サムライ8 八丸伝 第17話 コツガとリュウ 感想⑦
「このホルダーを斬るとは
たいした刀を持っている」(達麻)
「何者だ!?」(達麻)
「えっと…オレは…誰だっけ?」(リュウ)
「ちょい待ち!
ボクらはここの警備の者で
…あやしい奴らが先に入っていくのを見たか…
ってか猫!?かわいっ!!」(コツガ)
「…オレたちより先に盗みに
入った奴なんか見てないぞオレ」(リュウ)
「バカヤロー!!!
いい相棒だよまったくお前は!」(コツガ)
「相棒って?」(リュウ)
「お前だよ!!」(コツガ)
「竜——やるぞ!」(コツガ)
「何を?」(リュウ)
「猫を切る!盗む!逃げる!」(コツガ)
<スッ>「!」(八丸)
「!」(アン)
「何者!!?」<ザッ>(八丸)
<カシュ>(八丸)
「えっと…オレは…」(リュウ)
「ひとしきり終わった流れ
またむし返すんじゃねーーよ!!
ってか女…!?かわいい!!」(コツガ)
「オレは竜だ!」(リュウ)
「今回はちゃんと言えんのかよ!!?」(コツガ)
<カシュ>「骨河…どれを斬っていい?」<ズッ>(リュウ)
「いつも通り女以外は……
ぜ~~んぶ斬っちまえ!!」(コツガ)
リュウにかなり重篤な問題がありそうだな…と気を取られていて見逃してましたが、コツガも注意が逸れやすく、見た目の年齢以上に幼児性を残していますね。彼がコソ泥ちゃんなのも貧困だけが原因ではなく欲求の制御が苦手だったり、注意や意欲が持続できない性質が関係してるのかも知れません。ツッコミのセンスは非常にいいものを持っていそうなので、豊かなコミュ力と合わせて芸能関係が向いてるように思います。それに顔もかなりイケてるんですから、俳優養成所とか劇団に参加して得意分野を伸ばせばいいと思うんですが…。
また、リュウがナチュラルにボケで、芸風的には藤山寛美さんの若い頃を思い出させます。一緒に舞台で演じる役者さんが寛美さんのボケが面白過ぎてセリフが出てこなくて、それをお客さんが見て笑って、それを寛美さんがちょこっと拾ってまたボケて、また演者さんが笑いに落ちて…っていう楽しい無限ループがよく続きましたけど、リュウのボケを活かすのがコツガのツッコミでありまして、これはもうNSC(吉本総合芸能学院・New Star Creation)みたいなところに二人をぶっ込めば数年後には入学金や授業料までサクッと回収できそうなんですが、誰か投資してみましょうか?(笑)
もしも、そんな風にこの子らの光る部分に気付ける大人ともっと早く出会えていたら、この子らだってコソ泥ちゃんなんかにならずに済んだのに…と思います。家が貧しいとか、親がいないとか…何かしらの不遇があって人生を踏み外すなんてことは珍しくありません。また、個人的な能力の不備や不足で社会や組織に馴染めず一般的な正道から外れてしまうのもよくあります。でも、その中でどう生きるか?を少しでも考える事ができたら、その行く先は大きく変わります。問題はそれに気付けるキッカケをその子が見逃さずに掴めるか?否かにあります。
普通は子供らが自分の人生に気付く為の助走期間として義務教育があったり、それ以上の高等教育が整備されています。でも、皆が皆、その恩恵に与れるとは限らず少なからず外れてしまう子も存在します。コツガとリュウもそんな風に自分の特性を理解できずに、漠然とした生き辛さの中で、コソ泥ちゃんなんていう道に踏み外してしまったんじゃないかと思うんです。子供の頃ってどのようにして自分の人生を切り開くか?という動機付けからしてできないんです。だから具体的な方針や方法なんて考えつく筈がないんです!!
幼いから…ただ目の前にある事に考えなしに飛びついて安易に過ごしてしまうんです。自分の力の使い方が分からないんです。よく見たらいろんな才能が子供らの中にはあるんです。中には自分で自分をプロデュースしてのし上がっていける子もいるでしょうが、そうじゃない子の方が圧倒的に多いです。だからこそ、子供の近くに居る大人はその子の特性や才能をよく観察して、その子がどう生きるべきか?に気付けるように行先を示唆したり、その子らが何かと出会えるように配慮すべきだと思います。勿論、それが親や先生であれば当然の仕事です!!
ちゃんとその子を見て、その子のいいところを引き出して、その長所に子供自身が気付けるように仕向けて欲しいと思います。もしも、そういう大人と子供の頃に出会えたなら、それはどの子供にとってはこの上もない幸運であり、それこそ一生の宝物でしょう。人生とは出会いなのであります。日々、何かと出会う。だからこそ別れもあるのですが、その中で一度掴んだ手を離さない…離せない出会いというものが必ずあります。その大切さを子供らにちゃんと分からせる…非常に難しいですが、それが大人の重要な役目に思います。
もしかしたら、その大切な出会いにコツガとリュウが今まさに差し掛かったのではなかろうかと、僕は期待しています。こうして何かの縁があって二人は達麻らに出会えたのであります。そして達麻は既にリュウの切れ味に何をか感じています。それはリュウの良き才能の一端なのかも知れません。そして、その才能がリュウの人生を切り開く力になるかも知れないのです。しかし、それをコソ泥の手段としてしか使えないのはリュウやコツガに自分の力の良き使い道が見つかっていないだけだと教えてあげなくちゃ!!
それこそこの子らと出会ってしまった大人の役目なのであります。この子らの犯した過ちをにべもなく弾くのは簡単な事です。しかし一度や二度…何度だって道を踏み外そうと人生はそこで終わりではありません。その命が果てるまで人間は生き続けなくてはならんのです。人生は長い…長いのです。その中でもがく子供らを大人は何とかして導いてあげる冪だと、僕は思うのです。そしてコツガとリュウもこの出会いをものにして欲しいです。たった一瞬でも大きく人生を変える出会いがある!!一期一会を見逃すな!!