サムライ8 八丸伝 第37話 好敵手(ライバル) 感想⑦
「お…驚いたけど
花一さんも五空さんもいい人そう
イ…イチゴちゃんもカワイイし」(アン)
「…あの犬の師匠っぽい人はいいとして
あの弟子の方はどうかと思うけど!」(八丸)
苺ちゃんが八丸と五空はややこしい事にはならないと断言できたのは八丸と五空のレベルが違い過ぎるからです。苺ちゃんは心眼によって八丸と五空の本質がしっかりと見えているのでしょう。八丸とアンちゃんは「運命」という特別なプログラムで繋がっているから五空にはどうにもできません。確かに五空はそれを羨ましく思ってはいますが、今ここで五空が何をしようと意味がないのでそれ以上踏み込まないのです。しかし、八丸は悲しいくらいに何も持ち合わせないスカスカな子だから、明らかに自分より出来のいい五空にアンちゃんを奪われそうで不安で仕方なくて、それが五空への敵意に全振りされています。
もし本気で五空がアンちゃんを欲するならば何もせず八丸が自滅するのを観ていればいい訳で、そういう五空の態度が更に八丸を不安に陥れるスパイラルが生じます。五空があからさまな八丸の敵意に対してアルカイックスマイルで応えているのは最悪、その程度の保険が掛かっているからです。もっとも、五空がそこまでゲスな手札を切る必要がないくらい多くの選択肢を残していると考えるべきでしょう。それに対して八丸は自分を五空とを比べている限り不安や劣等感に苛まれ続けます。比べようもない程の差。同じ土俵、同じ地平に居ない二人は好敵手(ライバル)ですらない…それが苺ちゃんには見えているのです。
これもう…五空を主人公にして「五空伝」にしちゃえば!?って思ったりもしますが、それだと余りにも救いがないので、八丸には是非とも研鑽を積んで頂いて…(笑)。ところで花一さんが八丸の存在意義(アタさんの足止め役)を速攻見切った辺り達麻より上位の心眼を備えている筈で、そういう師の下で修行し研鑽を重ねたから今の五空が在る訳で、達麻だって本気出せば八丸をより高みに導けると思うんですが、それができない…というか、達麻が敢えてしないのは八丸を単なる道具としか感じてないからだと思います。それに対する花一さんの指摘に達麻が黙して語らないのが腹黒過ぎて辛いです(笑)。
(金剛夜叉流——)(アタ)
「!!」
(十字斬り)<ズバ>(アタ)
「二角から七角はどうだ?」<ズズズ>(アタ)
『侍魂の回収終わりました』(解析AI)
←ところでオジさんは誰!?
「!!」(これは…候剣!!)
「くっ!」
「回復できぬっ!!」
「ホルダーを戻せ
…オレもこいつらの侍魂を回収する
その後すぐに八角を追う!」(アタ)
<ズズズ>
『はい承知しました』(解析AI)
そんな和気藹々(?)な白兎(仮)の歓談からアタさんサイドにスイッチしちゃって、アタさんの(金剛夜叉流——)の詠唱では何が何だか分からなくて何度か頁を行ったり来たりしてしまった(汗)。突然、登場した2体のロボットが何なのか分からなくて、漫画を間違えた?!と焦せりました。まさか『宇宙戦艦ティラミス』ですかー!?のユニバース感覚に包まれて陰毛と話を始めそうになりますた(笑)。でもこれはアタさん達が角弾頭でぶち壊した三つの惑星の守護侍(星位大将軍)じゃないかと思います。アタさんの龍のキーホルダー(艦)が支給する侍の鎧の大きさと比較するとこの2体が横綱級なので(適当)。
アタさんはそれを金剛夜叉流・十字剣で瞬殺したんですね。しかも、候剣のオプション付きで…。これは先の花一さんが(心眼で)見破った八丸の足止め役というものをアタさん側から肯定する意味合いが強かろうと思います。それに岸本先生の「候剣は忘れてませんよー」というアナウンスもありーの、アタさんだってこの候剣を達麻から教えて貰った(正確にはダウンロードだがな)んだろうし、当然、達麻に候剣が在る事をアタさんが知り得るというメッセージと捉えられます。しかしただそれだけの為に斬り刻まれた星位大将軍にももう少し誠意<プッ…>を示してあげて欲しいという想いもあれど弱いんだから仕方ない(笑)。
ところで、アタさん達は惑星を破壊(征夷大将軍らは衛生軌道上で惑星を守護していたので被害を免れたと考えます)して侍魂を集めているんですね。アタさんも星位大将軍(?)の侍魂をしっかり回収していくようなので、余程大量に侍魂が必要なのでしょう。そして、それはカーラさんのオーダーという事が分かっていますので、カーラさんは手下に集めさせた大量の侍魂を使って何かをしようとしているのだと思います。侍魂は竜(軍荼利流)の描写で複数の侍魂を「融合」させる事が可能なのだと思います。それをもっと巨大な侍魂を製造してカーラさんが真剣化するというんですかね。
それか…アタさんが前にやった自性輪身をカーラさんが複数同時でやってクローン部隊を作っちゃうとかね。自性輪身は侍魂を核にしてh粒子をそれに纏わせて分身体を作る技術です。アタさんの自性輪身は八丸の住んで居た惑星の衛星である無雲を黙斬りで真っ二つにしちゃったんだから、それをカーラさんで、それも複数作られたら相当ヤバイです。ちなみにロッカーボールが人間を原料にして侍魂を生み出す装置みたいなもので、これは想定の範囲を逸するものではなく、カーラさんの自性輪身を作る為に一個の侍魂では足りなくて複数を融合してデカイのを作る必要がある可能性はそんなに突飛でもないですね。
ところで僕は今話のタイトルである「好敵手(ライバル)」っていうのに凄く引っかかってまして、今話に登場したキャラで「好敵手(ライバル)」と言えるのがギリギリ、達麻と花一さんくらいで、それも描き込みが薄くて第1話のキャラとセリフを今話に重ねただけの薄っぺらい仕掛けでしかなくとても残念でした。八丸と五空の対比も最後のアタさんの登場もあまり参考にならないと思うし、ぶっちゃけ余計だったので、それだったら千ちゃんと五空をしっかりとぶつけて、その結果として花一さんの変節を達麻が感じて心を通わせる…という風な流れにすべきだったと僕は思います。折角の大ネタが…。
この物語では「大切なものほど目に見えるところにはない」から、それを見抜く「心眼」を養いましょう!!というメッセージがあると思うんですね。しかし、岸本先生はと申しますと、コマ割りで読者をミスリードするとか、「義を見てせざるは…」とか「武士道とは死ぬ事と…」なんていうセリフをテキトーにハメ込んだだけで、物事の本質に一歩も踏み込んでません。どっちかと言うと上っ面の描写に終始してて文字通り上滑りしているんです。つまり誰も大切なものを探していないんですよ。これじゃーお前ら何やってんの?!って事になりませんかね。のんびり茶啜ってる場合じゃない!!と僕は思いました。
サムライ8 八丸伝 第37話 好敵手(ライバル) ハチマル ケルベロス 了