サムライ8 八丸伝 第32話 タイムリミット 感想②
「いいぞ竜!弁形を——」(八丸)
「え!?」(アン)
<スッ…>(竜)
(今度は竜かよ!)「やめろ!竜!」(八丸)
「ケッ!!!チンタラしてるから
見捨てられるんだ…」(利用するのもここまでか…)(弁形)
「短い間だったが今までありがとう」(竜)
「は?」(骨河)
「!!?」
<ブン>(竜)
「ちょっ!!ちょい待ちィ!!!」(骨河)
<ピタッ>
「何だ?」(竜)
「…何で相棒のオレを斬ろうとするゥ!!?」(骨河)
「相棒って?」(竜)
「オレの事だよ!!」(骨河)
「フッ…相棒か…」(骨河)
「骨河…お前はやっぱり悪い奴だ」(竜)
「!」(骨河)
<パチ>(竜)
<バッ>
「!?」(弁形)
「ウオオオ!!!」(骨河)
「何だ…これ?」<パチ>(竜)
「なにっ!?」(弁形)
<ズバッ>
「ぐあ!!」(弁形)
「いい計画は秘密って事さ」(骨河)
(相棒)(骨河・竜)←知るかーッ!!!!!
お話の筋を考えるにあたって、骨河が三打として八丸達の仲間入りする為にある種の禊(みそぎ)が必要であると、僕は考えておりました。当初、骨河はウミガメちゃん(洋犬)に忍び込んだコソ泥の居直り強盗犯でしかなかったものが、いつの間にか八丸達の仲間みたいな扱いになし崩しに流されてましたけど、それが少し前のお話で裏切って実は弁形の手下で…と世界中の誰も驚かないような種明かしがありましたけど、骨河は人型ホルダーを操って八丸達を殺そうとしたのは事実です。しかし、それも八丸達に簡単に制圧されて骨河はまた捕らわれの身(手錠を掛けられた)になりましたね。
でも、達麻が手に入れた弁形の記憶から骨河が弁形の企みで父と母を亡くし闇落ちしたという事情が分かった途端、何故だか悲劇のヒロインみたいに八丸が持ち上げて、弁形討伐作戦が立ち上がって、そこに横から千ちゃんが現れてそれが核弾頭発射阻止作戦に変節しました。そのゴタゴタで何故だか骨河は八丸達の仲間に逆戻りして骨河は弁形のくれた名前だから本名の三打になる…みたいな緩いお話がここ数話続きました。しかし、骨河が騙されていようが、骨河がした強盗殺人や裏切りの罪が消えて無くなる訳ではありません。実際、骨河はオレは悪くないとしか思ってなくて反省もしてません。
法律において罪に対する罰が存在するのは自分の仕出かした行いに対してその重さを感じて悔い改める為です。しかし、骨河はなーなーで許され、弁形から八丸達へ立ち位置が変わっただけ。その時、自分を受け入れてくれる方に移っただけです。自分の都合のいい方について自分の利益だけを大事にしているのです。そこに一片の反省もなく、弁形に責任転嫁して済ましている。これでは八丸や竜以外にもっといい条件で自分を受け入れてくれる存在が見つかったらすぐに鞍替えするでしょう。実際、最後まで自分の命が惜しくて竜を殺すか否かに悩んでましたけど、竜が一方的にトラップを壊しだ脱出しました。
そこで竜がそのまま骨河を斬り捨ててしまえばよかったものを、ウィンク(合図)なんかして骨河が案の定寝返って弁形に斬りかかるんですが、やっぱ骨河は一ミリも反省してないものね。骨河の行動の何処にも正義がありません。正義とは別に「善」でなくてもよく「悪」でもいい訳です。弁形の為に盗みと殺しを重ねるとしても骨河の正義がそこにあるなら生き方としては正しいのです。でも、骨河はその時々の損得勘定のみで動いているので、ここで寝返って八丸達の側に立って弁形に刃向かうとしても、それが骨河にとって利益だからです。でも…それだと悲しすぎるでしょ!!ってお話ですな(笑)。
愛すべき父親に裏切られ弁形には利用され、誰からも愛されず…その境遇には同情するが…体だけ成長してクズが出来上がってしまった。これがないように、せめて弁形に骨河が愛されていて欲しかった…。骨河が愛に触れた痕跡が僕はどうしても欲しかったのです。これまで八丸の正式な元服を表現しようと「何の為に、誰の為に」を描いて来たのだけど、それを感じる「心」がなければならない。「心」とは脳の機能であり、教育によって養われます。人は生まれながらにして人に非らず。いろんな経験を重ねて人は人になって行く生き物なのであります。しかし、幼い子供にそんな話は決して通じません。
だから、その子の近くにいる大人がその子を育てるのです。まだ何者でもない子供にいろんな経験とそれに関する気付きを与え、その都度、いろんなモノをその身に取り込ませていつしかその子を何者かにして行く…教育するのです。それは「心」を与えて行くという事です。弁形も幼い骨河を育てた筈なのです。きっと大変だったと思います。その頃の骨河は一銭たりとも稼げなかっただろうし、逆にそれなりに出費も嵩んだ筈。普通は親が子を育てるのだけど、弁形は親でも何でもない。それでも骨河を育てたのだからその原動力こそ「愛」じゃなきゃ何なんだよ!!と思ったけど違った(笑)。
まだ何者でもない子供らは大人の「愛」によって育まれます。「愛」の中で子供らは「心」を得て本当の意味で「人」になるのです。その子にしっかりとした「心」が宿れば、その「心」が信じる「正義」というものが生じます。侍の「義」と同じです。それが八丸の気付いた「何の為に」であります。骨河に「心」が存在して「弁形(金)の為に」という「正義」(義)があったならば、善悪云々は置いといて骨河の「芯」というんですかね…他者から観測した「信ずべき部分」というものが存在する訳です。しかし、悲しいかな骨河にはそれがない。その為、彼は微塵も反省ができないし、ホイホイ寝返れるのです。
数字入りの名前の三打(=骨河)がこの先、実は箱の鍵でしたーなんて展開になるとは思うけど普通にクズですなー。そんな骨河を受け入れる竜も竜だけど、登場する人物が悉く頭が悪いし倫理観がないヤツばかりだから仕方ないか…。また、こんな骨河に期待して折角トラップに拘束した敵をそのままにしてトドメを刺さなかったから反撃を食らう弁形が救えない(笑)。もう…皆んなバカ過ぎて手に負えません(笑)。一人でもいいからちゃんとしたキャラがいればいいのに皆無だし…。仕方ないから、チラッとしか出てないけど鹿侍と鹿姫がまともだったら、もう彼らが主人公でいいからやり直せよ!!
続きまーす!!