サムライ8 八丸伝 第42話 次の流れ星 感想⑥
<ギン>
<チラ>(アタ)
「!!」(アン)
<ズバッ>(アタ)
(アレは…黙斬り…か!)<ズズ>(八丸)
「は…八丸くん!!」(アン)
「ニャン!!」(早太郎)
<ズズ…>(そう――…)(八丸)
「やだ……!!」(アン)
(こんなオレに力を貸してくれて…
優しく心配してくれるアンが…
いつから好きになったんだ)(八丸)
「アン…
オレは…君を死んでも守るって
言ったけど…」<ズズズ…>(八丸)
「…うん…」(アン)
(アンは兄さんとオレを
重ね合わせてただけかもしれない
今にして思えばそれでもやっぱり…
オレはそれが嬉しかったんと思う)(八丸)
「…こんなオレでも…
まだ信じて…祈ってくれる?」(八丸)
「……いいよ…」(アン)
「それは…
どっちのいいよ?」(八丸)
<ニコ…>(アン)
(ありがとう)「分かった…
やってみるよオレ」(八丸)
(オレがアンを好きになったのも
アンの中に消えない兄さんの想いや…
父さんの死の間際での約束があった
からこそなのかも…なら――…)(八丸)
「やってみるんじゃない…
やるんだ!」(八丸)
(その繋がった力
全部で――)(八丸)
「君を守る」(八丸)
さて…次週で打ち切りが決まったけれど、最期の最後まで気を抜かずに行きますよーッ!!(もう遅いけど…)『サムライ8 八丸伝』のチャンバラが一撃必殺で、チャンチャンバラバラになってないのが残念ですが、それは剣技において斬撃の有効範囲がデタラメな為に「間合い」(の取り合い)に意味がないからです。その為、剣術の基礎である「足捌き」や「体捌き」といった「捌き」や「踏み込み」が不要になり、身体の効率的な動きを各流派の剣技特性に最適化した「型」ですら最早、プログラム発動の詠唱と同等の意味合いしかなく、ぶっちゃけ先に剣技を当てるか相手より出力の大きな剣技を出せば勝ちというのが何とも…(笑)。
ちな…斬撃の有効範囲がデタラメ…というのは、斬撃が飛ばせたり、明らかに実体剣(刃)の長さよりも大きなものが斬れてしまうという事でありまして、ナナシ君と八丸が「戦車入刀!!」でケーキ戦車を真っ二つにした時から危惧してました(笑)。こんな事してたら「間合い」とか関係ないじゃん!!ですから、殺陣(たて)で何が面白いかって、「間合いの取り合い」なもんで、これじゃー「刀」で戦う意味すらない(笑)。何で自分で自分の存在意義をかき消しちゃうかなー…って、僕はズーッと思ってましたもの。そんな事してるから打ち切りの憂き目を見る事になったんじゃん。これは誰が何たって残当な結果ですよ!!
…っていうかねー。この作品は自分の言ってる事を言ってる尻から自分で否定しますよねー。今回だって「散体は死ではない(寧ろ悟りだよ)」としたその直後に悟った筈の八丸のコピーが黒刀で強制散体させられて「悟るヒマも無しかよ」とか言ってたかと思うと、最後に残った一角はなかなか散体せずにゴニョゴニョやって「君を守る」(8→∞)でしょ。「悟るヒマなし」は何処行ったんだよー!!舐めてんのかよッ!!だもんね(笑)。こんな茶番見て誰も何も言わんのか!?直接言えないならコソっとラインでも飛ばせよ!!(笑)「先生、自己矛盾してますよー」って。「武士の情け」だろーよ(笑)。
まー…そんな訳で作品が散体した訳ですが、この前フリとして「散体は死ではない」としたんなら大したもんですよ!!全盛期の長州力を怒らせるより難しいーよ(笑)。でも、いろんな設定が刀で斬り合う戦闘スタイルそのものを陳腐化させ、剣戟を描き難くしてた…大技一発の淡白なやり取りしか描けない事実は消せないのさ。それがまともな「殺陣」が一度も描かれなかった理由なんですわー。連載一年を目前に「打ち切り」を食らった岸本先生も傷付いてるでしょーが、読者も随分と悔しい想いをした。大久保先生はこんなクズネームの清書は大変だったでしょうが、作画の練習になったんじゃーないですか!?
さて…最後のパートのアタさんと八丸のやり取りですけど(やっと書けるー)、ここはなかなかいいんですよ。先ずアタさんがアンちゃんに<ブン>と「黙斬り」を飛ばしてますよね。これは斬撃に見えないようにアタさんが演技しています。ちなみに…剣技の詠唱すらないのとモーションが小さいので斬撃としても弱くて一角の強制散体が弱かった…という風にも考えられますが、それは黒刀の剣圧や剣勢が強制散体に影響する提示…具体的にはアタさんがアンちゃんを庇って黒刀を浴びた一角に(浅かったか…)ぐらいに悔しがる演出が必須です。だから描写が自己矛盾だと取られちゃうんだけど、それは自業自得であります。
厳しい指摘はこの辺で、アタさんがその後、突っ込んできた八丸(一角)の刃を受けた後、視線をアンちゃんに向けてますよね。この描写はアタさんの目の動きで八丸がアンちゃんへの斬撃を察知したのではなく、これこそアタさんの「誘い」なのであります。「誘い」とはボクシングなどの「フェイント」みたいなもので、もっと上級者になると「殺気」だけで相手に自分の攻撃意図を考えさせ、相手の次の行動を誘導できるのです。この場合はアタさんが八丸に(アンちゃんに)「黙斬りを飛ばしたよー!!」的な不安を煽り、八丸にアンちゃんを庇わせようしたんです。だからアタさんはワザと八丸に分かるように視線を動かして八丸を誘導したのであります。
もし、ホントにアタさんが八丸をバフる(祈る)姫が目障りで殺しちゃおうと思ってたなら「黙斬り」で時間差を設ける必要もないし、ましてたその意図を八丸なんて初心者にあからさまに分かる動きも要らないです。鈍(なまくら)を飛ばすとか、普通も斬撃を飛ばせば済む事です。それなのに「黙斬り」をアンちゃんに飛ばして目で八丸に「誘い」を入れたのは八丸に黒刀の斬撃を浴びせる為です。アタさんは八丸が「候剣」を持っている最悪の可能性すら見越して最善手としてアンちゃんをデコイ(おとり)にして八丸を取りに行ったのです。それがアタさんの目の「誘い」の真意であります。初歩的な詰将棋(三手詰み程度)ですが(笑)。
アタさんはここで普通に斬撃をアンちゃんに飛ばして八丸の注意をアンちゃんに向けて、その隙を突いて八丸に黒刀をぶち込む手もありましたが、それだとアンちゃんが傷付いてしまいます。アタさんはアンちゃんが怪我したり死んでしまったりするのは避けたかったのかなー…と僕は思います。何故なら、アタさんはこの後、八丸とアンちゃんの会話を邪魔しないように見守っております。僕だったら往生際の悪い八丸に黒刀でもう一発入れとくけど、それだとアンちゃんが怪我するかも知れないし(笑)。これ見ると、案外、アタさんっていい人だよねーと思います(笑)。早太郎が何の役に立ってないのはもう見ちゃダメだよー(笑)。
しかし、どう考えても変だなーと思うのは八丸です。八丸は散体後に悟りを開いて不動明王化(精神体化)して「上層次元」に到達して不動明王のネットワークの一部に組み込まれた筈ですよね。だから、○角シリーズを乗っ取って『マトリックス』のスミスみたいに動かせたんだし、竜騎のコントロール権も奪えたんですよね。それなのに何でステータス値が前のままなんですかね。巨大ネットワークのデータを使い放題で無双できるんじゃーないの?ネットワークだけなの!?二角〜七角なんてアタさんに瞬殺されちゃったし、髪の色が変わっておでこに太極図まで刻んだに…八丸の不動明王化って大した事なさ杉ーッ!!(笑)
それに先にも書いたけど、二角〜七角までが瞬殺の強制散体なのに、何で一角だけ死ぬまでに猶予(=悟るヒマ)があって、何でそれをアタさんが黙って見てんの!?仲良しかッ!?いちいち描写に整合性がなくて、ここなんか直前の描写とですら矛盾があるのに、登場人物の一人としてそれをフォローしようとしないって、もう学芸会以下なー。おまけに二度目の散体する八丸のロッカーキューブを祈ってるのがアンちゃんなのはまー分かるけど、8パパとアン兄は普通の人間だし、アン兄なんて八丸と何の面識もない人。それが八丸を応援するんだとしても…たった3人だけって、えらく少ない人間関係で草。何でこれで「∞」になれんの?!
大体、八丸みたいに何の学びもなく、何の努力もなく、散体しても勘違いで不動明王化して、解脱しちゃたー!!って簡単杉ませんか?そんなら不動明王だらけになってないとおかしーだろーよ(笑)。その前に、普通に考えて八丸みたいなアンポンタンに世界を救われたいと思わないんですけど…。こんなのに救われる世界が可哀想です(笑)。ホントならここ…もうサイコーに胸熱展開なのに主人公が人としてどうかしてるので応援できません!!もしかしてそれで八丸を応援するのがアンちゃんと8パパとアン兄の三人だけなの?!それはそれで整合性があるけど、ここはもっと盛るとこでしょーと、打ち切り作品に鞭打つケルベロスであります(笑)。
サムライ8 八丸伝 第42話 次の流れ星 ハチマル ケルベロス 了