サムライ8 八丸伝 第8話「ゆっくりでよい」感想②
「こいつで間違いないか?」(葉芽道)
「は…は…はい」(アン)
<トン>(黒狼)
<ザッ>「いきなり
”三身一体”ってのがそろったぞ!!
これでオレは強くなれる!」(八丸)
「よろしくな!!
…えっと――
で 結局 お前 名前は?」(八丸)
「……」(アン)
<キッ>(アン)
「フン…」<プイ…>(アン)
「え!!?」(八丸)
僕は登場するキャラそれぞれに感情移入して考察しています。例えば、達麻の考察する時は達麻に憑依するかの如く入り込みます。だから、その人が怪我したら痛いし、死んじゃったらもう大変です。そのキャラに成りきって物語の中に潜る訳ですから、『NARUTO -ナルト-』の考察してた時など、何度死んだことやら(笑)。でも、嬉しい時もあるし、楽しい時もある。逆に切なかったり悲しかったり、何度も涙を流しましたとも。そして、そんな感じで物語を味わうスタイルはハチマルでも変わりません。
それで、八丸とアンちゃんが今、こうして出会いましたけど、僕は八丸よりもアンちゃんの方が感情移入…憑依し易いと感じています。どうも、八丸のノリ…と申しますか、相手の気持ちとか一切考えずに自分の気持ちのみを一方的に伝えるノーテンキで無神経な感じが騒がしくて耳障りなのです。だから、八丸のセリフを写経していると、少しイライラします(笑)。よく言えば「天真爛漫」なのでしょうが、実際、こういう子と一緒にいたら、僕にはきっと一人になって休む時間が必要です。あと、十分な睡眠時間も(笑)。
そう言えば、達麻が時々眠り落ちするのは…もしかして、そういう事なのでしょうか?(笑)案外、それがオチだったりしてね(笑)。逆にアンちゃんには入り込み易いんですよ。僕もこんなオッチャンになった今でも話すのが苦手で、言葉が出難い…無音の間が話しを邪魔するみたいな面倒くさい喋りが、緊張とかストレスで強まるんです。でも、実際にはオシャベリなんです。不思議だけど。他愛のない事とか、どうでもいいことは普通にしゃべれたりします。でもそれも相手によって上手くいったりいかなかったり不安定ですかね。
その所為か、アンちゃんの気持ちは、こう…スーッと入ってきます。だから、八丸がズケズケとアンちゃんのスペースに踏み込んでくる時に、アンちゃんがそっぽ向いて八丸を拒否する気持ちなぞ痛いほど解る。アンちゃんには八丸の喋りが煩(うるさ)く感じられるのです!!また、八丸の結果のみを急ぐ性急さがどうしてもプレッシャーとなり上手く話せないのに、何度も同じ態度でアンちゃんにアクセスするのが、正直、いい加減にしろ!!と言いたい気持ちなのでしょうが、アンちゃんはそれを言葉で上手く適時に出力できない。
そんな何とも情けないループにこれまでアンちゃんはどれだけ疲弊してきた事か!!アンちゃんは当事者としてそれを繰り返しているから八丸の無神経さがいきなり気に障る訳だ。これは八丸の問題だと思うんですよ。八丸はこれまでパパ以外の他者と接していないんですよね。ネトゲで若干、ナナシなんかと接点はあったけど、それはゲームの対戦であって人間的な繋がりではありませんでした。ましてや異性との関係性など望むべくもないから、ここはアンちゃんで存分に練習させてもらえると非常に助かるし捗ります(笑)。
岸本先生が久々に週ジャンで始められると、鳴り物入りで連載が始まった『サムライ8 八丸伝』ですが、予想に反してバズらないのは、こうした八丸の人間味の足りなさが起因していると、僕は思います。岸本先生も、また苦難の道を自ら選択されたのでしょうが、こういう風に結果のみを急ぎ、その過程を全く顧みない未完成極まりない八丸のような子が、いつしか他者の気持ちを推し量り、その上で思い遣れる子になる過程を丁寧に描こうとされているのではないかと思われます。これは岸本先生の挑戦なのです。
だから、岸本先生はきっと読者の僕らにこう言って欲しいんですよ。
「ゆっくりでよい」って。
続きまーす!!(ハチマルもゆっくりで行きますよ!!)