サムライ8 八丸伝 第37話 好敵手(ライバル) 感想②
「やっと起きたか」(花一)
「その声…花一か!
こんな所で会うとはな」(達麻)
「知り合いですか!?」(千)
「我々と同じく
烏枢沙魔流も箱の鍵である
7人を探していたのだ
花一は拙者と目的が被った
好敵手…!!」(達麻)
「どうやらやっと1人…
いや…2人…見つけたか
強い引力を感じる」(達麻)
「じゃあ後ろのかわいい女の子も!?
オレの地図には載ってなかったけど…!」(八丸)
「まだ侍になってないが…
お前と近い引力を持っている」(達麻)
今回、いろいろとセリフがおかしいです(笑)。五空と千ちゃんの間に割って入った達麻に花一さんが「やっと起きたか」と言ってますけど、花一さんは達麻がいつから寝てるかを知らない訳ですから「やっと」と言えるのは達麻が長く眠っていたのを知っている…達麻が眠っていて困った…大変だったと思う洋犬のクルーだけです。それをいきなり現れて達麻のスリープモードを見た花一さんが言うのは違います。作品を俯瞰する読者と同レベルの知見が登場キャラにあるのはおかしいのです。これは作者(=ネームを書いている)である岸本先生の知識であり、それが意図せずしてキャラに伝播してしまっているのです。
僕なんかがサラッと読んで直ぐに気が付くような違和感であれば校正時に担当の編集者なり校正の担当者なりが指摘して差し上げるべきだと、僕は思います。自分の作品を客観視する事は凄く難しいと思えます。また、岸本先生もそういうフィードバックを大切にすべきだとも思います。大方の意見としては岸本先生が編集に対して聞く耳を持たない…今作の立ち上げにおいて矢作さんの担当編集就任を拒んだという情報があったりで、そんな感じに思ってる人が多い(僕もほぼほぼ…笑)と思いますが、ホントのところは当事者にしか分かりませんけど、常識的に考えられる作り方でオKだと思うんですよー。
そもそも何で達麻が五空と千ちゃんの間に割って入って二人の争いを止めるのか?僕には分かりません。この時点で花一さんが烏枢沙魔流の「箱の鍵」の収集で達麻の好敵手(ライバル)であるなら、当然千ちゃんに肩入れして五空の虚を突くなり、花一さんに斬り込むなりすると思うんですよ。何で達麻が止めんの?まだ花一さんの弁明が始まる前の段階ですから、ここで達麻は花一さんの変節は知らない筈なんです。だったらこの行動はこの時点でなはいです。なのに、この流れ…いきなり共闘に傾いてるとしか思えなくて、僕が江戸川コナン君だったら「あれれー…!?」ってなって眼鏡クイッ(←想像の産物)となるなー(笑)。
それとねー…「引力」なんですけど、達麻が五空と苺ちゃんを前にして感じてる引力が侍のステータスにおける普遍的な引力なのか?それとも「箱の鍵」だけが持ち得る特殊な引力なのか?良く分からんのです。引力そのものが漠然としてて良く分からんのにこんな風に謎に謎を被されたらもっと分からん(笑)。ものすごく手前味噌な要求、要望で申し訳ないんですが、読者がこんな風に悩まないで済むように考えて貰うっていうのはできないんですかね。例えば、ここで達麻が感じた引力は苺ちゃんに限定されていて、五空のそれとは違うというようなエクスキューズが盛り込まれればサラッと流せたと思います。
何て書け(言え)ばいいのか?迷うんですけど、引力ひとつ取り上げてみてもその意味合いがそれぞれの描写で一貫してないんですよ。漠然としてて、その癖、ステータスでは数値化されてるし…どれがホントの引力なんですかー?って「夏休み子供電話相談室」(2月ですけど)に電話して訊きたくなる(笑)。もしかして…その場その場の気分とかやり易さでお座なりに処理しちゃってるんでしょうか?それだとお話の整合性が維持できなくなるんです。この作品では一話の中ですら辻褄が合わない状況が多々ありまして、その辺は商業印刷の最低条件として是非ともクリアして頂きたいものだと切に願うのであります。
続きまーす!!