サムライ8 八丸伝 第42話 次の流れ星 感想②
「八丸!
何でなの!?
どうして……」(七志)
「!!」(七志)
「……」(この感じは……!)(七志)
「気付いたか
この次元に来た者は
そう多くない」(不動明王)
「これって……」(八丸)
「完成された自性輪身は
肉体を捨て精神体だけとなる」(不動明王)
「……
精神体?」(八丸)
「その者が持つ情報の塊だ
散体は死ではない
本来 自性輪身として完成し
情報の塊…
つまり不動明王となる事だ」(不動明王)
「……じゃあ!オレって これ…
本当に——
不動明王になったって事!?」(八丸)
それで…八丸の方はと申しますと、やはり散体しちゃったみたいです(笑)。ここで八丸が還元されたローッカーボールを前に途方に暮れる七志が何をか感じています。これは七志が「免許のDL」で感じた気配…不動明王を示唆しているのではないかと、僕は思います。七志は明らかにナンバーズ(=名前に漢数字を冠するパンドラの箱の鍵侍)ですから、その免許のダウンロードに際して不動明王との接見がプログラムされています。そこまで七志が短期間で達する為に彼には優秀な師匠がいなければならないと僕は考察(第41話「侍・七志」)しました。この時、七志は八丸のロッカーボールに不動明王の存在を感じているのです。
それで久々に不動明王の登場です。不動明王の口が変な形に曲がっていますが、これは左右一本ずつ突き出た「牙」を象徴したデザインで不動明王像に共通する意匠です。当然宗教的な意味もあろうかと思います。それと余談ですが、「H粒子」の「H」が不動明王の「H」だと僕は思ってたんだけど、外国の方々にとっては「Fudo Myo-o」(バリエーションあり)で「F」なんですよね(笑)。ま…多分、岸本先生は「Hudou Myouou」のお積りだと思いますが仕方ないですね(笑)。それと海外での『サムライ8 八丸伝』の評価をツイッターでちょこっと調査してみまたんですが、「面白い!!」とか「最高!!」が多くてびっくりしました。
僕が接触したツイートが偏ってる可能性も否めませんが、海外ではそこまで漫画作品に対して深い心理描写や人間の成長を求めていないんではないかと感じました。この作品をポジティブに評価した人達にはアミューズメント(=気晴らし?)としての嗜好が強いのかなー…と。和風のデザインの侍のSF剣劇…その割にはチャンバラシーンが少ないけど(笑)…それだけで充分に面白いと感じているのかなー?もしかして僕が作品に対して求め過ぎなのかなー…と不安になったけど(笑)、僕は岸本先生の『NARUTO -ナルト-』を骨の髄までしゃぶった者としてやはりそれと同等のクオリティを期待したいと思います。
A Perfected incarnate body leaves the flesh behind...
...To Become nothing but a Spiritual being. (Fudo Myo-o)......Spiritual? (Hachi maru)
The amalgamation of all information the individual possesses.
To Discorporate is not to die.
In It's Original Sense, It Means to complete one's incarnate body.
To Become a mass of information...
In other words, To become Fudo Myo-o. (Fudo Myo-o)
それと最近は英語訳のセリフを読むようにしてて非常に興味深いので紹介させて下さい。「incarnate」は「転生する」でユーミンさんの楽曲で聞き覚えがありました。完成(Perfected)された自性輪身(incarnate body)は肉体を捨て(leaves the flesh behind)…というところ…とても上手く訳したなーと思いました。この訳し方から難解な「自性輪身」が向かうべき先が見えた気がします。ぶっちゃけ、不動明王は人間を情報集積体に押し上げる為に「侍システム」(ロッカーボール)を創出したという事が今回提示される訳ですが、その意図が英語だとよーく分かります。こういうのを見ると非日本語で作品を楽しむのもアリだと感じます。
「その者が持つ」(the individual possesses)「情報の塊」(The amalgamation of all information)とか唸ったもんね(笑)。週ジャン本誌を見て「ここどう訳すべき?」と考えながら読むんですけど、こういう英訳は先々まで考量しないとこういう風には訳せないです。これは英語の勉強にもなると思います。それに続く「散体は」(To Discorporate)「死ではない」(is not to die)でも「散体」を「Discorporate」としたんだー。「corporate」の反対(Dis-)ですね。バラバラにした…みたいな感じ方ですね。精神と肉体を分ける…解釈でしょうか。この辺は宗教観が絡むのでしっかり考えた事でしょう。
その後に続く「自性輪身として完成し」(It Means to complete one's incarnate body. )「情報の塊…(になるという事は)」(To Become a mass of information... )からは不動明王の目線で「情報集積体」を「A mass of information」と読み取れます。つまり、「不動明王」はいろんな情報が寄せ集められた「状態」を「侍システム」を使って創り出そうとしてるのが分かります。これはこの先をより深く理解する為の大きな気付きになると僕は確信します。それと非常に蛇足ですが「In It's Original Sense, 」(本来の意味では)や「In other words, 」(言い換えると)はよく使うので覚えておくといいなーと思いました(本当に蛇足)。
さて物語の中身に進むと…八丸は本当に散体してしまったんですね。それで不動明王の存在する「次元」…というか、これは「階層」ですよね。そこに到達します。これは一種の「解脱(Liberation)」なのかな…と個人的には思いました。不動明王曰く八丸が「自性輪身として完成した」という事なのですが、えらくやっすい(=簡単な)悟りだなー…(笑)。また「この次元に来た者はそう多くない」と不動明王は言いますが、八丸みたいななーんもやって来なかったアンポンタンでも来れるのに何言ってるのか意味が分かんない!!(笑)日々精進し一生懸命修行を重ねた侍がこれ見たら絶対に怒りますよ!!(笑)
しかし、「そう多くない」って事はここに来た侍は少数だけど他にも居たんだー。それは誰なんだろう?その侍は今、何をしているんでしょうか?それが金剛夜叉流の夜叉さんや烏枢沙魔流のカーラさんだったりして?!でも…もしかしたら、人間の意識を「情報集積体(A mass of information)」…ちなみにこれを第35話「侘び寂び」では「Information aggregation」と訳してて不動明王と新規は違う意味がありそうで興味深いです…に昇華させるのが「侍システム」の目的であって、向こうの世界(八丸達の世界)はどんなに悲惨な状態であれ「侍システム」を維持できればオKだと不動明王が考えて行動してるなら、八丸達にとっての巨悪…倒すべき敵は不動明王だと思えるんだけど…。
続きまーす!!