サムライ8 八丸伝 第35話 侘び寂び 感想⑧
「我が師にも同じ事を言われました
まだまだ未熟者だと
…それこそ箱の中に閉じ込められた
猫のような気分です…
いや死んだ猫か…
暗い棺の中で目も見えず
外を知るよしもない」(達麻)
「ハァ…
なんか…達麻師匠ほどの人が凹むと
オレなんかって…もっと凹みます」(八丸)
「”どう見るか”だと
言ったな
「師とて完璧ではない」
「己と近い存在だ」
と…喜ぶ事も出来る」(不動明王)
(ずーっと問答ばっかり)(八丸)
「まぁ…そう言われればそうですけど」(八丸)
「思い込みで閉じ込めている
箱のフタを開ける鍵は
己自身が握っているものだ
「死んだ猫か」
はたまた
「生きてる侍」か
お前達が決める事だ
どう見せるかも」(不動明王)
「助言ありがとうございます」<スッ>(達麻)
達麻が「…それこそ箱の中に閉じ込められた猫のような気分です…」と言っていますが、これは達麻が烏枢沙魔流のウィルスソフトによって「目の見えない猫」の姿に変えられた状態を表現してるんですよね。でも、これちょっと口を滑らせたようで、実際、その直後に「いや死んだ猫か…」と言い換えています。別に死んでないし、更にその後に続けたように「暗い棺の中で目も見えず外を知るよしもない」と卑下するほどに不自由ではありません。達麻は猫の姿で目も見えない(視覚が全く無い訳ではない)けど、実際には箱に閉じ込められていません。箱に閉じ込められたように不自由だと感じてるのでしょうが…。
でも…これまで達麻は侍魂を振り翳(かざ)し金剛夜叉流の免許皆伝者の剣技で敵を圧倒しています。無雲落下の危機に際しては大技・大気剣を繰り出し、若干、八丸の体を借りはしましたが星砕きを再現して大ピンチを凌ぎました。でも、達麻は自分を死んだ猫と自分を評するほどにダメだと感じています。それが「箱の中に閉じ込められた」という感想を根拠ではあるんでしょうが、それを「思い込みで閉じ込めている箱(のフタ)」と暗に戒めているのです。そして、それに続けて「鍵は己自身が握っているものだ」と、これもうヒントじゃなくて答えじゃん!!っていうくらいのネタを提供しています(笑)。
そして不動明王は更に続けます。達麻が「死んだ猫か」はたまた「生きてる侍」かは「どう見せるかも(含めて)」「お前達が決める事だ」と。つまり、達麻が猫なのか人なのかは達麻が決めていいのです。一個前の感想で書いちゃったけど、達麻が「自分は人間だ!!(しかもイケメンの)」と「イメージ」しれば解決するお話なのです。きっと達麻がイメージしたものがプログラムとして出力されてh粒子に関与して猫の体が人間の体になる…。それが烏枢沙魔流のウィルスソフトを駆除するのか、猫のプログラムを上書きする(消去)するのかは見かけ上の問題に過ぎません。問題なのは達麻はそれが出来ないと思ってるところです。
…と、不動明王は口を酸っぱくしているのだと思います。「鍵は己自身が握っている」っていうのは達麻がイメージすれば「どう見せるか」なんて自分で「決める事」なんだよー…と不動明王は何度もしつこく達麻に教えています。これはもうチラ見せとか匂わせなんかじゃなく、通告か宣言です(笑)。これで出口が見出せないんだったら達麻は理解しようとしていないレベル(笑)。だから50年も掛けて「箱の鍵」が八丸だけなんだーとも思いますが、僕が不動明王だったら「いい?分かってる?何度も言ったよね!?ね!?ちゃんと聞いてんの?頭、大丈夫!?真剣にやってr(ry)」とエキサイトしちゃうと思います(笑)。
「あ!そうだ!
で!箱の中って一体
何が入ってるんですか!?」(八丸)
「それは…」(不動明王)
「箱を開けた者だけが知る事を許される」(不動明王)
「えェ~~~~~!!!」(八丸)
「なら…!ちょっとだけ
ヒントだけでも!」(八丸)
「お前はすでに箱の中のものを見ている」(不動明王)
「!!?」(八丸)
「だが気付いていないのだ
本質もまた観測者が見るレベルになければ
認識できない
お前も師匠と同じだな」(不動明王)
(………すでに見てる…!?)(八丸)
「…本当にオレなんかが
箱の中を知る事が出来るのかな?
師匠すら…」(八丸)
「自分の事をそれこそどう見るかだ
お前の可能性」<スウ…>(不動明王)
「宇宙の無限と等しく広がっている」(不動明王)
<ピロリン>[金剛夜叉流免許受領・完了]
※免許のダウンロードにはものすごく時間が(ryと達麻が言ってたと思うんですが、たった一話で済んじゃうのにm月曜日の朝、エーッ!!と近所で叫び声が聞こえました(ウソ)。これで八丸が現実世界に戻ったら100年経ってましたーになるとか?(笑)そしたらアンちゃんも死んでます罠。でも千ちゃんと鶴姫が一緒に居るからコールドスリープもあるある…(笑)。さてどうなりますやら…次号が気になりますね。
それで最後に八丸が不動明王に「箱の中身」に関する質問を投げかけるのですが、それは見事にはぐらかされました(笑)。この時の不動明王の間の作り方が絶妙でどうしてもみのもんたさんの「クイズ$ミリオネア」の「ファイナルアンサー」を思い出してしまいます。できればここで八丸が喉を<ゴクリ>と鳴らす擬音が欲しいと思いました(笑)。でも、不動明王はここでもほとんど答えを言っちゃったよーなもんだと思うんですよ。八丸は「すでに箱の中のものを見ている」ですよ。でも「気付いていない」のだそうですが…。そしてトドメに「お前も師匠と同じだな」と不動明王は言ってしまった(汗)。
同じ…というのは「思い込みで箱にフタをしている」という事だと僕は思います。不動明王はこれまでに「まやかしが本質を曇らせる」とか「どう見えるかだ」と言っておりまして、これまで達麻と八丸が出会ったものの中に「箱」が在ったのだと何とかして二人に伝えたい気持ちが伝わります。そして、「箱」は「箱の形」をしているとも限らないです。観測者のレベルや見方によって如何様にも姿を変える筈です。それを説明する為に不動明王はこの世界の成り立ちを一から解説してくれましたよね。そこでh粒子が全ての物質に作用して自分のイメージで書き起こしたプログラムで自在に操作できると教えてくれました。
この世界の全ての物質の基礎となる素粒子には不動明王の一部(三輪身の状態)であるh粒子がくっ付いていて、それに侍のイメージ=プログラムが働きかけて自在に操作できます。人間がロッカーボールの切腹刀で割腹して侍になれればh粒子に関与できる資格が与えられるという風にも考えられます。そして侍はホルダーにプログラム(=イメージ)を注入してキーホルダーを創り出します。侍はイメージ(=プログラム)によってメタモルフォーゼ(変身)させる事ができるのです。それはh粒子に干渉する能力なのだから、この世界(宇宙)の全てに対して侍のプログラムは適用できるのだとも不動明王は言いました。
思い込みというまやかしが本質を曇らせているのです。そして箱のフタの鍵は己自身が握っているものだ…とも。…という事は八丸が「すでに箱の中のものを見ている」(だが気付いていない)ことで、これまで登場したものの中に「箱」と「箱のなかのもの」があるべきです。そして、それは不動明王の一部たるh粒子によってメタモルフォーゼ(変身)したものであるべきです。これまで登場したものの中で八丸が見たものでh粒子に造形されたもの…つまりそれは侍とキーホルダーということになります。そしてその中で出所不明で素性が全く分からないもの…で絞り込めば…それは「竜」しかいない!!
これが僕のファイナルアンサー!!
サムライ8 八丸伝 第35話 侘び寂び ハチマル ケルベロス 了