サムライ8 八丸伝 第10話「ターゲット捕捉」感想③
<ガッ>
「覚悟はよいな!!?」<ギギギ>(ムジン)
「!!」<ピクン>(達麻)
<ブン>「どうされました?」<ブン>(葉芽道)
「いや…
とても強い引力を感じた…
なつかしい引力だ…」(達麻)
「…この星で一番強い引力を
持っているのはムジン様です
もしかして…お知り合いですか?」(葉芽道)
「ムジン…!
あの不死身…の無尽か!?」(達麻)
「やはりご存知でしたか…」(葉芽道)
「ああ…!
かつて御前試合で試合った事もある
見込みのある男だった」(達麻)
「ムジン様はこの星の守護侍・
星位大将軍でもあられます」(葉芽道)
「通りで…
なら少し顔を出し
思い出話に花を咲かせるとしよう
少し聞きたい事もあるしな」(達麻)
僕は考察で使う用語は可能な限り正確に表記したいので、作中の固有名詞(術や技の名称)は速攻、ユーザ辞書に登録しています。それで「金翅鳥」とか「迦楼羅」とか入力してみたら、既にある…というか、難しい感じの組み合わせでしたが辞書にある単語だったんです。それで調べてみたら仏教系の用語でした。金翅鳥とは「美しい羽を持つ鳥」を意味していて、迦楼羅もそれと同義の名詞です。迦楼羅はインド神話に登場する時の呼び名みたいですね。ガルーダ?ガルダ?ともありました。
それで意気揚々と登場したムジンさんでしたが、その前から「すぐに終るな」とか「覚悟はよいな!!?」とか、もう「お前がな…」の咬ませフラグが林立しててページを捲ったらサ姫までズタボロで宇宙に放り出されてました(汗)。横綱級キーホルダーの金翅鳥・加瑠羅もムジンの周囲を取り囲んでいた侍達もロッカーボールとキーユニットの状態で漂っていて、ムジンさんも最後まで頑張ってたんでしょが、アタさんの侍魂に<ズブ…>っと刺されて万事休すでした。
ここまで力の差があると戦闘が成立しなくて面白くないですね。達麻の話によると、ムジンとは旧知の仲で、まだ達麻がイケメンの剣士の頃に御前試合で剣を交えているようです。それをして達麻は「見込みのある男」と、ムジンを評価していましたが、達麻にしてみればまだまだヒヨッコの金翅鳥だったという事なのだと思います。ザックリと50年+α前でしょうか、そこからムジンは達麻の見立て通り精進してこの星の守護侍の最高位である星位大将軍の地位まで上り詰めたのですね。
ちなみに、衛星軌道上でアタさんとムジンさんの開戦の瞬間、達麻が感じた「なつかしい引力」ですが、葉芽道がそれを「この星で一番強い引力を持っている侍」という事でムジンと決めつけていますが、達麻が感じたのはムジンではなくアタさんの引力ではないかと思います。達麻は葉芽道に問われて初めてムジンを思い起こしていましたが、達麻が感じた引力でムジンを特定できませんでした。同じようにアタさんも特定には至らず。しかし、達麻が「なつかしい」と感じた…何かがそこにはあります。
アタさんが金剛夜叉流の使い手で、達麻と同じようにナビ音声によって情報を得る権限を有している…という事実。そして、達麻が「なつかしい」とした引力がアタさんのそれであったなら、達麻とアタさんはかなり近しい関係性があるのではないかと思います。しかし、達麻や葉芽道と同じく金剛夜叉流と思われるムジンさんがアタさんに関して何をか感じたようではないので、もしかしたらアタさんが達麻の師匠の夜叉さんクラスの存在である可能性も否めません。
<ズブ…>
「……武神よ……
我を…見はなさないで…くれ!!」(ムジン)
「往生際が悪いぞ
もう…散体しろ!」(アタ)
<ガシュ>(ムジン)
「この程度で守護侍とは…
笑わせる」<ズババ>(アタ)
ムジンさんの見せ場がなくて本当に残念ですね。しかし、「不死身の無尽」の二つ名で呼ばれていたムジンさんですが、思いっきり死んでますが…。侍の死を「散体」と呼ぶようです。しかし、斬られても死なないとか馬侍も言ってましたが、侍に成り立ての八丸の仕込みに斬られて散体しましたよね。同じようにムジンさんもここでロッカーボールとキーユニットと侍魂に成り果てました。描写をじっくり見てもムジンさんのキーユニットも無傷の状態でロッカーボールから排出されています。
ムジンさんは散体の前に「武神よ…我を見はなさないで」と言ってます。それを急かすようにアタさんが「往生際が悪いぞ」としていました。この描写を素直に受け止めると、侍の生死とはどんなに斬られようと観念しなければ死なないみたいな…「精神論」で片付けられると思います。既にここまで来る内にキーホルダーの金翅鳥・加瑠羅やムジンの取り巻きも宇宙のチリみたくなってましたし、サ姫もよく見ると背中から鈍(なまくら)で串刺しにして殺されているんです。
ムジンだってあれだけ大層な迦楼羅の鎧をひん剥かれて身体に何本も鈍(なまくら)を刺された上にアタさんの侍魂で串刺しにされてもう万策尽き果てた感がありました。ここまでコテンパンにやられてしまって心が折れてしまった…。つまり、ムジンさんがアタさんに剣技や膂力(りょりょく)、何から何まで圧倒されて「もうダメです!!」と思ったのが、侍の死=散体の契機となるのではないでしょうか?これは…諦めたらそこでゲームセットだよ…という例のアレですわ。
ムジンさんがここまで頑張ったのはサ姫の存在が大きく影響してるんじゃないでしょうか?それはムジンが運命の姫様との間に「勇」を創った…その他大勢の侍とは違う存在であった事を意味します。ムジンはどんな事があっても諦めないから死なないという不死だったと思うんです。そうであれば、八丸なんて侍になった直後の若造の仕込みにまんまと胴を抜かれた馬侍がアッサリと散体したのは、守るべき姫も、姫との関係で創られる「勇」すら持たないただの侍だったから…と読み込めます。
しかし、アタさんの強さはそんなムジンさんの心を折ってしまうほど強大だったのでしょう。達麻が八丸とアンちゃんの行く末を案じるのは2人の間に「勇」が創られないと八丸がただ単にサイボーグの身体を持つだけの侍になってしまうからなんでしょうか?それだけだと少し弱い…というか、宇宙の命運を賭けるには曖昧な価値に感じられます。「勇」についてはもう少し考えたいな。ま…やはり、「不死」なんて言うんだから死ぬなよ!!とムジンさんに言いたいところではあります(笑)。
続きまーす!!