サムライ8 八丸伝 第33話 相棒 感想⑤
[今ここで……
オレに10億を寄こすなら
助けてやる]<スッ>(三打)
[やっぱりお前はいい奴だぜ…
相棒](弁形)
[コードを持て(打て?)](三打)
<ピッ>(弁形)
<コソ><コソ>(三打・弁形)
「!」(千)
「コソコソ何をやってる!?」(千)
「え!?」(八丸)
「ま…まさか―――!
お前ェ!!?」(モブ3)
<スッ…>(三打)
「!!?」(弁形)
<ズバッ>(三打)
「は?」(弁形)
<ドサッ>「なっ!?
骨河てめェ!!騙しやがったな!!」(弁形)
「お前はオレの事を何も知らねーな弁」(三打)
「悪ーけどオレはそう
いい奴じゃねーんだよ
それに完璧でもねェ
けど秘密の多いお前の事だが
これだけは分かった
お前に
本当の相棒はいねェ」(三打)
三打が弁形に近寄るコマで弁形が微妙に嬉しそう…と言うか、「受け」っぽい雰囲気を僕は感じました。千ちゃんに踏みにじられた格好にはなったけど、弁形には弁形の考えがあって頭が空っぽの義常から本気で三打を救わねば!!という気持ちは本物だったんじゃーないかと、しつこいですけども僕は思います。義常とママを殺した時点で弁形にとって使える道具(牛若丸と鬼若丸)ではない三打のような手の掛かる幼な子を育て上げて腹心の部下にするにしても弁形にはもっと手軽な選択肢(人型ホルダーやNPC侍など)が存在しましたから殊更、弁形が三打を引き取る理由はないからです。
そうしてもう一度、弁形を見ると何だか…ウォームアップからの〜準備万端のベッド上で彼氏さんを待ち受ける女の子のような表情で「乙女ーッ!!」じゃないですか!?(笑)もしかして弁形は牛若丸共々千ちゃんの鶴(キーホルダー)に拘束されてて身動きできない状態のまな板の上の鯉ですんで、藁にも縋りたい気持ちも手伝って乙女化しちゃったんですかね(笑)。ま…真実は弁形のみが知っているのですが、弁形の弱り目に三打はうまくつけ込んでいるようです。きっと弁形と組んで仕事をする中で鍛えられた三打のコミュ力の為せる技で、その意味では弁形は三打を真面目に育てた証拠になろうかと思います。
それで三打は小さなデバイスを取り出し弁形と交渉します。この世界の通貨はキャッシュレス化されてて、八丸もそれで目の飛び出るような高額の反物を決済してしまい金欠になったのは記憶に新しいです(笑)。ちなみに星間規模で共通の通貨が存在する事から千ちゃんの所属する銀河球連邦がEU(欧州連合)におけるユーロ(€)のような通貨を管理してるものと思われます。そして三打の取り出したのはこの世界の通貨(円なんだよなー)を決済する端末のようです。ここはスマホみたいな汎用端末の方が合理的だと思いますが、セキュリティ等の関係で専用機が必要だと考えて受け入れます(笑)。
その端末を弁形に差し出して「コードを持て」と三打が告げたのですが、これは「コードを打て」の間違いかなー…と思います。描写中、コード(有線)を弁形が握った(持った)風でもありませんし、ここはコード(=暗証コード)の方がしっくりきます。三打は「その(暗証)コードをこの端末に打ち込んで決済しろ」と弁形に持ちかけているのだと僕は読み込むことにしました。単行本でここが修正されるかちょっぴり楽しみです(笑)。でも、僕は『サムライ8 八丸伝』の単行本は購入しませんけどね。本棚に入れるコミックスは厳選してまして、仁義として毎週週ジャンを購入するだけで勘弁して貰います(笑)。
しかし、弁形は三打の提案を鵜呑みにして10億円もの金子(きんす)の要求に応えたようですが、本気で三打がこの難局を打破して弁形を逃がせると思ったのですねー。でもこれはどう考えても三打にそんな権限はないし、武力で千ちゃん達を圧倒して…という線も排除されるのでちょっと無理筋ですね。お話の取って付けた感が半端ないです。この筋で押したいならばここに至るまでに相応の準備が必要だと思われます。例えば弁形と三打の間の信頼関係の描写や、弁形は本心では三打を愛していて大切に育てた…なんていうエピソードでもなければ弱い。だから、<コソ><コソ>がコントっぽく見えちゃうんですよ。
それを駄目押しするかのように千ちゃんが「コソコソ何をやってる!?」って言うのがツボにハマった人もいるんじゃないですか(笑)。僕はプロット(物語の筋)がめちゃくちゃ過ぎて既に「笑わない男化」してて大丈夫でした(笑)。それで…結局、弁形に10億円を入金させた直後に弁形の首を<ズバッ>と刎ねてしまいますけど、なかなか綺麗な太刀筋でした。しかし、弁形は三打の太刀筋が義常にしごかれた結果だと認識できているのでしょうか?誰しも完璧にはなれませんが、完璧を目指して努力する事は尊いんですよ。勿論、義常はそれを期待して弁形や三打をしごいたのだと思います。
ところでここに来て「完璧」というワードを弁形と三打のセリフに入れ込んでいますけど、これもちょっと無理筋に感じます。何と申しますか、尺とは関係なしに着地点ありきで何の工夫もなくぶっ込んで来る作風を何とかしていただけませんかね?!バトルロイヤル編がここで仕舞うから、別にネタ振ってないけど詰め込んでるのがバレバレで鼻について仕方ないです。それに別に「完璧でなくていい」というメッセージをここで入れる必要はない。はっきり無いと言えます。だってここでは誰も完璧なんて目指してないもの!!侍ってそういう設定じゃん。誰も努力なんかしてないじゃん!!
ロッカーボールに承認されて侍に成れれば斬られても死なない。技はダウンロードすればいい。それが侍の設定なんだから、素振りするのが滑稽に思えます(笑)。ロッカーボールの承認も「志」の有無どころか、善悪(倫理観)の見境すらなくて、血液検査で判別できる程度の遺伝的素養に依ります。侍に成った後も容量云々でヒエラルキーが生じますが、それも遺伝的素養に左右されて努力や精進とは無縁の世界観です。そんな中で自分の貧弱な鍵に強者の鍵をゴテゴテと繋いで能力を得ようとした弁形は唯一努力してたなー。しかし、その努力すら努力と評価できないのが悲しいかなこの世界(=達麻)である訳です。
これが絶望じゃなかったら何なの!?っていう世界でこの子らは生きているのだから、こんな世界は終わらせてやり直そうと考えるのは酷く真っ当に思えます。だから僕はカーラさんやアタさんを支持しております。ちなみにアタさんが言う「銀河のあるべき姿」というのはロッカーボールテクノロジーのない世界だと僕は考えていまして、「マンダラの箱」を開くと全てのロッカーボールとロッカーボール由来の存在(侍とキーホルダー)が無に帰すのではないかと夢想しています。お話が逸れてしまったけど、侍に成れた時点で全く努力しなくていいという設定がある以上、このお話は詰んでおりますので。
続きまーす!!