サムライ8 八丸伝 第41話 侍・七志 感想④
「八丸…上だよ」(七志)
「!」(八丸)
「……」(八丸)
「すごい状態じゃないか!
大丈夫なの!?」<スウ…>(七志)
「!!
誰だ!?」(八丸)
「ちゃんと口はきけるみたいだね…
ボクだよ ランキング2位のナナシ」(七志)
「!
あの…ナナシか!?」(八丸)
「お前っ…!
どうやってここに!?」(八丸)
「侍の分身…
自性輪身を使ったんだよ
ボクのは特別で気配を消せるんだ
誰にも気付かれない
隠密タイプなんだ」(七志)
「……」(八丸)
「ああ…ボクも侍になったんだよ!
立派な元服名ももらった」<フワ…>(七志)
「”七つの志”と書いて
七志って言うんだ」<ピッ…>(七志)
「…七つの…志――…
……七志」(それって…!
アンの兄ちゃんと同じ…)(八丸)
「ボクみたいな名前のない子は
皆この名に憧れてる
いつからかボクの街ではね」(七志)
「……
そうだったのか…」(八丸)
八丸は鍵も侍魂も奪われて抜け殻(自我は保っている)になっています。mjd失意のどん底に沈んでいます。そこに舞い降りたのが旧知の七志だったんですが、八丸はナナシの事を忘れてましたね(笑)。第2話「空からの訪問者」〜第3話「戦車入刀」で二人は友達になったのに…(笑)。ま…七志が侍になっててステルス性の高い自性輪身(分身)なんて特殊な状態で突然登場したから驚いたのでしょうが、ここは「誰だ!?」じゃなくて「まさか!?お前!!」の方が良かったよね(笑)。同じ侍ゲーを死ぬほど(一億対戦だっけ?)やり込み合ってNo.1とNo.2なんだから気付いてやれや!!と思いました(笑)。
ところで七志の自性輪身ですけど、七志のセリフからするとアタさんみたいな上級者や烏枢沙魔流の専売特許ではなくて侍が普通に使えるスキルのようです。それで七志の場合は引き籠りの頃から周りの人に無視されてきたお陰でステルス性が高いようです。ステルスというのは戦闘機などが目視で見え難い塗装を施したり、レーダーに発見され難い工夫を施す事を言いますが、七志のそれは更に気配を消せる「隠密タイプ」なんだって。もしかしてら今回の七志のミッションが不動明王直々のオーダーだったなら、作戦遂行確率を上げる為に免許DL時に不動明王が七志の与えたチートプログラムだったりする可能性もありますね。
七志自身も言ってますが、人間だった頃は周囲に無視されるのが苦痛だったけれども、それがこんな形で役に立つなんて皮肉ですね。ちょっと前だけどTVアニメ『東京レイヴンズ』という大変面白い作品が放映されてましたけど、その作品の終盤で普段は目立たないキャラ設定の百枝天馬君がその特性を「隠形術」として昇華させて単身陰陽庁に忍び込み幽閉された主人公・土御門春虎の脱出に貢献してその存在を強烈にアピールしたのとすごく似てます。これは視点を変える事で短所を長所に変える…非常に示唆に富んだ描写であり、それを物語の中核にある「陰陽術」とを上手く重ね合わせたストーリー展開が誠に秀逸でした。
それに長所とか短所なんて単一の価値観で決められたら七志のステルス能力だって日の目を見なかっただろうから、教育者は多様な価値観を養わねばならんと思います。そもそも何が良くて何が悪いっていう尺度も人によって異なる訳だし、時と共に変化してるのだから思い込みは排除しないといけません。そう考えると七志の師匠の存在感が高まります。八丸よりも侍歴が短い七志がこんなに上出来なんですから、余程上手く導いたんではないでしょうか?それは八丸における達麻と比べるまでもなく、七志はいい師匠に出会えたのでしょう。次のパートで七志から「葉芽道」の名が出るので若干心配ですがきっとすごい侍ですよ〜(震え声)。
それと七志の元服名ですが、「いつからかボクの街ではね」というセリフから思うに、アンちゃんの亡兄・七志が起源ではなく、アンちゃんのお兄ちゃんも「七志」に憧れて自ら拝命したのではないでしょうか。あれはアンちゃんの幼き日の記憶であっても10年以内ですし、アンちゃんのお兄ちゃんは「切腹の儀」に失敗して死んじゃって赤木城下の子供らに憧れられるようなストーリーも残せていないので、お兄ちゃんから「七志」に寄せて行った…と考える方がしっくりと来ます。お兄ちゃんが七つの「義」から「七志」を手繰り寄せたんではなく「七志」の名前のお約束で自分の「義」を絞り出したのではないかと。
あの時、アンちゃんはまだ幼かったのでお兄ちゃんが「七志」をパクったと気付けなかったのです(笑)。しかし、赤木城の武士隊に所属して、例のお堂のロッカーボールで七志が「切腹の儀」を執り行ったとするといよいよ葉芽道が七志に絡んでしまって怖いです(笑)。ま…しかし、野球でも名選手が必ずしも名監督にはならなかったりもするので、師匠になってみたら葉芽道が意外に上手だった可能性もあります。また七志は八丸と違ってちゃんとした教育を受けていてスタート地点がまるで違います。今となってはアレですが、八丸にファンダメンタルな教育が施されていなかったというのがそんだけ致命的だったという事なのですねー。
続きまーす!!