サムライ8 八丸伝 第41話 侍・七志 感想⑦
(オレが…不動明王に……)(八丸)
お前の両面を知っていれば
どう見ようとするかはその人によるものだ
大切なものは目に見えぬ
まやかしが本質を曇らせるだが気付いていないのだ
本質をまだ見ぬレベルになければ
認識できない
自分の事をそれこそどう見るかだ「死んだ猫」かはたまた
「生きてる侍」か
お前達が決める事だ
どう見せるかも
今の私は生きているとも
死んでいるとも言える
パラドックスの中にあり
お前の見方次第で決まる思い込みで閉じ込めている
箱のフタを開ける鍵は
己自身が握っているものだ
お前の可能性は
無限と等しく広がっている
「そうか……
そういう事だったんだ…
七志…ありがと
気付かせてくれて」(八丸)
「!!」(七志)
<ズオオオオオ>(八丸)
「八丸!君…
散体してるよ!!」(七志)
「心配すんな
自分がどうあるかは自分で決める
不動明王のように
死んでるか生きてるかも
オレが決める事にすんだからよ…」(八丸)
<ガチャ><ガチャ><ガチャ><ズズ…>
「穴が埋まらない!?
一体どういう事だ!?
合体していくぞ!」(○角)
七志は八丸より短い侍歴において恐らくは非常に濃密なスケジュールで修行に励んだのだと思います。だから、高速で移動する敵艦に気付かれずに接近でき、剰え自性輪身を駆使して敵艦に潜入まで果たせたのであります。若干、侍魂の真剣化は稚拙な部分を残しておりましたが、この短期間にここまで仕上げたのは大したものです。何より、七志が単身(キーホルダーAIのサポートはあるものの)で重大なミッションを遂行しようとしているところに七志の独立自尊の精神が感じられます。これまでほぼほぼ観客の合いの手要員だった八丸とは真逆の上出来さでありまして、読者としても七志の言葉には力を感じます。
八丸はと言うと口では「諦めてなんかねーよ!!」と言っておきながら、その直後に「伝説のオレの師匠ですら勝てなかったような奴だぞ!」と自らを速攻否定するパラドックス状態です(笑)。もうすでに心もポッキリと折れていて、これが義常やムジンさんだったらとっくに散体してるレベルです(笑)。八丸くらい思い込みが激しいと鍵(キーユニット)を抜かれようが、侍魂を奪われようがパカパカ開くハリボテの体のみになっても自我すら保ち続け、決して散体しない…不動明王がプログラムした侍システムの「死なないパラメータ」(←もしあるなら…)において八丸は最強なのです(笑)。
ところで七志の「義」と「勇」に関してですが、八丸なんていうどクズのアンポンタンに依存しているのはハッキリ言って危険です。七志は八丸を「一生助ける事」がその「義」でとしていますから、八丸が「君(←八丸)、散体してるよ!!」<ズオオオオ>となれば一緒に散体してもおかしくないからです(笑)。でも、ま…ここで七志が八丸の散体(?)に引っ張られて後追い散体しなかったところを見ると、七志が八丸を「一生助ける」のもその頭に(自分の為に…)がくっ付くのかも知れません(笑)。七志は先々まで見通して生きているのではなく、今この瞬間を全力で生きているだけ…。
七志には姫は居ませんが、八丸がチラッと七志を見て、「ありがと」の一言でも発してくれればそれこそ「勇」も満タンなのであります(笑)。一個前の感想でも書きましたが、七志の姫は間違いなく八丸なのです。七志にとっては八丸のちょっとした仕草すら「勇」を贈る祈りに相当する…これこそ「恋」の力なのです。そして、もしこの「恋」がなくなってしまたら…なんて先読みは「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」なので(笑)、非常に危険ではありますが、七志の「義」と「勇」の在り方につきましては僕も認めざるを得ません。七志なら八丸が居なくなってもきっと大丈夫よ(笑)。
下手したらメンヘラ一直線の七志の「義」と「勇」ではありますが、若い時に斯様な経験を積むのはとても大切です。命懸けの恋なんて!!そんな経験ができる事自体…羨ましいです。七志は命懸けです。だって切腹したんですもん!!八丸と一緒にいる為に、八丸を助ける為に七志は侍になったんですもん!!そして、八丸の大ピンチに合わせていろんな準備を重ねてきっちり仕上げて来たのであります。そしてたった一人で敵陣に果敢に乗り込んで来た!!そんな七志だから読者も納得できるし、一番厄介な八丸ですら納得して散体(笑)…「そういう事だったんだ…」と悟りを開いちゃった訳だ〜ァ!!
でも、でもでもでも…です!!八丸は今まで何して来たんでしょうか!?何もかんも周りの人がやってくれて、週が変わったら八丸が別人化して、問題があっても何故だか相手が謝って無かった事になっちゃって、学びも気付きもなくここまで41週を無為に過ごして来て、ここに来ていきなり悟られて…誰が納得できるかっちゅーの!!(笑)確かに八丸は無知蒙昧(むちもうまい)が故に「死なないパラメータ」がMaxではありますが、思い込みの強さだけで悟りを開かれても、そんなめちゃくちゃな世界に誰も興味ないし、感情移入できませんて(笑)。それこそ他所(別の宇宙)でどうぞ…です(笑)。
八丸は何も為していません。何も為していないから何も学べていません。何も学んでいないから何も気付けていないのです。八丸が七志の言動に感化されたのは七志が何かを為し、何かを学び、何かに気付いて来たからです。それこそが七志にあって八丸にないものなのであります。ここで何も気付いていない八丸がいきなり「宇宙の真理」に目覚めてもパラノイアの発作じゃん!!(笑)こんなの…お薬増やしておきますねーとしか言えんて(笑)。それが如何にも八丸らしくはあるけど…自分が強く念じれば世界の方が変わってくれるとか甘えてんじゃねーよ!!何も為さず、何も学ばず、何も気付かないでも自分の願いだけは成就させて貰おうなんて虫が良すぎるわ!!
サムライ8 八丸伝 第41話 侍・七志 ハチマル ケルベロス 了