にあって「合鍵計画」によって「7つの鍵」の人為的な生成が試みられたが七人ではなく八人目の八丸が発生してしまった為に計画は頓挫している…と、これも既出の情報です。何か…これでは作画の間に合わなかった深夜アニメの総集編みたいなお話ですね(笑)。まさか…第一部完ですか!?的な雰囲気が今話は全編を通して流れてて、物悲しい…というか何と言うか…アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ…
しかし…達麻は八丸が「パンドラの箱」の鍵だと認識していますけど、八丸は烏枢沙魔流の「合鍵計画」で造られた「マンダラの箱」の鍵の一部…恐らく「七つの鍵」のそれぞれの要素を少しずつ併せ持った特殊な存在の筈です。達麻は八丸のロッカーボールの儀式に臨場して、その時に「白い侍魂の刀を持ち姫と共に力強く立っている立派な侍の姿」を見たから八丸が「パンドラの箱」の鍵で間違いない!!としていますが、ちょっと強引に感じます。これは…二つの箱の共通の鍵という認識で良いのでしょうか?
でも、何でここで達麻が見えない目で見たという八丸の儀式でのイメージを出すかなー…って、僕は思うんです。何で第一話でもっとボヤッとしたイメージでもいいので出さなかったんでしょうか?あの時、達麻は八丸を「1つ目の鍵」と断じてたのに。それが伏線としてあれば八丸とアンちゃんの出会いだってもっとドラマチックになったでしょうに。今、ここでこんな風に見せられても、そ…そうなんですか?くらいの反応しか出来ません(笑)。この部分の感想が右から左なのも同じ理由です(笑)。
達麻が八丸に「お前の目はアタとは違う」から信じると言ってますが、達麻がアタを弟子として迎え入れた以上はアタさんも八丸の頃にはこういう澄んだ目をしてたんだと思います。これが『NARUTO -ナルト-』のヒルゼンと大蛇丸の関係みたいに「才能」のみに期待してしまった過ちではないと思います。つまり、アタさんはどこかで大きく変質してる可能性があるという事であります。それには十中八九「ハンナ」(第14話「父の秘密」)という人物が関わっているんではないかと、僕は思います。
それは久しぶりに師弟が再会した折の慇懃無礼(いんぎんぶれい)なアタさんが達麻に告げた「バク姫(の件)」(第11話「ふざけたマネを」)と同種のネタです。ここで僕らはどうして達麻が今のように存在して、同じようにアタさんがどうして今のような行動をするに至ったのかに想いを馳せるべきだと思うんです。僕のする作品の考察とはまさにそれでありまして、それぞれのキャラの立場にて立ってみて、必要ならば憑依(ひょうい)して考えるという行為なのです。そこに面白み、旨味というものが在る。
岸本先生の描かれる作品とはそれができる数少ない漫画作品であります。僕はそこに文学的価値すら見出している。作品全編を通した世界観も科学や物理法則のレベルで説明できるレベルで構成されています。若干、それに反する描写もあったりしますが、その時は烈火の如く毒を吐きますけど(笑)。僕は岸本先生と岸本先生の作品の大ファンだから…大ファンだからこそ物申したいのです。何でもかんでもマンセーで妄信的に受け入れるのではなく曇りなき目で作品を楽しみ、曇りなき心で吟味したいのです。
今話におきましては、こんな総集編ぼような既出の情報のまとめをやるんだったら、侍の剣技(の理屈)とか、各流派の存在の意味とかを先に示して欲しいと思います。このお話の中でアタさんが金剛夜叉流を裏切って烏枢沙魔流に移ってから「さらに力を得」と言ってるでしょ。そこには何かしらの理由があると思うんです。そもそもアタさんが無雲に仕掛けた「金剛夜叉流・黙斬り」の理屈も説明されてませんよね。それの説明の為には各流派の意義や意味の提示が必要になると思うんです。
そもそも何で侍である必要があるんでしょうか?切腹して一回死んでサイボーグになって、それでも五体満足の人型になって、刀を振り回す剣術で戦って、金剛夜叉流とか烏枢沙魔流などの流派に統制されて動く必要性…例えば『NARUTO -ナルト-』では「チャクラ」というエネルギーが存在して科学や物理と物語の描写との段差をうまく埋めてリアリティを確保できていました。それと同じように『サムライ8 八丸伝』でも侍として戦う道理というものが必要です。僕はそれが「勇」かな?と思ってたけど違った…(汗)。
そういう説明がないまま、物語が進んでて何だかなーと思ってるのに、ここでまた重複した説明が繰り返されてうんざりです。僕が岸本先生の担当編集者だったら、岸本先生に連載を何週か跳ばして頂いても書き直して頂けるようお願いしたと思います。こんなグダグダな展開で岸本先生の作品を晒す方が忍びないですから。きっと出版社も岸本先生に無理を言って描いてもらってるんだろうなーとは思います。その手前、気安く物が言えないのかも知れませんが、岸本先生のキャリアを汚すよりはマシです。
続きまーす!!(にんにく食べたのでオッチャンの口は臭いぞーッ!!)
サムライ8 八丸伝 第15話 八丸の「義」感想①
「あのアタって奴……
元は師匠の弟子だって言ったよね
教えてもらえますか?奴の事…
…全部」(八丸)
「…その説明をする前に
今の銀河の状況を理解する必要がある
少し長くなるぞ」(達麻)
「…親の仇です
最後まできっちり…
聞かせてもらいますよ!」(八丸)
「……わかった」<ガチャ><ズズ…>(達麻)
「なら己の鍵を出せ
直接つなげる」(達麻)
<ガチャ>(達麻)
<ズズ>
<ズズズ…><カシュ>(達麻)
<パッ>
「!?」(八丸)
「拙者のデジタル意識に
お前を読んだだけだ
こっちの方が話しやすい
始めるぞ……」(達麻)
えーっ……困りましたね(汗)。週ジャンを手にしたら真っ先に巻末の目次を見て『サムライ8 八丸伝』の掲載頁を確認するんですけど、結構後ろの方ですな。先週号もかなり後ろだったけど、今週号もこんな後ろでヤバくないですか?僕の知る限りこういう状態が長く続くと、ついには「岸本先生と大久保先生の次回作に…」と見開きの最終頁のアオリが立ってどこか明後日の方向に主人公と仲間たちが走って行ってそのまま帰って来ないんですけど!!(笑)皆、どこ行っちゃうんですかね!?
そんな事を考えながら『サムライ8 八丸伝』の扉を注意深く見つけて(本文頁の途中から開いてしまうとセルフネタバレになってしまうので細心の注意で扉を探します。麻雀に例えたらテツさんの盲牌みたいな感じです…笑)、そろそろと本文に入ったと思ったら、いきなり「説明をする」と来て、しかもその前に「今の銀河の状況を理解する必要がある」と来たもんだ!!な…何なんだ!?この展開!?となったところに「少し長くなるぞ」と達麻がトドメの一撃をかましてくれたお陰で意識が遠のきました(笑)。
……それで僕は救急車で運ばれた病院のベッドの上に…(ウソ)。ケルベロスさん、お薬増やしておきますねー…アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ…って、あーたッ!!アタさんじゃない、アナタッ!!!!まだ、説明って言うかーッ!!!!と。その時、病床の窓の外に見える最後の枯葉がハラリ…と落ちて、僕のバイタルがフラット<ピーッ…>になって…(ウソ)。いやーこれはヤバイですよ。前回、僕は岸本先生がこの作品を誰の為に考え、何を伝える為に描かれているのか?が分かったと申しましたが、これだとその誰かがどっか行っちゃいますよー。
極めてデリケートなテーマに岸本先生は挑戦されていると思うんです。ややもするとそれは岸本先生が伝えたい少年少女には苦すぎるもんだからオブラートに包んで優しくお口に運んでくれているんです。だから、それがお薬だと気付けない可能性もありますし、何だか分からないから美味しく感じらなかったりもします。これは表現という行いの難しさでもありまして、僕だってこうして書いていて意識的に使わない「ワード」がありますもの。岸本先生が伝えたい相手が僕らおっちゃんやおばちゃんなら何も問題ないんですよ。
せめてオブラートにイチゴ味とかバナナ味みたいなバリエーションを付けてもいいと思うんですけど、岸本先生は結構一本気なところがあって、そういう小手先の技は使わないんですよね。でも、こんな説明、説明って続けたら、メッセージを届けたい少年少女の心が離れてしまいます。別に『サムライ8 八丸伝』が「おっちゃんホイホイ」で結構!!と言うなら別ですが、僕はこのお話こそ少年少女に届け!!と思うんですよ。だから、もう少し、その…構成とか進行を考えてみられては…<チラッ>
…と思うんですが、今や大御所の岸本先生にダメ出しできる編集者も居ないんでしょうね。でも、どんなにいいお話でも面白くないと読まれませんからね。これじゃーまるで岸本先生が「裸の王様」みたいじゃないのさッ!!って思うのは僕だけでしょうか?いやー前回のお話で僕的には一段落して、さぁ!!これからだぞッ!!と思って、月曜日が楽しみだったんだけど、何でここでその想いをぶった斬るかね!?こんなのお話の冒頭で無雲に異変が起こって、「説明は後だッ!!」でいいんですよ。
もっとお話を転がしてですねー…その流れの中で説明を挟んで八丸に理解させれば充分ですよ。行動と学習が一体になってないと言うか、今は座学の時間…みたいに動きが乏しい。だから、船を漕ぎそうになる…<コクッ><コクッ>ってね(笑)。これは船頭のお話じゃなくて侍のお話なんだから!!もうこうなったらレジュメを先に配って、それで済ませちゃえば!?って思うんですけど。おーい!!少年少女!!??大丈夫ですかー!!??『サムライ8 八丸伝』を読んでますか−!!??
それと、八丸に違和感がアリ過ぎる。父親の死で覚醒した…にしても、目つきとか立ち方とか、振る舞いまでもコロッと変わり杉。こんなに短時間で人は変われません。そりゃパパは八丸を大切に育てられたし、上手に導かれたんだとは思いますが、あの八丸が…前回のエピソードが如何に重大であろうと、こんなに短時間で人の性根は治りません。しかし、これが「本来の八丸の姿」なんだよ…というのであれば、パパが八丸を薬漬けにして前頭連合野の働きを阻害してた可能性すらあるから怖いです。
医学的、医療的に八丸の発達をパパが抑制してた…というのは、前回のいい話に泥を塗るような種明かしですよ。それにそもそも以前の八丸みたいな子には「ヒーローになる必要はないんだよ!!」と導くのが教育からでも医療からでも適切なアプローチだと思うんです。それが今話では八丸がもう全くの…別人になっちゃってて、薬抜けましたー!!としか思えなくて、それでもこれが「八丸の本来の姿」と言い張るなら、じゃ…以前の八丸みたいな子はどうしたらいいんだよ!!って、僕には思えるのでかなり悲しーんすけど。
続きまーす!!(たまに毒のように塩水を吐く磯辺のイソギンチャクだぞ…笑)
サムライ8 八丸伝 第14話「父の秘密」感想④
「……」(パパ)
「……」(八丸)
<ギュ…>(八丸)
「…オレの方こそごめん
ずっと長い間…オレが父ちゃんを
苦しませてたんだな…
……わがままで
いつまでも……
世話の焼ける…クソガキで……」(八丸)
<サー……>「だから…だろうな」(パパ)
「楽しい…生涯…だった」(パパ)
「まったく……
お前が息子で…よかった…よ」(パパ)
<スッ>(パパ)
「!
父ちゃん……」(八丸)
「!」(アン)
「八丸を…守ろうと……
して…くれたね…」<スッ>(パパ)
<スッ>(パパ)
「護りたいものが…あるのは…
それが——きっといい人生なんだ」(パパ)
「八丸…
……これからはこの娘のために強くあれ
そして……守って…やれ
そして……この銀河を守って…やれ
アタを……止めるんだ…
…できるか?
八丸…!」(パパ)
「……」(八丸)
<スッ>(八丸)
「分かった……
またやってみるよ…オレ」(八丸)
「さぁ…八…丸
…親…孝行は…
その…辺に…しろ…」(パパ)
<ザアアア><アアアア>
(出発の時間だ…)(パパ)
第11話「ふざけたマネを」でアタさんに尻餅をつかされた八丸をアタさんから守るべくアンちゃんは両手を広げて行く手を阻みました。普段はめんこいアンちゃんが<キッ>と唇を真一文字に結んで剣豪・アタに立ち向かう姿は巣を襲う蛇に果敢に立ち向かう母鳥を思わせました。僕が達麻であれば、アンちゃんの中に「勇を見た」と告げた事でしょう(笑)。それをパパは見逃さなかったようです。死に際にあってもアンちゃんをちゃんと評価し、それをアンちゃんに伝える事を忘れていません。
人が人との関わりにおいて何が大切かと申しますと、それはちゃんとその人を見る事だと僕は考えています。僕がアタさんがワルだけどクズじゃないと思うのは、アタさんがちゃんと人が見れる人(サイボーグだけど…)だからです。それはアタさんなりにその内面にしっかりとした軸があり、それを中心に彼の思考というものが回転している証しであります。僕はそれを「芯」と、よく表現しています。或いはそれを「自己」…つまりは「アイデンティティ」と考えて差し支えないかと思います。
それはアタさんが自分の頭(脳)で考えて物事を処理している証拠であります。結果的にそれが善行か否かは別のお話であります。立場役割を抜きにして素のアタさんをちゃんと見た時に、アタさんは決してクズではなく、寧ろ魅力的で興味深いキャラクターだと、僕は考えています。お話がアタさんの方に逸れてしまいましたが、パパさんもちゃんと人が見れる人なのだと、僕はお伝えしたかった。そうして、アンちゃんの善行…良い面を評価し、それをアンちゃんにフィードバックしているんです。
子供らにその子の長所をちゃんと伝えて伸ばしていく…それは良き教育の姿でありましょう。できない事、苦手な事を責めるのではなく、その子の得意な事や長所を補強して伸ばす方向に教育はもっと発展するべきだと、凸凹な能力の子供が苦労しておっちゃんになったケルベロスとしては激しく思うのであります。その子をちゃんと見てるから、その子の良いところが見えるのです。ちゃんと見ない人は悪いところばかり拾ってくる。そういう接し方は全ての子らにとって不利益しか齎しません。
だから、達麻達の立場からは敵であり、悪であるアタさんであっても、ちゃんと人を見て行動できている点において、僕はアタさんを評価している…と云う事なのであります(…あッ…またループしちゃった…笑)。アンちゃんはパパさんの言葉をしっかりと心に刻んでこれからも精進して欲しいと思います。そして、ここで亡くなってしまったパパさんをズーッと忘れないで欲しいと、僕は思っています。いつまでもその人を忘れないのが、故人に対する最大の供養だと、僕は信じているからであります。
誰かを護りたいと思う気持ち。それがその人の「義」であり、それを行動に移す覚悟が「勇」であろうかと思います。僕らおっちゃんやおばちゃんともなれば、護らねばならないモノが多くあります。だから、それぞれに「義」があり、それに伴う「勇」も既に携えております。それは何かというと、この社会の荒波で生きているという事であります。だから、これまで岸本先生がいろいろと批判されながら(←お前がなー)続けて来られた説明がまどろっこしく感じられて(←まだ言うかー!?)ならなかったのです。
しかし、それでも説明(←説明、説明って、お前がしつこいわー!!)をやめなかったのは少年少女に伝えなければならなかったからです。そもそも「週刊少年ジャンプ」ですから、大っきいおっちゃんとかおばちゃんはお呼びじゃないんですよ(笑)。少年少女に「義」とは…「勇」とは…を、岸本先生は伝えたいんですよ。だから、こんなにも丁寧に説明(←やだッ!!またループしちゃう!!)してたのです。そのメッセージを少年少女はきちっと汲み取って貰わないとおっちゃんは死に切れません(汗)。
別に少年少女が闘っていない!!とは申しません。僕もそうでしたが、結構な修羅場を日々経験しているのですよね。でも、皆さんが迷いながら苦しみながら歩んでいけるのは誰かに護られているからなのです。もっと云うと、誰しも誰かに護られているのであります。人は独りでは生きていけない生き物なのであります。その事に気付ければ自然と感謝というものがその身の内から湧き上がってくるのを感じられると思います。忘れないで欲しいんです。貴方達は誰かに愛されているのです!!
幼い時、若い時にはそれが見えないのだと思います。でも、空気が皆さんの周りを満たすように、否…それ以上に貴方達は愛に満たされているのです。それは貴方達が「護られる側」にいると云う事であります。でも、それを負い目に感じる必要はありません。何故ならば、僕らは護りたいのであります。与えたいのであります。パパさんが自分の命を賭してアタさんを止めたように、自分の事なんかどうでもいいくらい大切に思っているのです。そういう人が貴方達を護っている事を忘れないで欲しいのです。
そして、いつの日か…今度は少年少女達が八丸のように、また誰かを愛して欲しいと、僕らおっちゃんやおばちゃんは心から願っているのです。愛とは「与える事」であります。「唯々、与える事」に尽きるのであります。逆に愛される事は甘えではありません。しかし、愛さない事は悲しい…愛すべき人がいない人生なんて悲しいです。パパさんは八丸とアンちゃんにそれを伝えんとしている訳です。八丸を護れて…八丸の為に死ねて…いい人生だったと告げたいのです。八丸を愛せてパパさんは幸せだった…と。
急激な八丸の成長はまさに主人公特権とも言えるものです。だから、少年少女は焦ってはいけない。ゆっくりでよい…ので、ここに描かれた情景を忘れずにいて欲しいと思います。今は未消化のままでも仕方ない。でも、パパさんの言葉や八丸やアンちゃんの涙を忘れずにいられれば、いつしか貴方達の愛すべき人が現れた時、きっと心の中で弾ける気持ちがある事に気付けると思います。それが貴方達が「護られる側」から「護る側」に変わる時…皆さんが大人になる時だと、僕は信じています。
サムライ8 八丸伝 第14話「父の秘密」感想③
「!」<ポツ><ポツ>(葉芽道)
「…雨が…この状態の
病人をかかえて飛ぶには
逆に危険だ」(葉芽道)
「そんな!」(八丸)
「近くの医療機関を探そう!」(葉芽道)
<ザー…>「……もういい……
オレは…保たん……」(パパ)
「父ちゃん…!!」(八丸)
「違う……胸の装置を
起動した時点で必ず死ぬ…
それが…コレの欠点でな…」(パパ)
「フフフ…
奴らの言う通り
…カンペキなものなど
造れた試しが…
ゲボッ!」(パパ)
「もうしゃべんないで!」(八丸)
「たのむから聞け…八丸」(パパ)
「奴らの言ってた事は本当だ
それに……<ザー…>
……
…一度オレは……
お前を殺そうと…した」(パパ)
「!!?」(八丸)
「……
…七つ子に力を戻す前に——
お前を殺せば…箱は開けられない」(パパ)
「だが…どうしても出来なかった」(パパ)
<ギュ…>
「生きようと…してた
その時…孤独な…
実験しか知らなかったオレに……
何かが起こるのを…感じた
特別な何かが…
だから…お前を連れて逃げ出した……
そして…この星に隠れたんだ……
…父親のフリをして
…お前を守ると決めた…
全てを…秘密にして
…だがどちらも貫き通せなかった
ただの…ハッタリになっちまった
…スマン」(パパ)
<スッ>「……」(八丸)
「ハッタリなもんか…!
どんな侍なんかより
めちゃくちゃ強ェーよ…父ちゃんは!」(八丸)
<ニコ>「……
今まで……ずっと…
騙してきて…悪かった
こめんなぁ…<ザァー…>
だが…これで…素直に死ねる……」(パパ)
「まだ!まだ…
親孝行が足らねーだろォ…!?
ねェ!だからそんなっ…」(八丸)
「これで…いい
本当にお前を縛っていたのは…
生命維持装置…なんかじゃない…
オレ…だった…
お前を護られる側の人間だと
成長も…夢も…やる事全て…
信じてやれなかった」(パパ)
<ギュ…>
「お前は…初めから…
……強かった
いつも…
こ…こんなの
全然乗りたかないね!
強い子…だった
こんなのに乗って喜ぶガキと
一緒にされたくねーんだよ!
オレを心配させまいと
いつも…強がって…くれた
……そして
アタとの闘い…でも……
お前は…もう護る側の侍だ…!」(パパ)
セリフが長いんでアレですが、大体の方は薄々…どこじゃなくて、パパさんが怪しーなとは感じてたと思います。パパさんの訳あり感は達麻も感じてて、家の裏に秘密のガレージとかあって、馬侍の黒馬(キーホルダー)の所定の位置に柄骨をしまってるのを見つけてビンゴでしたっけ(笑)。そもそも八丸の移動式の生命維持装置にロッカーボールを搭載する必要が何であったのか?とか、その前にその2億(円)をどこから調達したんだー(何でルピーじゃなかったんだー!?)ってね(笑)。
血吸・童子切高綱の侍魂が八丸の心臓を動かす動力でしたし、それがまた、八丸から取り出す為の認証キーが八丸の死とセットだった…という知恵の輪みたいな仕組みが、移動式の生命維持装置へのロッカーボールの搭載を必須とした設定と考え合わせれば、八丸が切腹して侍になる既定路線がパパの頭の中にはあったんだろうなー…と、僕は考えていました。こんだけエネルギーとか動力にとんでも技術が適用されてるのに侍魂とかロッカーボールなんてレアで高価なアイテムを使う必要性が乏しいじゃない!!
ま…パパの延命処置に葉芽道の侍魂が使用されてる描写がありますんで、血吸・童子切高綱の侍魂はアリかも知れませんが、ロッカーボールは要らんでしょ!!しかも、馬侍が金目で狙った高綱の侍魂の解除コードが八丸の死だなんて、そんな…殺してちょうだいな設定をするなんて、頭おかしいとしか…おっと失礼…でも、それは最悪の局面で八丸が侍になる選択肢をパパは残したかったんだろうなー…と思うと、パパさんは八丸の将来にかけた保険が危ない橋を渡った先にあるロッカーボールだった訳だ。
それと同じようにパパさんは自分の胸に侍魂の消滅装置を搭載していたんですね。穴ぼこの位置から考えて自分の心臓と引き換えに侍魂を消滅させる装置だったんでしょう。だから、アタさんと再会する前にちゃんと動くか確認してたんですよね。アタさんが自性輪身(侍魂を核として生み出された分身体)で来るとパパは踏んでたんです。いつか来るこの日の為に未完成だった装置を仕上げて…。勿論、それが自分の命と交換上等でも…。パパさんは自分は死んでも八丸を護る決意だったって事だ。
生まれたての赤子だった八丸の小さな手で博士の手を<ギュ…>と握ったのがきっかけでしたが、恋の始まりに理由が必要ないように、それが博士を八丸のパパに変えたのです。博士は八丸と出会ってしまった…のであります。その事実さえあれば、人がいろんな努力を重ねて人に成るように、博士は八丸を護る事で八丸のパパになっていけるのだと、僕は思います。そこにはきっといろんな感情があったでしょうが、その中核には間違いなく「愛」があったと思うんです。ところで「愛」って何だと思いますか?
愚問かも知れません。でも、言語化して「こうだッ!!」っと言い切れる人って少ないと思います。それに人それぞれに思い浮かべる「愛」が違います。僕は「愛」と「憎しみ」はそう違わない…なんて少し前に書いたりもしました。いろいろ考えてると分からなくなってくるけど、何も考えないでも「愛」を僕らは感じますし、自分が何かに対して「愛」を向ける事に気付けます。皆、「愛」を携えてはいるんです。これは誰しも「愛」を認知できているけど、認識出来ている人は少ないという事なのではないかと思います。
「愛」は「呪い」である…とも、僕は書きました。僕には八丸の背中に繋がっていた生命維持装置のチューブは愛の鎖のようだと思えました。それは侍になり物理的に八丸と断絶した後も見えない鎖として八丸の背中に繋がっていた事も、僕は感じてました。それをアタさんと闘う中、八丸は自分の背中に繋がった見えない鎖を一つずつ外していった訳です。あのチューブとは八丸にしてみれば精神的には「呪縛」のようなものだった筈です。しかし、それはパパにしてみれば純然たる「愛」だったのであります。
それがどういうものであれ、素因数分解していった果てでは、個々の感情に過ぎないのですから、良い悪いの価値観というものは普遍性を失います。それでも物事の良かれ…というものは確かにあるものです。しかし、それはこっち側の想いであり、向こう側でそれが同じ価値を持つかは別の話なのです。それでも、僕は僕が誰かを愛する事に異を唱えるつもりは毛頭ない!!それが相手にとって害悪でしかない局面は否定できなくとも!!パパはその「愛」の一面を八丸に詫びているだけなのであります。
これは僕の個人的で極限に偏った考え方であるかも知れませんが、人は誰かの「愛」というものを絶対的に評価すべきではないかと思います。それがたとえ自分にとって「呪い」であったり「鎖」であったり「檻」であったとしても、「愛」をくれた人の気持ちに率直にフォーカスすべきだと思うのであります。だって、その人は貴方を愛しているんですから!!その人が注いでくれた「愛」に対して感謝するのが人の道なのだと、僕は思うのです。愛してくれてありがとう!!って素直に感謝すればいいんじゃないでしょうか。
「愛」って何なのか!?っていうのは愚問かも知れません。否…愚問です!!そんなのこっち側の問題でしかないのだから。しかし、愛す側と愛される側が一方通行ではありません。僕らは愛し合えるのです!!その道筋がこんがらがってしまうのは何かしらの見返りを無意識に求めているからではないですか?ただ一つ…「愛」について言えるとすれば、それは「与えること」だと思います。「愛」とは唯々、与える行為なのであります。僕たち人間はその情動を抑えきれない生き物なのであります。
だから、パパは八丸を生命維持装置という「愛の鎖」に繋いだのであります。「お前は護られる側の人間だ」と、八丸を「愛の檻」に幽閉したのであります。それはパパにしてみれば八丸に対する最善だったのであります。それがパパの「愛」だったのであります。そこにあるパパの気持ちの芯というものを八丸は感じるべきなのです!!それは「愛」とは何なのか!?に対する八丸なりの答えになるでしょう。そして、それに気付けるか否かこそ八丸の分かれ目…。八丸の人としての分け目じゃないでしょうか?
パパが八丸に「お前は…もう護る側の侍だ…!」と言っているでしょ。それって「愛す側」って意味なんだと思います。パパが八丸を愛したように、今度は八丸が誰かを愛する番なのだと、パパは言っているのです。八丸がこのメッセージに気付けるか?は、八丸がパパに感謝できるか?にかかっているのです。それは「愛の本質」に八丸が気付けるかどうか?という事です。この気付きは人としての大きな潮目であります。少年少女はそれを肝に銘じ、思索を続けて欲しいと、僕は思うのであります。
きっと、その行いにおっちゃんとおばちゃんは涙すると思う。
そこに…その一点に「愛」というものの本質が確かに在るのだから!!
続きまーす!!
何も言わずに読んでみて欲しい…です。僕の「愛について」を…。
サムライ8 八丸伝 第14話「父の秘密」感想②
「…は…八…丸……
ぐっ…」<ドクン><ドクン>(パパ)
「!」(八丸)
「!」(アン)
(父ちゃん…!)<スッ>「……」(八丸)
「ハガミチさん!
このまま父ちゃんを
オレの家まで運んでいける?」(八丸)
「移動は出来るが…
なぜだ?」(葉芽道)
「オレが使ってた
生命維持装置があるんだ!
それを使えば父ちゃんが
助かるかも!」(八丸)
「よし…!
行ってみよう!」(葉芽道)
「アン!」(八丸)
「は…はい!」(アン)
「速く飛ぶ!
怖いかもしんないけど
我慢してくれ!」(八丸)
<スッ>「う…うん!」(アン)
パパが死にそうな時にアレですが、僕はこの件(くだり)で八丸がアンちゃんを気遣えたのがすごく嬉しかったです。パパを自分が使っていた生命維持装置に繋いで延命させるアイデアも機転が利いてていいと思いましたが、パパを自宅まで運ぶのにかっ飛ばすからアンちゃんを巻き込んでしまうのを、このドタバタの中で想定してるんですね。これまで八丸はこういう他者に対する配慮というものが皆無だったので、この格段の進歩がややもすると怖いです。こんなに短時間に人って変われるものなのかしら。
しかし、アンちゃんは八丸にとって大切な人でありまして、きっとパパと同じように八丸はアンちゃんを家族だと考えているのでしょう。まだ男と女の関係ですらないけど、そういう事は関係なしに、人が人を大切に思う気持ちを八丸は育んでいたのです。それがこんな土壇場の状況で…。八丸のこれまでの生活を考えてみても生身の人間との接点は恐らくパパだけです。ネットで他者と繋がてはいましたが、そんなもの記号化された薄っぺらな関係でしかなく…関係というのも烏滸(おこ)がましく思える。
そんな八丸の内面というものを育んだのはやはりパパさんだったと思うのです。八丸は優しい子に育ちました。優しさって何だと思いますか?そんなの分かってるよ!!と思いますよね。でも、それを言語化して説明するのは意外に難しい。このテーマに関して、実は素晴らしい作品がありまして不遜ながら紹介させて貰いたいと思います。夏休みですし、読書感想文の時期ですから、課題図書の指定がなく自由なら司馬遼太郎大先生の『21世紀に生きる君たちへ』を是非ともオススメしたいです。
何たって超短いんです。ものの5分もあれば読破できます。それに高い書籍を買わなくてもネットに全文が転がっています。著作権云々はありますが、この文章がネットに転がっているのは、それ以上に大切な意味合いがありまして、それは一読されれば分かります。僕はイジメが原因で少年少女が自殺する事件が世の中を賑わせた時期にこの作品の存在を知り、この作品のおかげで僕自身も救われたし、誰かを救える足掛かりを得られました。この作品は人類が共有すべき財産なのだと、僕は考えています。
少年少女は勿論ですが、僕と同じおちゃんやおばちゃんももし触れていないのであれば『21世紀に生きる君たちへ』でググって読んで欲しいです。できれば音読していただきたい。僕はこれを読むたびに泣いてしまいます。これは司馬遼太郎大先生の遺書なのであります。21世紀を迎える前に先生は本当にお亡くなりになられました。これは少年少女に先生が残された先生の未来への決意なのあります。大変、有名な作品ですが、もし…もしもご存知ない方がいらっしゃるなら騙されたと思って読んで頂きたい!!
ここに謹んでその一部を引用させて頂きます。
原始時代の社会は小さかった。家族を中心とした社会だった。それがしだいに大きな社会になり、今は、国家と世界という社会をつくり、たがいに助け合いながら生きているのである。自然物としての人間は、決して孤立して生きられるようにはつくられていない。このため、助け合う、ということが、人間にとって、大きな道徳になっている。助け合うという気持ちや行動のもとは、いたわりという感情である。他人の痛みを感じることと言ってもいい。やさしさと言いかえてもいい。「やさしさ」「おもいやり」「いたわり」「他人の痛みを感じること」みな似たような言葉である。これらの言葉は、もともと一つの根から出ている。根といっても、本能ではない。だから、私たちは訓練をしてそれを身につけねばならない。その訓練とは、簡単なことだ。例えば、友達がころぶ。ああ痛かったろうな、と感じる気持ちを、そのつど自分でつくりあげていきさえすればよい。この根っこの感情が、自己の中でしっかり根づいていけば、他民族へのいたわりという気持ちもわき出てくる。(『21世紀に生きる君たちへ』抜粋)
優しさとは想像力であると、僕は教えられました。そして、それは本能ではなく訓練によって獲得できる能力なのであるとも。そういう風に司馬遼太郎大先生は仰られているのだと僕は認識しています。それは脳の鍛錬とも言えましょう。脳の機能とは「心」であります。人は生まれながらにして人ではありません。いろんな経験を積み、人は自己というものを傷付いて気付き築くのであります。そうやって人は人になる生き物なのであります。生まれたままで優しさも思い遣りも人には決して備わっていないのであります。
だからこそ、人は学ばねばならんのです。スポーツに励んで身体を鍛えるように、いろんな事を考えて…心だって鍛えねばならんのです。自分がこれを話せばあの人はどんな気持ちになるんだろう?この行動が他者にどう影響を及ぼすんだろう?それらを考える…想像する力こそ、その人の優しさなのであります。それを訓練するのが人の学びなのであります。本を読んだり、計算したり…脳の機能を総動員して考える力を養う必要が人にはあるのです。それは人が人になる為に必要な試練なのであります。
少年少女には是非とも今、無味乾燥に思えるかも知れない学校での勉強が決して無駄ではないのだと、僕はお伝えしたいです。僕だって皆さんの年頃には、こんな事して何になるの?社会に出た時に必要なの?と絶えず思ってましたもの。でも、皆さんの身体がまだ柔軟なように脳みそだって柔軟なんです!!少年少女にはこれから如何様にも発展できる可能性があるのです。それに若いから生命力に溢れてますから、どんどん傷付いても大丈夫なんです。それは傷付いても治りが速いから!!それは身体だけじゃなく心も一緒なのです。
だから、身体を動かすように心も動かして、いろんなものを見て聞いて取り込んで…考えて欲しいんです!!考えるべきなんです。そうして得られた考える力こそが「想像力」なのであります。それが心の中にあれば、少なくとも自分がされて嫌なことは他者にしなくなると思うんです。優しい人間になれると思うんです。それが学習の目的であります。少年少女が学校へ行って学ぶ理由であります。勉強とはあなたたちの心の運動なのです。あなたたちが人になる為の…優しくなる為の訓練なのであります!!
それを踏まえて、八丸がパパがこんな状態であるにも関わらず、アンちゃんに対して配慮できたのが、すごく喜ばしく思えたのであります。八丸は優しい子に育った事が嬉しくてならなかった。そして、それは偏(ひとえ)にパパが八丸を大切に育てたからなのであります。八丸が誰かを思い遣れるようにパパが上手に育てたからであります。八丸はパパの下、大いに学んでいたのであります。それを少年少女は大切に汲み取って欲しいのです。これまでの八丸の生活を大いに想像して欲しいのです。
続きまーす!!
サムライ8 八丸伝 第14話「父の秘密」感想①
「…!?
オレの……兄弟!?」(八丸)
「そうだ
ボクは一角
…君の兄だよ」(一角)
「!!?」(一同)
「ニャン!?」(早太郎)
「博士から何も聞いてないようだね」(一角)
「博士…?」(八丸)
「そこに倒れている男だよ
ボク達……
七つ子を造った<ザッ>
血の繋がりのないただの博士さ」<ザッ>(一角)
「!!?」(八丸)
「もとい……
八つ子か……
失礼…君の事は忘れやすくてね」(一角)
「…望まれてそうなったんじゃない
八つ子になってしまった
君は偶発的に発生した余りものなんだ」(一角)
「八つ子…?
余り…もの?」(八丸)
「そう…」(一角)
<ズウウウン…>
「ボクら「7人の侍」は
箱を開けるために必要な
「7つの鍵」として造られる——はずだった
けど8人目の君が生まれてしまった事で
バランスが崩れ……
「7つの鍵」の効力が薄れてしまったんだ
八角…君の力をボクら7兄弟に還元して
戻してくれない事には箱が開けられないのさ
だから君が要る
もちろんそうなると君は——
死ぬけどね
でも
それがこの計画の本来あるべき状態だから
分かってほしい
…そもそも造られてすぐ君だけ
死にかけたそうだよ
…ボクらの力を図々しく奪っておいて……
実験の結果から見ても<ブウウウン>
ボクら七人は成功作なんだ
君を除いてね…
君はこの計画の失敗作さ」(一角)
前回、お話の最後に登場した七人の胸にトランプのダイヤが1から7まで刻まれてるのを見て、もしや…!?と思ってましたが、ダイヤの1が一角くんだったのね(笑)。八丸が八角と呼ばれてたんだから、これはエクセルだって間を二角〜七角で埋めるパターンでしょう(笑)。それで八丸に対して一角と「角」に拘るのはアタさん達がキューブ宇宙の住人だからだと思います。多分、それの反動形成でフルタ博士は八丸を八角とは呼ばずに八丸として育てたのだと思います。ちなみに八丸達はボール宇宙の住人ですね。
アタさん(自性輪身)が八丸達を襲う段になって「八角」としていたのを、完璧なまでにスルーして無反応を貫いたフルタ博士に八丸のパパとしての矜持を感じていました。だから、僕は彼を「フルタ博士」ではなく「パパ」と呼称したい気持ちでした。八角をアタさんの追跡から逃れるならば、「八丸」なんて「八角」の近場をわざわざ持ってきませんて。そこにはパパとして八丸に出会ってしまった…いや違うな…出会ったからパパになったフルタ博士の意地みたいなものを感じてなりません。
パパ(あえてフルタ博士じゃなくて)はアタさんが何度も「八角」と言うのを完璧に無視してましたよね。八角じゃなくて八丸だ!!みたいなエクスキューズもなく、これが人生幸朗師匠&生恵幸子師匠のぼやき漫才(…ふ、ふ、古ッ!!)だったら落ちに使えそうなところを完全に使わずに八丸を八丸として認識して断固として貫きました。それは最後の最後までアタさんから八丸を隠し通し、護り抜く…八丸のパパとしてのフルタ博士の決意だったのだと思うのです。
ま…そんなフルタ博士の不自然な動きにツッコミを入れなかったのはアタさんの武士の情けと申しますか、ワルではありますがクズではないアタさんの性根が見て取れる描写でもありました。この物語では科学技術がとんでも技術として発達しています。普通に刀が浮かんでてそれが使用者に着いてきますからね。身体の欠損も簡単に義体化で補えますし、その反面、命というものが軽々しく感じられます。侍なんか、もう人ですらないサイボーグです。腕を斬られても痛くないし、また生えてくる…。
そんな世界観の中で人はどう在るべきなのかを問いかけているのではないかと思うんです。それを考えていると、サイボーグとなってしまった侍の立場が!?…となるんです。僕はこの違和感にこそ、この物語の芯があるんじゃないかと考えています。アタさんを見てて、そんな風に思えてきたんです。達麻も八丸に「勇」を教えようとしてました。紆余曲折の末、八丸はアタさんの脅威を足場にして己の「義」に気付き、行動に移せたのであります。そして、達麻はそんな八丸の中に「勇」を見出しました。
人…人間って何なんだろう?と、僕は考えていました。それが少しばかり分かりにくいから、岸本先生は時代背景を極端に進ませて、人の命とか、人じゃないサイボーグの侍を使って僕らに考えさせようとしているのではないかと、僕は思うのであります。それが何を意味するのか?に関しては、僕を含めたおっちゃんやおばちゃんクラスの人達には説明が無用でありましょうが、まだ護られる側にいる少年少女には難解なのかも知れません。しかし、それをここで僕なんかが明かすのは極めて不遜な事であります。
僕もまたフルタ博士ではなくパパで在りたいと思うので、ここはパパさんのように貝のように押し黙り、この秘密を隠し続けようと思います。たまに不覚にも漏れてしまうかも知れませんが、高齢者の不徳の致すところとお許しください(笑)。夏なんで、お盆も過ぎて、歳を重ねるといろんなお別れを経験して胸にぽっかりと穴が空いてしまうことも多いですが、それを埋める事が供養でもありまして、僕はいろんな事を忘れないでいようと思っています。それは「勇」を失わずに生きていく決意でもあります。
あー…お話がアッチにいってしまってすみません。ここに登場した一角から七角の7人の侍は八丸の八つ子の兄弟で、八丸は”ANOMALY”として偶発的に発生した余計な鍵(?)だったようです。”ANOMALY”とは「異常」とか「原則からは説明できない逸脱」という意味です。恐らく八丸の存在が一角から七角までの能力を少しずつ奪って薄めてしまったんですね。1/7×7が八丸で、一角から七角が6/7の状態なのかな?だから一角が若干怒ってますよね。八丸が図々しいって(笑)。
それで一角から七角までの鍵としての効力が不全になって箱が開かない…という訳だ。だから、アタさんは八角が必要なんですね。「7つの鍵」が揃ってるんならサッサと箱を開けろやーなんてお下品な事を言ってしまってスマセンですた(笑)。箱を開ける為に八丸はこの子らとアタさんらに狙われ続けるんですね。これでやっと闘争の構図が見えてきました。これまでは何と戦うのか?何の為に戦うのか?がハッキリと見えてませんでしたから、いろいろと整理されて何だかスッキリとしましたー。
「まさか…!
お前達はすでに「パンドラの箱」を…!?」(達麻)
<スッ>「そっちじゃない
「マンダラの箱」の方ですよ…師匠」(アタ)
「!!」(達麻)
「…2つとも手にするのは
我々 烏枢沙魔流だ
そして…
これらを手にしていた前任者
武神——不動明王と同じ神となり
宇宙を手にする!
八角を連れ戻し
我らがこの宇宙をあるべき姿に戻す!
まずはお前達金剛夜叉流を含めた
他の4流派
そしてその息のかかった宇宙域を全て
消す事から始める!」(アタ)
「それを…ハンナが望んでいると
思うのか!?
裏切り者になってまで…!」(達麻)
「……
先に裏切ったのは
オレじゃない…
神です」(アタ)
「だから神に成り代わると言うのか!?
神の名を軽々しく口にしているのは
どっちの方だ」(達麻)
<ジジ…><ジジ…><ボロ><ボロ>
「勇を失ったな…
アタよ」(達麻)
「次に会う時があれば…師匠
アナタは全てを失う
最後に置き土産がある
受け取るといい…」(アタ)
<ブウウウ…><ボロ><ボロ>
「……」(土産だと…?)(達麻)
<ボロ><ボロ>
僕は達麻がこれまで50年費やして八丸が8人目だというのと、アタさんとニリ姫が8人目の子と言っていたのを重ねて考えてましたけど、よく考えたら達麻は天然物の鍵を探してたの対して、アタさん達は養殖物に走ってたんだから、全く違うものですよね。偶々、8人目の八丸だった…っていうだけなのね。でも、偶々とか偶然って言いますけど、それには何かしらの意味があるものです。僕は仕事ではどんなに小さな違和感であっても、それを偶然で済まさず何でだろう?と立ち止まるよう厳に戒めています。
作品の考察もそれと似てますね。例えば偶発的に八角が発生したとされていますが、それにだって意味があると思うんです。どんな理屈で人工的に「鍵」を拵えたのかは知れませんが、「7つの鍵」の生成において、八丸(八角)の存在が全体のバランスを崩したとも言えるし、逆に八丸の存在があったからバランスできたと考える事もできると思うんですよ。もしかしたら、それは「鍵」の意思だったのかも知れません。それって、考えようによっては八丸が「7つの鍵」の「鍵」とも言えますまいか?
アタさんの話に拠れば、烏枢沙魔流は既に「マンダラの箱」を入手していて、それを元に一角から七角の「7つの鍵」を設計したんじゃないかと思うんです。やっぱ「鍵穴」があって、それを解析して遺伝子操作したとかね。通信でいう「プロトコル」に相当する部分に何らかのプロテクトがあったかで、抑止が働いて八丸が発生したとしたら、もうこれは偶然ではなく必然なのであります。きっと「マンダラの箱」を開ける為の要件として、この遺物を残した不動明王の遺志なのだと、僕は思います。
ま…第一話「1つ目の鍵」を何度も読み返して、箱が二つ存在する事は分かっていましたけど、達麻の感じからすると丸い方が「マンダラの箱」なのでしょう。そして、それはちょっと厄介な存在のようです。だから、達麻としては八丸は死守せねばならん…と。恐らく、「パンドラの箱」と「マンダラの箱」を二つとも集めたら、不動明王みたいな「神」になれるのですね。そして、それが宇宙の覇権を握るのと同義な訳で、これで夜叉さんが抑えてる敵は烏枢沙魔流のボスだと考えてヨカかと思います。
それと剣術(武式)の流派が烏枢沙魔流+金剛夜叉流を含めた4流派…という提示がありましたから、計5流派がこの宇宙を統べる勢力と考えられます。そもそも、ロッカーボールが侍を創り出すシステムが先か不動明王が先かが分かりませんが、少なくとも不動明王は自分亡き後の宇宙の統治を任せるに値する存在を選別する為に「パンドラの箱」と「マンダラの箱」を残したのではないかと思います。しかし、それで多くの人が亡くなり不幸が生まれるのだからもっと別のやり方があったと考えるのは野暮なのでしょうか?
続きまーす!!
暑中お見舞い申し上げます(190812)
お疲れ様です!!ハチマルのケルベロスです!!全てのアクセスに心より御礼申し上げます。世の中は夏休み真っ只中!!皆さん、暑さにめげず、恙無く楽しんでますかーッ!!??(アントキの猪木風)元気があれば何でもできる…イチ、ニー、サン…ダーーールィ…ですよね(笑)。暑くて…。僕は世の中がお盆休みの中ですが、お仕事に勤しんでいましてなかなかヘトヘトです。汗かいて帰ったらちゃんとビール飲んで喉を潤していますので大丈夫です。それ…ヘトヘトじゃなくてベロベロですわ(笑)。
ところで、週ジャンが合併号だったんですよね。…ということで、第13話「勇を見た」が二週分だったんだ…。その割には内容薄くて後半アレで…(汗)。新しい作品が軌道に乗るのって難しいのね。でもきっと、岸本先生ですから、きっちりと整えてくれると思います……。ワンピの尾田先生もどこかで言ってましたけど、「二発目当たられたら本物!!」なんですよね。しかし、そんなこと言ったら高橋留美子大先生は化け物?!になるけど、岸本先生のファンとしては見守るしかありません。
僕のこれまでの漫画史において『NARUTO -ナルト-』とは正に金字塔でありまして、それを描かれた岸本斉史先生とはやはり大先生であります。特にキャラの細かな表情の描写とか、視線の先の先…の、そのカットには描かれてないコマの外が大きな意味を持つ…僕の中で漫画を文学に伸し上げた偉業を成し遂げられたのです。先生の作品が起点になって、僕の作品考察が始まったのです。解釈の余白が多い…と申しますか?行間に出汁が利いてる漫画作品って岸本先生のしか、僕は知りません。
何でか知りませんが、今、かなりアルコールが口から胃に流れ込んでまして、かなり酔っ払ってて文章が覚束きませんが、僕は岸本先生のファンなので『サムライ8 八丸伝』の考察を続けるつもりです。岸本先生だって人間だからいろいろあると思うし、カラオケで自分の十八番に一番最初に飽きるのって自分じゃないですか?!それと同じように自分のやる事が悉く使い古されたように感じるのが自分でありまして、傍目には理解できないような手詰まりを先生は感じていらっしゃるのかも知れない。
目新しさとか、意外性とか、初めてじゃないからこそ選び難いものです。それに、先生自ら険しい道を選ばれている…というのも確かにありまして、何もそこまでしなくても…との想いもあります。でも、週ジャンをわざわざ買って読むって岸本先生が関わっているからであります。岸本先生が週刊で作品に関わる…というのが、僕にとって何より尊いのであります。だから、文句を吐こうと次の週ジャンが待ち遠しいのであります。長い長い一週間ですが、皆様と共に待ちわびよう!!と思っております。
暑き折、お身体にはご自愛を。暑中お見舞い申し上げます。
よい夏休みを!! ハチマル ケルベロス
サムライ8 八丸伝 第13話「勇を見た」④
<ドクン><ドクン>
「助かるの…?」(八丸)
「キーホルダーとオレの侍魂で作った
簡易的な治療装置だ…
今のところはもってるが……」(葉芽道)
<ドクン><ドクン>
「体に何か特別な機械が
埋め込まれてる…
そのパーツと内臓の一部が
跡形もなく消えていて
…………
このままでは……」(葉芽道)
「ねぇ!
必要ならオレのも使ってよ!」(八丸)
「いや…そういう問題ではないんだ」(葉芽道)
「……」(八丸)
「おそらく……
アタと共倒れを狙った
装置だったのだろう
八丸…お前をいつでも守れるよう
…側にいる父として己の体に
仕込んでいたのだよ
お前を頑なに外へ
出したがらなかったのも頷ける」(達麻)
「お前達金剛夜叉流は
フルタについて何も知らないようだな」(アタ)
「!?」(一同)
<チリ><チリ>「そいつは…
烏枢沙魔流の元博士―――
「合鍵計画」の主任だった男だ」(アタ)
「貴様まだ!?」<スッ>(葉芽道)
「………合鍵…計画だと!?
何だそれは!?」(達麻)
「例の箱たちを開ける鍵を
意図的に作る計画ですよ」<ブウウウウン>(アタ)
「!!」(達麻)
「死んだはずじゃ!!?
何だよこれ!!?」(八丸)
「本体を映像で映してる…!
倒したのは複製体だ…侍魂で作ったものだが…
その残骸をモニター代わりに…」(葉芽道)
「…必ず八角を捕らえに戻って来る
次は直々にな
これでしばしの別れだが…
紹介しておきたい奴らがいてね」(アタ)
「…!」(八丸)
「……」(アン)
「!!?」(八丸)
<ザッ><ザッ>
「君が八角か……」(一角?)
(オレ――!!?)(八丸)
「兄弟」(一角)
えーっ…と、なかなか書けなくて押せ押せになってしまいましたが、八丸は八角という名で烏枢沙魔流の「合鍵計画」で生み出された調整体だったようです。最後に八丸をネガポジに反転させたような一角〜七角が登場して終わりましたが、果たしてこの子らと八丸が戦って面白いのか?を考えていたら、もー何だかなー…となってしまって、気持ちが萎えてしまいました(汗)。何と言うか…これまで延々と「勇」とは何ぞや…をやってきて、そこで何とか納得しようとしてたのにこの無機質な感じは何ッ!?
…と、普通はなりますよね。侍が強くなる為に…簡単に死なない為に…「勇」が大切なんだよ!!と展開してきて、八丸がとうとう「勇」を携えて、そうか!!これが侍なんだー!!と思ったところで、こんな造られた…感情の乏しい子が現れて、強がられても(別に強がってませんがやる気満々なので…)何だかピンと来ないんですよ。この子らに「勇」ってあるんですかー!?今までやってきた事は何だったんですかー!?と、僕は半ば裏切られた気になってしまって、気持ちが萎えちゃったんです。
ま…「合鍵計画」ってのがそもそも自然に発生する「鍵」を無視して、それに変わる「鍵」を人工的に造ってしまおう!!という計画ですから、「勇」だって人為的に創れちゃうんですよーっという事なのかも知れませんが、それだと対立の構図が「人工VS自然」みたいな陳腐な図式になってしまって、そんなの「自然」がいいに決まってるじゃん!!的な落とし所が見えてしまうんです。別に人為的に造られた「鍵」とか「勇」が優れてるんです…でもいいけど、お好きにどうぞ!!としか思えません。
それ以前にアタさんが言ってたけど「この銀河をあるべき姿に…」なんですよね。それだったら「自然」に傾倒するべきでしょ!!と思うんですよ。それが烏枢沙魔流が「人工」(人為的)に傾倒するのが、それこそ自然じゃない…不自然なんです。どう考えても「整合性」がない。もっと、それ以前に「7つの鍵」が見つかったんならサッサと「パンドラの箱」を開ければいいじゃん!!と思いませんか?!こんなとこで余りものの八角(八丸)相手にグズグズしてんじゃねーよッと、僕には思えます。
八丸が「勇」を見つけるエピソードは確かに良かったんです。そこにはちゃんとした「義」がありましたから。しかし、それと烏枢沙魔流の7人の鍵達をどうしても見比べてしまうと、これは何なんだよ!!と思ってしまうんです。例えば、僕はアタさんは大した奴だと思うんですよ。確かに言うだけの事はありますよ。アタさんの強さとは「義」と「勇」があるからなんだと受け入れられるんです。そんなアタさんの人となりが描かれていますから。ちょっと甘えん坊さんだな…とは思いますが、それも愛嬌じゃない。
そういうお話を今話まで見てきてですね…最後にこの無味乾燥な子らは何ですか?今までの提示は何なんですか!?と。僕は真剣に物語に潜って考察してますからね。これはね。物語の自然の中で、極めて不自然な提示なんですよ。この子らの事をいちいち見せられてませんけど、その背後でいろんなエピソードがあったかも知れませんけど、こんな十把一絡げ(七把だけど)にいきなり登場して、八丸の対極を気取ってみせても、この子らと戦ってみたい!!と、僕が八丸だったら決して思いません!!
じゃ…アレですか!?「勇」ってのは人為的に創れると!?具体的には東ガスのCMの深田恭子ちゃんを思い浮かべれば、僕の腹の底はメラメラと燃えちゃうけど、恭子ちゃんがどうとも想ってなくても、こっちで勝手に恋い焦がれていればいいんですか!?そんなの簡単じゃないですか!?それでいいんなら僕なんか既に「勇」の塊ですよ!!深田恭子ちゃん以外にもほぼ無限に「この子を護りたい!!」と思う女の子が存在しますよ。じゃ…ストーカーが侍になれば即、最強じゃないですか!?
…と、なるんですよ。…なので、僕はここに登場した一角〜七角と八丸が戦う…という展開には否定的です。だって、そんなの面白くないもの。アタさんみたいなちゃんと「心」があって、「義」を実感していて、「勇」を確と携えた侍と、自分の「義」と「勇」を賭けて戦うのがいいんじゃないですか!?だから、こんなモブの角ちゃん達は放っておいて、八丸は自然に発生した「鍵」を探す旅に出ればいいと思うんです。それは「一丸〜七丸」じゃなくていいと思いますよ。自然な名前でいいんです!!
それで、「次号 超展開へ!!!」なんでしょ。アタさんがこの一角〜七角をいきなりバラしてキーユニットを取り出せばいいんですよ。それで、「7つの鍵」が手に入るんだから、「パンドラの箱」を開ければいいんです。多分、アタさんが言う「例の箱たち」って、この「一角〜七角」に対応した「遺物」なんですよ。どう考えてもこんなモブ達と全力で人生を切り開いてやっとこさ「勇」を見つけた八丸が釣り合う訳ないんです。釣り合ったら困る!!一生懸命を舐めるな!!と、僕は思うので。岸本先生…どうかしちゃったんですかね!?大丈夫ですか!?
第13話「勇を見た」 ハチマル ケルベロス 了
サムライ8 八丸伝 第13話「勇を見た」③
「猛犬が今や文字通り猫の目か」(アタ)
<クル>(達麻)
「弟子に甘い…
変わりましたね師匠」(アタ)
言葉少なでしたが、達麻の見事のケアが八丸達に行き渡ったるのをアタさんは遠間で眺めていました。恐らくアタさんの時は達麻も若かっただろうし、今と違って怖かったのかな?それをアタさんは想い出していたのか、あの師匠がこんなにも丸くなったのだ…的な感慨があったのではなかろうかと思います。アタさんは自分に教えてくれていた頃の達麻が好きだったと思うんです。勿論、今もアタさんは達麻を尊敬しているし、そんな達麻に自分が勝る状況にある種の愉悦を憶えているように感じます。
この何とも言えないドロドロした感覚は、昔付き合ってた女の子と再会した元カレの気持ちに似てるのかも知れません。めちゃくちゃ好きで恋い焦がれた女性と久しぶりに再会して、その子が自分の知らない誰かと仲良くしてるのをジトーッと見てるアタさん(笑)。そういう目でもう一度アタさんの「猛犬」が「猫の目」に変節した達麻への想いに悋気(りんき)に溢れてて、こんなに大きくて立派なアタさんだけど、お前が猫だったのかよーッ!!…という少年少女には良く分からないツッコミを入れてました(アタさんが突っ込まれてた…っていうね)。
ま…達麻にも思うところが多いのは確かです。例の「バク姫」(でしたっけ?)の諍いも達麻にしてみれば憤懣(ふんまん)やるかたなしでしょうし、今ここで愛弟子(まなでし)を袋叩きにされた事も到底看過できないイベントであります。表面的には穏やかですが、達麻の腹の底は煮えたぎる火口のように音を立ててる筈です。そして、そんな達麻の穏やかな怒り方が、達麻の昔を知るアタさんには必要以上に伝わって、逆に怖いのです。だからか、アタさんが柄にもなくよく喋りますよね。
「!」(アタ)
<クン><クン>「お前はもはや
弟子などとは思っておらん」<ススス>(達麻)
<ズズ><カシュ>(達麻)
<ズズズ><カション>(達麻)
「!」(アタ)
<ズボッ>「くっ!」(葉芽道)
「…それは何のマネです…
師匠…」(アタ)
<スッ>(達麻)
「侮辱するのも…
大概にして下さいよ…!」(アタ)
『金剛夜叉流・犬掻き』<フッ>(達麻)
「!?」(アタ)
「ぐっ!!」(アタ)
達麻が侍魂を腹に仕舞って地面に散らばったタコ焼きの中から爪楊枝を拾い上げた時に、達麻の一番弟子で相当の手練れの(達麻と同格?)のアタさんが、達麻のその後の行動が予想できなかったのが、僕には若干不思議です。…と言うか、アタさんは達麻の選択した剣技が分かっていて、まさか普通の人型相手に、その剣技を使いますか!?師匠!?と、ある種、高を括っていたのではないかと、僕は思うのであります。ここにはアタさんはまだ自分を達麻が大切に想ってくれていると信じたかったんじゃーないかと、僕は思うのです。
やっぱそこには師匠・達麻に対するアタさんの想いがあるのだと、僕は思うんですよ。それとは別に、達麻が自身の侍魂を仕舞い、路傍に落ちるタコ焼きの爪楊枝を拾い上げたのは、剣技の効果範囲を極力小さくする為だったのだと思います。しかし、そこにアタさんに対する遠慮は微塵もなく、この星に対する悪影響を排除する為だったでしょう。そもそもここに居るアタさんは本体ではなく自性輪身でありまして、その仕組みの提示はありませんが、恐らく分身体(複製)なのだと思います。
達麻の名誉の為に書かせて頂きますが、自性輪身の作用と反作用は達麻クラスにおいては当然周知されている筈です。そして達麻は自分の弟子だけでなくアンちゃんや(全然使えませんが)最早一人前の葉芽道に到るまで手厚い心配りを怠らない人徳の持ち主であります。それが自性輪身のアタさんに躊躇ない…っていうのは、ここにいるアタさんを消し飛ばしてしまっても本体は残るからです。痛いとか苦しいとかはそれとは別ですけど、それ以上の悪事を既にアタさんもやっちゃってますからね(笑)。
達麻にしてみればアタさんにもいいお灸だ…くらいに思ったのかも知れませんし、本体のアタさんをみじん切りにしても収まらないくらいの私怨が達麻にはあるのかも知れません。そこら辺は例の「バク姫」の件の詳細が分かりませんのでアレですが、アタさんが心の片隅で未だに達麻の信任が得られるかも知れない…くらいに探っている甘さみたいなものを、達麻がぶった斬るようにアタさんを突き放しているのだけは、宇宙の遥か彼方のアタさんの本体にちゃんと伝わればいいなーと、僕は願います。
「オレが診る!!」(葉芽道)
「ハイ!お願いします!」(八丸)
「八丸はお前には渡さん!」<ゴオー>(達麻)
<ズズズ>『金剛夜叉流――』(達麻)
「!!!!
まさか!!!星砕きをここで!!?」(アタ)
「狙うのは星ではなくお前だ
大気の刃に喰われろ!」(達麻)
<スッ>『大気剣!!!』(達麻)
<ズオ>
「!」(アタ)
この金剛夜叉流・大気剣という剣技ですが、巨大な低気圧を創り出す剣技なのだと、僕は思いました。低気圧とは上昇気流がコリオリの力で指向性を帯びた大気の流れみたいなもんです。達麻は爪楊枝を起点に高密度にして高エントロピーの空気の塊を作り出し、それをより光速に近い剣速で撃ち出してアタさんの居る座標に超強力な低気圧=竜巻を作り出したのだと、僕は考えます。『NARUTO -ナルト-』でもガイの「八門遁甲第七驚門・昼虎」という体術がありましたが、それと似てると思います。
ちなみに、剣速が光速に近い…というのがミソでありまして、運動エネルギーは速度が光速に近付くに連れ無限大に収束するので、トンデモナイ衝撃が発生します。そのエネルギーを大気の刃に変えて対象を襲わせる剣技でありまして、これがもっと規模が大きくなれば星であっても粉々に砕けるエネルギーが発生するでしょう。『NARUTO -ナルト-』のガイの場合はその反動で車椅子での生活を余儀なくされましたが再生可能なサイボーグの身体であれば問題なしで、この部分は相当不公平ではあります(笑)。
でも、あるものは何でも使うのが戦闘の定石ですから、大気が使えるならそれを積極的に使いましょうよ!!めっちゃエコだし、汚染が皆無だし…。アタさんとしては、まさかそんな壮大な剣技を自分(みたいなもん)に使うかよー!?まさか、使ったりしないよねー!?師匠!?という気持ちだったんですよ。何か、この件(くだり)のアタさんには不相応な…達麻の攻撃(=剣技)に対する対応力が腑に落ちなかったんですが、やはりアタさんは達麻に心の何処かで甘えてる気がするんです。
逆にここまでアタさんが有り得ないと思えるほどの大技を達麻がここでアタさんに仕掛けた…というところに意味があったと思うんです。そのくらい達麻は怒っているんだと、アタさんの本体にはちゃんと伝わりますからね。しかし、この対応…何だか達麻が八丸にするのと似てる気がする…んです。何もここまでしなくても…と思えもするんだけど、もしかして、若き日のアタさんとは八丸に似てたのかも知れませんね。もし、そうだとすればアタさんが募らせる悋気(りんき)が腑に落ちますけどね(笑)。
(くそ…!
この程度の大気剣に…
自性輪身では…限界か!)(アタ)
<ヒュガ>
「くあああーーー…」(アタ)
<ゴゴゴゴ>
<グラグラ>
「うわっ!!」(葉芽道)
「!!!」(アン)
<ゴゴゴゴ…>
「……これが…あの…」(葉芽道)
葉芽道がまだ達麻を達麻だと知らなかった時に、達麻の金剛夜叉流の免許皆伝の印籠を見せられた時に、「星砕きの…」と通り名を増やしましたよね。達麻が作り出した巨大な竜巻を前にした葉芽道が思わず口走った「……これが…あの…」とは、この星すら砕きかねない危険な力に思えたという事なのでしょう。そして、これが達麻の伝説の侍たる「力」の一端なのでありましょう。そう言えば、赤胴鈴之助も「真空斬り」(だっけか?)を会得する修行してましたが、オッチャンとしては懐かしい限りです(笑)。
確か、赤胴鈴之助は竜巻を作り出して、それを手刀で二つに割って、分割された竜巻が衝突して破壊力を強める剣技(刀は使いませんけどね)だったかと思いますが、もしかしたら大気剣も、一振りで済まさずに、二振り、三振りで破壊力が相乗的に増える発展技があるかも知れません。ところで、何で竜巻が「獣」のイメージだったか?というのは達麻の作り出したこの剣技のタネになる空気の塊の影響ですかね。それかアタさんの恐怖心でしょうか?でも、最悪…カッコイイという理由でも僕はヨカですから(笑)。
「!」(葉芽道)
<タッ>(達麻)
「!?」(八丸)
「誰だ!?」(八丸)
「アタは消失した…」<プシュ~>(ダルマ)
<プル>「…この技の後は
濡れた猫みたいになるからな……
まぁ…気にするな」(達麻)
「え!?し…師匠なの!?」(八丸)
達麻が痩せた濡れ猫になっているのは、大気剣が低気圧(上昇気流)を生み出す剣技だからで、大気が上昇すれば空気は膨張し温度が低下して湿度を増し飽和に達して雲ができて雨が降るからだと思います。それと達麻が痩せてるのは光速に限りなく近い剣速を生み出した結果、身体が損傷を来たし、その修復を行っているからです。うちの犬もそうですけど、毛深い子が濡れるとそりゃもう貧相になりますから!!これが人間だとやつれた感じが逆に俳優が不倫会見で同情を誘いイケメンっぽく映るんだけど、猫じゃねー(笑)。
ま…しかし、天変地異みたいな結果を生む剣技を見せられて、誰もが達麻を認めるいい機会になりましたね。何せ、ナリがナリだけに、デフォで軽く見られがちなんです。ホントに物事の奥底を見抜くなんて難しいです。人の好意なんてほとんど外見で決まりますから。一説によれば「0.5秒」で好きか嫌いか?を判定するそうです。大脳生理学の研究で論文まで出てるみたいですが、人はその人が判定する前に脳がその短時間で好きか嫌いか?を決めるそうです。心眼もあれば越した事はないけど、外見も大切なんですね。
続きまーす!!
サムライ8 八丸伝 第13話「勇を見た」②
<ズズズ…><ハア><ハア>
<ガクッ><ザッ>(八丸)
(機転が利く…
だてに7兄弟に似ているわけではないか…
惜しいが……)(アタ)
<ズズ>「お前は本来存在するはずではなかった
鍵は7つでよかった…お前は余りもの———」(アタ)
はい…それでは第13話「勇を見た」の感想の続きです。この暑さの所為か体調が悪くて筆が渋って申し訳ない。皆さんも暑き折、お体にはご自愛下さい。さて、八丸のファンタジスタで一旦、間合いが切れたとこからですね。アタさんが八丸との間合いをかなり大きく取っています。これは急速に成長する八丸を警戒してるからで、剣士としてのアタさんの力量を感じさせます。そして、同時に八丸をよく観察してますね。アタさんは人をよく見ているんです。そして、敵であろうと八丸をちゃんと評価しています。
アタさんはめちゃくちゃ悪辣なキャラとして描かれてはいますが、人間的に彼をよく見ると、実はちゃんとしてる事に気付けると思います。人ってただ見るだけ、ただ聞くだけでも何となく理解はできるんです。でも、もっとしっかりと関心を持って、心を向けて見たり聞いたりしなければ、本当の事は見えないし聞こえないのです。大凡、物事の本質を見極めるとは、そういう人の心構えが大きく関係してるんです。僕はこれがこの物語の一つのテーマとも言える「心眼」であると考えます。
アタさんには他者に向ける「心」があるんです。「心」と言うのは科学的には「脳の機能」であります。もっと簡単に言うと人の「考える力」です。それは僕らが生まれ落ちてから今日まで取り込んだものを自分の中で蓄えて構築したその人の「思考」でありましょう。アタさんをよく見ていると、確かに彼は「ワル」だけど、決して「クズ」ではないように、僕は思うんですね。それは何でだろうとここんとこ考えてたんですが、それはやはりアタさんに「心」が備わっているからなんだろう…と思い至りました。
ま…ややこしいお話はこの辺にして、アタさんが「7兄弟」なんて大ネタをポロッと出しましたね。これは恐らくこのお話の最後で出てくる八丸にそっくりの侍達なのでしょう。八丸が「八角」だから、一角から七角と言う名前なんでしょうか!?(笑)この件はお終いの方のパートでやりますね。しかし、これだとアタさんたちは既に「7つの鍵」の収集に成功してる事になるんです。それに八丸を「余りもの」とまで言ってるから、さっさと「パンドラの箱」を開けちゃえばいいのになー…と素朴に思います。
八丸は余りものだけど何らかの事情で必要!?例えば「パンドラの箱」の鍵がランダムに変化して「8つ」ある鍵から「7つ」の組み合わせでないと開かない…とか。しかし、それも中途半端だな(笑)。そもそも何で「8つ」できてしまったのか?が謎ですけど、悪態つきながらもアタさんが八丸の奪取に執着するのは八丸が必要だからです。それと、アタさんが「惜しいが……」と言ってるじゃないですか。これは八丸もアタさんとこの「7人」と同じく八丸には「見所がある」と評価してて率直に嬉しいです。
<ズズズ…>(八丸)
<ギュン>「これ以上煩わせるな!!」(アタ)
<ガッ>(達麻)
「!」<サッ>(達麻)
「すまん!待たせたな!」<サッ>(達麻)
「達麻師匠!」(八丸)
「こいつを相手にして
よくねばったぞ!…八丸」(達麻)
<サッ>(アタ)
アタさんも時間がありませんから、サッサと八丸をバラしにかかるんですが、そこに師匠・達麻が反撃の狼煙!!!で、俄然、少年誌的な魅せ場が到来します。やっぱ、週ジャンはこうでなきゃ!!と、僕は思うのであります。折角、刀とか鉄砲を持ってるんですからベチャクチャ喋ってないで盛大にドンパチやんなきゃ!!これはチャンバラのお話なんだもの!!…えーっと、おっちゃん的な用語で少年少女にはあまり馴染みがないかもしれませんが、「チャンバラ」とは「剣劇」の俗称です。
一説によると、刀で斬り合う音や様子を示す<チャン><チャン><バラ><バラ>という「擬音」に由来するそうです。昔は「チャンバラ映画」とか言ってた記憶があります。子供の頃は「竹光」という模造刀があって、昔は竹製だったのが簡易版のプラスチック(プラッチックと言ってた…)の白い刀で斬り合ったなー…。家族で旅行に行っても土産物屋で売ってる竹光が欲しくて駄々捏ねて買って貰った…貰った、貰った…(遠い目)。話逸れまくりですが、久しぶりにこういうシーンが見れてオッチャンは嬉しかです(笑)。
達麻がかっこいい!!達麻の上段一閃の侍魂の残光が圧倒的で、アタさんの血吸・童子切高綱を明らかに圧してます。本当はこんな風に刃を交えると100%刃こぼれしますが、侍魂のオーラ(仮)の形状を鈍くして対処してるんでしょう。堅い話すると一般的にはこんな風に刃は合わせずに斬っては離れを繰り返したり、出会い頭の突きで決着みたいに結構淡白です。でも、子供の頃のチャンバラはやっぱこうやって刃を交えて鎬(しのぎ)を削ってましたんで、僕的にもこれはこれでアリでーす!!(笑)
復活した達麻の登場にアタさんの間合いが一気に広がりましたね!!八丸の時の何倍も広いです(笑)。剣士としてこれは達麻に贈る最大級の賛辞と言えましょう。やはりアタさんはちゃんと人を見て評価できる人なのであります。そして、そんなアタさんに育てたのが達麻でありまして、ここから達麻の存在というものが、ややもすると心が折れそうになっていたアンちゃんや葉芽道、それに八丸を勇気付けていくんです。達麻の心配り…というんですかね。立ち振る舞いや言葉の一つ一つが温かいんですよ。
<ゴゴゴゴゴ>
「師匠が大事な時に寝ちゃうのは
もう織り込み済みです」(八丸)
「フン…!」(達麻)
「ダ…ダルマさん!
は…八丸くんの体が…!」(アン)
「…安心しろアン!
八丸は死にはせん」<スタ><スタ>(達麻)
<ズズズ>(逆にこれで動ける!)(葉芽道)
「ダルマ様!オレは父親の方を!」(葉芽道)
<ザッ><ザッ>「よし!
頼んだぞハガミチ」(達麻)
達麻が一人一人に何かしら助言する時に、それぞれの名前をちゃんと付けるじゃないですか!!きっと、みんな、これまで不安だったと思うんですよ。いきなりアタさんが斬り掛かってきて達麻が深手を負ってしまって、八丸も頑張ったけどズタボロにされましたから。そんなそれぞれの気持ちを達麻は察した上で、皆を労(ねぎら)っているのです。だからここで達麻はそれぞれに、ちゃんと見てるよー!!これまでよく頑張ったなー!!もう大丈夫だよー!!という想いをそれぞれの名に込めて贈っているのです。
一時が万事ですから、達麻はこれまでこうして弟子を導いて来たのだと、僕は感じています。騒がしくて落ち着きのない(僕の苦手な…)八丸ですら、達麻は何とかして良き方向に導けるように腐心していたように思います。間合いが切れて訪れた静寂の中、地面をしっかりと捉えた達麻の足音が平常心を刻むメトロノームのように響いています。達麻の存在がこの場に落ち着きを与えているのです。しかし、決して「落ち着け!!」とか「狼狽えるな!!」とは言いません。優しく名を呼ぶようにただ居るだけです。
しかし、それでも達麻の気持ちはよく伝わっています。達麻が、それぞれの名をちゃんと呼ぶだけで、この子らは安心できるのです。それは達麻の心がちゃんとそれぞれに向いているからです。ちゃんと達麻の心がそれぞれに配られているのです。こういう達麻の「徳」というものが人を育てる為には大切なのだと思います。僕が子供の頃に達麻みたいな先生が居たらどんなに幸せだったか!?もっと違う今があったんじゃないか?と思ったりもしますが、子供を導く人の責任とは斯様に重いのであります。
<ズズ><ズズズ>「!?」<ズズズ>(八丸)
「八丸…よくぞ見つけたな」(達麻)
「え?」(八丸)
「拙者…お前の中に——…
勇を見た」(達麻)
<ズズズ…>(八丸)
「これでやっと拙者の長い説法も
減らせるな…八丸」(達麻)
「……」(アタ)
「……後は任せろ」<ザッ>(達麻)
そして、達麻が八丸に心を向かわせます。アタを向こうに回し善戦した八丸の中に達麻は「勇を見た」と伝えるのです。八丸はその言葉にこれまでの軽妙な返しもできずにただ無言です。八丸は入力がすごく苦手で他者の話が聞けない子でありましたが、達麻のまっすぐな言葉が余程、八丸の心に刺さったのでしょう。そして、八丸はここまでの自分の行動と気持ちを思い返し、それが「勇」だったと知るのです。八丸は「勇」を確かにその心に刻むのです。その本心の気付きに言葉は最早、無用なのであります。
遠くに間合いを切って待つアタさんがその一部始終を無言で見守っています。アタさんは達麻の一番弟子ですから、達麻がどんな人で、どんな風に教えるかを知っています。だから、不安に押しつぶされそうな雰囲気を一瞬で吹き飛ばした達麻をアタさんがどんな気持ちで見ていたかを思うと胸が痛いです。アタさんにもちゃんと「勇」があるのも、それには達麻が大きく関わっているのは明白です。アタさんと八丸は別の人格だから教え方は違っていても達麻の本質は変わりませんから、アタさんも思い出している筈。
それがこの後のアタさんの言動に滲んでて、アタさんの心の内が生々しく描かれて行くんです。愛と憎しみとは全く正反対の気持ちではなくて、ほんの少し方向が違うだけなんです。ほとんど同じものと言ってもいいかも知れません。マザーテレサは「愛の反対は無関心」と言ったそうです。アタさんには今も昔と変わらず達麻に対する関心があります。それは愛があるという事です。しかし、その気持ちが達麻に受け入れられない時、愛が憎しみに変貌する…。愛が大きければ大きいほど、憎しみもまた深くなる…。
続きまーす!!
サムライ8 八丸伝 第13話「勇を見た」①
第13話「勇を見た」
<ググ><ググ>(八丸)
「くっ!」(八丸)
「いい男だ
ここの守護侍よりは骨がある
だが…
力が足りぬ…
そして剣技もな」(アタ)
<ググ…>(八丸)
「お前らまとめて
終わりにしよう」(アタ)
『烏枢沙魔流――』(アタ)
「早太郎!!」(八丸)
「ニャン!」(早太郎)
<ズズ><ズズ…>
<ガッ>(八丸)
(両手に……!)(アタ)
<ギュ…><ググッ>(八丸)
(その程度で…!)(アタ)
<ズズズ>
(!?)(アタ)
「いっけーー!!!」(八丸)
<ドウ>
<ガッ>(八丸)
<ゴゴゴ…>
「…!!」(アン)
(飛行用のブーストを利用したか
キーホルダーとよく通じ合っている…)<ガガガガ>(アタ)
さて、遅くなりましたが第13話「勇を見た」の感想を始めますね。アタさんの血吸・童子切高綱が八丸の左胴体にぶっ刺さってまして、八丸がそこから反撃するところですね。八丸の侍魂がアタさんの首を捉えてはいますが押し切れないでいます。これはアタさんが血吸で八丸を押さえつけているから、八丸が身体を使えなくて力が出せないからだと思われます。人型で大きな力を出そうとする時は足裏(基底面)から腰、胴体、両腕…と大きな筋肉を連動させるのですが、体幹の自由がないので力が途切れます。
もっとも、通常だったら胴体を串刺しにされた時点で終わりですが…アワワ ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿 アワワ…。しかし、八丸がアタさんの首に侍魂の刃を押し当ているのでアタさんも踏み込めず、八丸の胴体に刺さった血吸をこれ以上動かせないのも同じです。本来、刃を身体に刺したら、そこから三日月状に刃で弧を描くように骨を避けて内臓を抉って致命傷を与えるのが定石ではありますが、どちらも動けない…将棋の千日手のような状態です。八丸はそういう状況を利用して無くした左腕を再生させています。
これは八丸にしては融通が効いてて八丸らしくない感じもします。でも、ここでアタさんを食い止められなかったら皆やられてしまうので多少のチートは目を瞑りましょうか(笑)。八丸は更に早太郎に指示を出しています。八丸の右腕に纏った侍の鎧の一部を再生した左腕と右腕を渡して、小型ですが飛行用のブースターを発生させます。現状では上体を捻って力を出せないので、八丸はブースターの推力で両腕を推進させる機転を効かせたのです。器用に鎧や武器を錬成する要領でブースターを組み上げたんですね。
多分、侍の鎧のリソースは早太郎の外皮ですから、八丸の権限だけでは動かせないのでしょう。だから、その前に早太郎の名前を呼んで侍の鎧の一部を使用する許可を得なければならなかったのだと思います。一連の動きを見ていたアタさんも八丸と早太郎の連携は高く評価していましたね。八丸は上体が撚れないので腕だけでアタさんの首を斬る為にブースターの推力を利用するアイデアをこの土壇場で絞り出したんです。少しでも動かばアタさんの血吸で深傷必死の状況を一瞬でひっくり返すファンタジスタでした!!
しかし、アタさんも手練れですから、一旦後ろに飛んで八丸の剣圧を殺しています。すばしこくて捉えきれなかった八丸に折角刺さった血吸を抜いてでも後ろに退がらねば自分の首が危なかったのです。もしも、これが八丸の剣圧のみでアタさんが弾き飛ばされたのだとしたら、もっとアタさんの首は被害を受けるか、最悪、首チョンパ(←ふ、ふ、古ッ!!!!ドリフのアレなー)になってたと思います。しかし、アタさんが八丸の剣圧と同等かそれ以上の速度で退いたので斬れなかったのだと、僕は思います。
先の状態が既に千日手で指し直し必至でしたので、いい感じに間合いが切れてよかったです。この状況を作り出したのは八丸です。また一応、飛行用のブースターという事で一回こっきりではなく何度も推力を利用できるはずなので、アタさんが指摘した八丸の非力さをカバーできる駒を八丸は得たという意味ではアタさんの若干の駒損が拭えません。八丸はこれまでのダメージの修復のハンデはありますが、アタさん相手にかなりの善戦だと思います。しかし、サイボーグの身体の八丸が「非力」というのが若干引っかかります。
これまでもいろんな侍が登場していますが、どれも個性豊かでした。僕はサイボーグの身体を与えられた段階で一律、ロッカーボールテクノロジーの恩恵に与(あずか)れると考えていましたが、どうやらそれは承認された人間が上限を規定するようです。ロッカーボールが再現する「本来の姿」とは、その人間の「無意識の姿」なのかな…と思います。そして、その「無意識」がもしも…「魂」を意味するのであれば極端なアップデートは難しいと、僕は考えるのだけど岸本先生はまた別の見解をお持ちなんですよね。
「穢土転生」の時もそうだったんだけど、岸本先生の世界観は「魂」も後天的な記憶とか変化を受け入れているんです。それに対して僕はガチガチの「陰陽論」の信者なので(笑)、「魂」は不変であると考えててかなり食い違います。これまでのお話の中で葉芽道が「素振り」をしてたり、ムジンさんが明らかに歳を重ねて老いたであろう描写も存在しますので、サイボーグの身体であっても努力や精進でアップデート可能なのでしょう。できれば昔のアタさんの…願わくば…色白のヒョロガリ姿を拝みたいです(笑)。
それで、数々の修羅場を乗り越えてアタさんが今みたいにく、く…黒くて、か、硬くて、お、お…おっきく(☆☆)なったのであれば、若干、(よわっちい)インテリ眼鏡くん(かよっ!?)キャラの八丸も体育会系にアプデの可能性があるじゃないですか!!僕は修行の当初から達麻の説明が多くて、その内容も精神論に傾倒してたもんだからフィジカル面が完成してるもんだとばかり思ってたけど、今後の努力や精進で成長していける設定であるなら、それはそれで少年誌らしくて喜ばしいと思うのでバッチコイです!!
続きまーす!!
業務連絡(190804)
お疲れ様です!!ハチマルのケルベロスです!!全てのアクセスに心より御礼申し上げます!!いけない…いけない…と思いながら、この度、ケルベロスのエアガン関係のブログを立ち上げてしまいました。もう…どうしようもないくらいエアガン熱が高まってしまってやっちゃいました(汗)。「オオカミ」というブログです。十数年前に僕がやってたHPと同じ名前にしました。
勿論、ハチマルの活動は今まで通り続けます。もしも、『サムライ8 八丸伝』を楽しんでいる人でエアガンにも興味がある人がいらっしゃったら「オオカミ」も「ハチマル」と同じようにご贔屓にしてやって下さい。僕は何事においても不器用なので二つの事を同時に打ち込むのって不安なんですが、いい塩梅に二つが影響しあえばいいなと思っています。昔のロゴが出てきて良かったー…。
では、月曜日の定刻にまた。
ハチマル ケルベロス