サムライ8 八丸伝 第37話 好敵手(ライバル) 感想⑥
「どうだろう達麻
かつてのわだかまりを捨て
手を組まないか?」(花一)
「!」(達麻)
「……」(達麻)
「2人で……
箱の鍵を集めるのだ」(花一)
「……
敵だったお前をどう信用しろと?」(達麻)
<スッ>「私の侍魂を
お前に預ける」(花一)
「!師匠!
己の侍魂を手離すなど
死なぬ侍が死んだも同じ!!
刀を持たぬ侍は――」(五空)
「武士道とは死ぬ事と見つけたり
お前の協力なくして鍵は集まらん
カーラにこの銀河は渡さぬ……
私の「義」だ!」(花一)
「……」(達麻)
「曇りのない侍魂…
言葉に偽りはないな」(達麻)
<ガチャ>「今の拙者は
心眼で侍魂の純度を見定めできる
ひとまず情報共有だ」(達麻)
「相変わらず
話が早くて助かる」<ガチャ>(花一)
「かたじけない<カチ>
互いに手を組むなどないと
思っていたが今は――」(花一)
「私にとって名誉な事だ」(花一)
八丸と五空…弟子同士は水面下の鍔迫(つばぜり)り合いでお忙しそうですが、師匠同士はいきなりマッタリとお茶なんか啜って、「敵だったお前をどう信用しろと?」の達麻なんてほぼほぼ「嫌い嫌いも好きな内」の乙女(ネコ)じゃーないですか(笑)。ところで、ホントは…達麻と花一さんは好敵手(ライバル)→金剛夜叉流と烏枢沙魔流はそれぞれ「箱の鍵」(天然物)を探していた→達麻が猫侍になるイベントで花一さんは巻き込まれて犬侍になった…という経緯があったようですが、達麻って猫侍になってから「パンドラの箱」と「7つの鍵」を探しなさいと第1話の冒頭部分で夜叉さんに命令されたんじゃーなかったっけ?
当初は達麻は目が見えない猫の姿に偶然なってて…っていう流れだったんだけど後に烏枢沙魔流に無理やり猫に封じ込まれた…みたいな設定に変わりますが、もう面倒臭いのでスルーしています(笑)。そのイベントで何故だか花一さんも巻き込まれて犬侍になっちゃったみたいなので、きっと本性とは真逆の容姿に変貌するウィルソソフトを散布したんじゃーないでしょうか?それで花一さんは本性が猫だったから犬の姿に変わって、達麻は本性が犬だったから猫侍になってしまったようなんですが、自分らで散布したウィルスソフトに感染してしまって、それが原因でかは定かではないけど失脚までした花一さんって(笑)。
紆余曲折があって花一さんは烏枢沙魔流を離反し師匠のカーラさんも今はもう呼び捨て状態で、「箱の鍵」をコンプして「パンドラの箱」をカーラさんよりも先に開いてその力でカーラさんを倒そうとしてるようです。しかし、しかしですよ!!そういう花一さんの変節が達麻には知れてない筈なのに、何で達麻は千ちゃんと五空の交戦を止めたのが分からんのです!!敵のキーホルダーの腹の中でお茶を啜り和むご一行といい、何のすり合わせもなくここまで分かり合えるなんて、この子らみんなニュータイプなのかな?(宇宙空間で覚醒しちゃったんかなー?)…と思うしかないのでしょうか!?(笑)
ま…作者の岸本先生がこの世界の神様なのですから(キッ神の思うまま…というアレです)、お好きにして宜しいかと思われますが、余りにも不自然過ぎてリアリティが感じられません(汗)。やはり、ここは達麻が花一さんの話しを聞いてみようと思うに足るイベントが不可欠だったように思います。それに達麻と花一さんは敵同士の頃から剣士として侍として通じ合う何かがあった…という背景も全く描かれていませんし、岸本先生の頭の中にある情報だけが未来に伝搬してて我々読者に伝わっていない=描写がないのであります。どんなに巻いてもそれ描かなきゃダメでしょ!!っていうのが悉く抜け落ちています。
結局、花一さんって達麻が配布した侍ゲーのムービーに登場した「不動明王の試練」だったんですよね。そして、そこで交わされた達麻と花一さんの会話が今話の邂逅でリフレインしておる訳ですが、「武士道とは死ぬ事と見つけたり」とか「義を見てせざるは勇なきなり」で出てくる「武士」「義」「勇」などという用語がリアル(論語?)と作中とで全く違うものなので、もう何を言ってるのか分からない…っていうか、言葉の真意ではなく上っ面のみ(恐らく響き)で使われているので何の感慨も湧きません。そもそも、これらのセリフが物語の根幹に何ら関わっていないんですから、それでどう感動しろと仰るのか?!
「Zガンダム」でアムロとシャア(クワトロ)が邂逅した件(くだり)で僕はワンワンと泣きました。声を枯らすくらい泣きました。それはアムロとシャアがファーストで魂をぶつけ合うようにお互いを否定し合う様を嫌という程見せつけられたからです。そういう二人が時を経て大人になり昂ぶる感情を抑え、お互いを尊重し合える心の余裕が持てるようになったからあんなに静かに…席を同じくできたから、僕らは納得した…それが自然に感じられた訳です。それに至る二人の歩みがしっかりと描かれていたから僕らは感動できたのです。最初と最後だけポッと描いて、同じセリフをそれに重ねたところでダメなのですよ!!!!
少なくとも達麻と花一さんが同じソファーに腰掛けて茶を啜る前に二人の心の成長(変節)が示されないとダメですよ。岸本先生の頭の中でお話が進んで、その結果だけがここでポッと提示されても伝わりっこないのですよ。岸本先生もお忙しいとは思いますが、「機動戦士ガンダム」のファーストから「Z」までを一気に観て頂いてレポート(原稿用紙20枚)を提出して頂けますか?ホント…『サムライ8 八丸伝』って言葉の上っ面だけを扱ってる感じがして、言葉の芯(本質)が伴っていないんですよ。「大切なものほど目に見えるところにはないものです」を真に描きたいのであればご自身がそれを実践するべきだと、僕は思うのであります。
続きまーす!!(言ってる事とやってる事が真逆っていう…皮肉)