サムライ8 八丸伝 第15話 八丸の「義」感想④
「出発だ!
まずは拙者のアジトへ向かう」(達麻)
「オレは赤木城へ戻ります!」(葉芽道)
<ゴオオオオオオ>
「ちょっとごめん…」<ザン>(八丸)
「父ちゃんの仇は必ず討つよ!
次にここに帰って来る時はその報告だ
……もうオレには守りたいものができた
だからオレの人生はきっといい人生になる…
そうだろ?
だからもううじうじはしねーよ
天国から見てる父ちゃんの前で…
安い涙は見せられねーし…
どうせなら強がって
笑って約束を守ってやるよ!」(八丸)
<スッ>(八丸)
「アンも
銀河も
父ちゃんとの最後の約束も
何が何でも――――
守る
…今さらだけど
それを親孝行だと思って下さい
オレはその親孝行を侍の「義」にするから
行ってきます」(八丸)
葉芽道はやっぱ一緒に行かないようですね。ところで葉芽道には運命の姫様はいるんですかね?何気にウーン姫といい感じですけど、このまま別れちゃったらその後の二人の動静が分からなくなりますね。葉芽道は目が可愛くて、個人的に好きなキャラです。また、かなりジジイで縁側でお茶を啜るのが似合う達麻と、まだまだ幼い八丸との間を埋める存在になってくれたらいいなと、葉芽道には期待していましたので、この流れは残念です。でも、これも運命。だからこそまた会えるかも知れない運命もあります!!
今話のこのパートは特に風情があって、パパの墓前で誓いを立てる八丸の背中に「第一部・完」の雰囲気も滲んでました(次の頁捲ったら見開き一発で…真っ暗な洞窟で悪だくみする面々がいて、一人は洞窟の天井からぶら下がってるかもッ!?とドキドキしました…ウン)。これまでのお話で容量的にはちょうど単行本二冊分なんですよね。連載物としては一応、一区切りですね。確かに八丸にとっては怒涛の15話でしたけど、読者としては若干物足りないです。特に今話は単行本の帳尻合わせみたいな感じがしてなりません。
第一話「1つ目の鍵」が3話分くらいのボリュームがあって第二話「空からの訪問者」もそこそこ長かったので、第1巻が7話収録で第2巻が8話収録でうまく揃うみたいな調整とかしてませんよね。今話は「カーラ」という敵の名前が分かった以外はほとんど既出ネタかある程度想像できてたネタしかでてません。墓前のシーンなんかはいい描写ではありますが、八丸があまりにも別人杉て、今までのお話と繋がりません。「完璧じゃなくてもいい」と、岸本先生が仰られるわりに八丸が完璧に仕上がってしまっていませんか!?(汗)
僕も主人公補正とか仕方ないと思うんですが、これまで能力や感じ方…自分の在り方が歪な子供達に対するメッセージを、作中から感じていただけに、八丸の余りにも急激な変節が受け容れられずにいます。その中ですごく問題だと思うのは、子供達の中に一定数いる当初の八丸のような特性の子供達はこれをどう受け取ったらいいか?というところです。ある時、壮絶なイベントが発生して、そこでこんな風に蛹が蝶に一変するようにメタモルフォーゼできませんからね…人間って。そこを子供らが勘違いしたら困ります。
或いは、パパが八丸の発達(成長)を医療的に阻害していたなんて疑惑が、もしも本当だったら、それはそれで倫理的に問題ありますし、それ以前に当初の八丸のような子供達はどうすればいいのでしょうか?だって八丸とその子らは全く違う存在になりますもの。これじゃーまるで「醜いアヒルの子」じゃないですか!?ま…『NARUTO -ナルト-』も出来損ないのウスラトンカチのナルトが、実は四代目火影・波風ミナトとうずまき一族の末裔・うずまきクシナのハイブリッドでしたー!!というお話ではありましたが、今作は出発点が違います。
僕もかなり凸凹で歪な子供でしたから、まるで自分の事のようにこの作品には親近感と共に期待感を持って臨んでいたんですね。ホントに紆余曲折があって、今、このようにして元気なオッチャンに僕はなれたんですが、八丸はどんな風に自分と自分の人生を探すんだろうか?と興味津々でした。それがパパの死を契機に八丸が全く違うキャラになってしまったかのような描かれ方で思考が止まっちゃったんです。その前にサイボーグ(侍)になった時にもこんなに大きく変わらなかったじゃないですか!?
こんな風に変われないから苦しいんですよ。実際に苦しくて生き辛さを抱えて踠いている子らが確かにいるんですよ。僕もそうだったから…。当初の八丸のような子供らが今の八丸を見て、斯く在りたいと思えますかね。そう思うのは自由だし、それが希望になるならいいのだけれど、僕は頑固で変わり者でしたから、「このままじゃダメなの?」と感じたと思います(笑)。『サムライ8 八丸伝』はお話も画もどっちも好きなんですけど、主人公の八丸にリアリティが感じられないんです。考察は辞めませんけど…。
続きまーす!!