サムライ8 八丸伝 第41話 侍・七志 感想⑥
<ギン><ギン><ギン><ギン><ギン><ギン><ギン>
「何で…俺なんかのために
そこまで……」(八丸)
<ギュッ>(七志)
<スッ>「君は
ボクの最初の友達だ
そしてボクの夢を
侍としての「義」をくれた
君を一生助ける事が
ボクの「義」!」(七志)
「ナナシ…お前…」(八丸)
「…確か君は
流星の不動明王のようになるんでしょ!?
願いを叶える次の流れ星に!」<ギン>(七志)
「…こんな
…こんな今のオレを見ても
まだそんなことを……」(八丸)
「いや…信じてるよ!
だってそう思わせてくれたのが君だから
ボクにとってはもう
侍になる願いを叶えてくれた
不動明王にしか見えないよ」(七志)
『サムライ8 八丸伝』を読んでいて「そうだ」と思える事もあるし「そうでもない」とも思える事があります(笑)。僕は八丸の「師匠がどう思おうが失望されたかどうかはオレが決める事にするよ」というセリフを聞いて「意味わからん!!」(ビューティ風)と思うし、八丸がどんだけ忘れてようが、どんだけ意味も分からず喋っていようとも、それを七志が一言一句拾い上げ、全てを噛む砕き飲み干し五臓六腑に染み渡らせて人生の糧にする様を見て「その通りだ!!頑張れ!!」と思っています。つまり、八丸がやるとダメだけど、七志がやるとオK…になってしまうのだけど、この違いは何なんだろう!?…と。
僕は基本的に八丸みたいに自分勝手でガサツで行儀が悪くて無神経でクズでカスでDQNな子は嫌いです(笑)。だから、八丸が何をしても気にくわない…というのはあるにはあります(笑)。それを充分に自覚した上で物語を俯瞰しつつ公正な立場に立って八丸と七志を比較してみても、やはり八丸の考え方や行動は容認できません。それに対して七志のセリフや行動は物凄く共感できるのであります。これに関しては僕の好き嫌いの感情云々ではなく、二人の行動原理に決定的な違いがあるのではないかと思います。もう一度言います。僕は七志を支持しますけど、八丸は支持できません。そしてそれと好き嫌いは全く関係ありません。
七志は八丸との出会いによって引き籠りを脱っせました。それは何でかと言うと、ぶっちゃけ…八丸を好きになったからです。八丸と出会い、恋に落ちあわよくばケーキ入刀を果たし八丸と結ばれたいと思っています。これは七志の人生のロードマップ…目的であります。それを七志は侍としての「義」に据えているのです。八丸を「一生助ける」と。きっと、八丸に出会うまで七志はそういう風に思える人が居なかったのでしょう。七志が引き籠ってたのは自分の全てを賭けて関わりたいと思える対象が見つからなかったからなんだと思います。僕は七志のこの感情に対してとやかく言う積もりはこれっぽっちもありません。
七志は八丸に出会えたのであります。そして、好きになってしまった。これは七志の恋なのであります。それに理由を求めるのはそれこそ野暮というものです。何故なら、これこそが「運命」だからであります。「運命」に理由などないのです。七志と八丸が出会ってしまった。それだけでいいのです。それだけで七志は八丸を好きになってしまった。理由があるのだとしたらそれは「出会ってしまったから」なのです。これはもう…幾度も恋を重ねて酸いも甘いも噛み分けたおっちゃんとおばちゃんには分かる…分かりますよね。理由なんてないのよ。下手したら意味すらないのよー(笑)。人は理不尽に誰かを愛する生き物なんですよ。
誰が見てもどうしようもない八丸ではありますが、七志にとっては「白馬に乗った王子様」で良いのであります。八丸の存在が七志を支え、何よりも豊かにしているのです。七志が勝手に、一方的に八丸を愛し…尽くしたいと願っているだけ。でも、それが七志の「義」であります。それが七志の「勇」すら構成する…その意味において八丸は七志の「姫」でもある訳です。これはもう誰が何と言おうと余人が口を挟める道理がない…七志が定義する七志の世界なのであります。それ故、七志は八丸を「不動明王」…つまり、「神」だと言っている訳です。これはこれで七志の「オレが決める事にするよ」であり、僕も一応…納得できるんです(次で補足します)。
しかし、それは僕が八丸が嫌いで七志が好きだから…という理由ではなく、七志にはあって八丸にはない何かが分水嶺なっております。この世界の理屈は僕にもよく分かりました。確固たる意識が弱い意識を押し退けて実現する世界です。間に合ってなくとも間に合ったと言い張ればいいし、誰がどう思ってもそれよりも強い意識で上書きすればそれが現実になる。そういうプログラムを不動明王が書き残したのです。でも、七志はそれすら上書きする勢いで人生を歩んでいます。今一度、僕らも侍・七志をよく見るべきなのであります。彼が何を想い、今ここに居るのか?何を訴えているのか?それがとても大切…。
続きまーす!!(ここで気付けるか気付けないかが読者の分水嶺だよ)