サムライ8 八丸伝 第9話「ふたりで…」感想①
第9話「ふたりで…」のあらすじ:物語は前回のお話から続く八丸の修行で始まります。なかなかしっくりこない八丸とアンちゃんも続行中(笑)。そんな中、アンちゃんがロッカーボールの感知に挑戦して、アジトの近くにロッカーボールを発見します。それで達麻は八丸とアンちゃんにロッカーボールの発掘を命じます。まだまだぎこちない八丸とアンちゃんですが、見事にロッカーボールを掘り出して持ち帰る。帰り道に寄り道デートっぽい雰囲気になりますが、八丸達の住む星にアタが到着してしまう…。
<ズガッ>「うしっ!」(八丸)
「ニャン!」(早太郎)
<タン>(早太郎)
「!」(八丸)
「師匠やっとうまくいきました!
アレかな?やっぱ運命の姫ってやつの
おかげかな?」<ドサッ><ズズ>(八丸)
前回…やっとの事で侍魂の真剣化が軌道に乗り、硬い材質の門番ホルダーの外皮に刃先が入った八丸でしたが、今回は門番ホルダーの腕を斬り落とすくらいにまで進歩しています。通常、真剣の扱いは非常に難しく、切断する対象に真っ直ぐに刃を入れなければ上手く斬れないどころか刃こぼれするなど、刃を傷付けてしまいます。しかし、八丸はそういう細かな指導を受けた描写はありませんので、基本的な真剣の扱い方は侍のサイボーグの身体が分担していると考える事にしようかと思います。
また、真剣化した侍魂の刃ですが、それほど「反り」があるようでもないので、真剣化した侍魂の異次元の切れ味ですね<キリッ>。実はリアルの刀剣において「反り」とは非常に重要なファクターでありまして、対象に刃が押し込まれるのではなく引いて斬る軌道の中で刀剣の切れ味が最大限に引き出されのですが、その実現の為に刀身の「反り」が必須なのであります。それは人間の骨格…関節の可動制限…に由来するロジックであり、それが刀剣の進化と共に極まっております。
何が言いたいのかと申しますと、ロッカーボールの承認でサイボーグの身体にアップデートされる侍でありますが、それが人型である点に注目すれば、人型の可動範囲の中で最大限の切れ味を産み出す方法論というものを完璧に無視しています(笑)。その反面、侍が金剛夜叉流や烏枢沙魔流などの武式一式の習得に血道を上げる事実があります。つまり、それは人型での刀剣の使用時、最大限の効率を得るために侍にとって剣術における各流派の「型」は未だ必要な要素なのであります。
そして、その「型」は刀身の「反り」に依存しない全く別の体系である筈です。恐らくは真剣化された侍魂の刃が超高速で振動しているとか、超高温になるとか、目には見えないけど超高速のチェーンソーのように実体剣化された侍魂が対流してるとか…刀剣の物理的な構造に依存しないとんでも理論があると考えるべきだと僕は思います。非常に堅苦しく感じられる方もいらっしゃると思いますが、そういう細々した事象を一つ一つ整理して説明していくのが考察には大切だと思います。
岸本先生の創り出す世界観というものは、こうであれば→こうなる…といった感じで毎回納得が行きます。岸本先生という神様はサイコロは振らないのであります。だからこそ、僕は考察できる訳です。そしてそれは作中の現象だけに留まらずキャラの心理や行動にも見事に反映されるところが、岸本先生の作品の魅力なのです。岸本先生の作品にはその世界観における科学が適用できるのです。しつこいようですが、本当に考察しがいのある作品を生み出されるのです(←しつこいぞー…)。
ま…本線にもどりますと、刀身が明らかに足りないような大きさの対象を、昨日や今日真剣を手にした八丸が真っ二つにできるのは、やはりある程度、自動化されたサポートが必要があると考えられます。また、今の八丸の修行とは主に侍魂の真剣化に付帯するイメージ力の育成でしょう。恐らく、それはサイボーグの身体ではなく、その司令塔たるキーユニット…つまり人間由来のスキルの養成を意味していると思います。多分、インストール不可の感覚的なスキルで若干の努力を要するのでしょう。
八丸が門番ホルダーの腕を斬り落とせたという事は、門番ホルダーの腕の直径よりも長い刀身長をイメージしていた筈です。斬れ味は侍魂のとんでも理論で何とかなりますが、刀身の刃の形や長さは使用者のイメージが必要だから、それができない内は苦戦していたのです。そして、このスキルは鈍(なまくら)の運用にも応用できるのではないかと、僕は考えています。第5話「出発」で達麻が見せた金剛夜叉流・剣腕で提示がありましたが、あれは侍魂の真剣化を応用した剣技だったと僕は考えます。
続きまーす!!(小刻みに行きますね)