サムライ8 八丸伝 第19話 何が何でも!!! 感想⑤
「ねェなェあんな奴の姫はやめて
オレの女になんなよォ」(コツガ)
「は…八丸くん!
次こそがんばってー!!」(アン)
「早く抜けって!痛いんだから!!」(八丸)
(すげーすばやいこいつ!)(八丸)
「何が?」(リュウ)
『ラウンド2始め』(ホルダーAI)
<ボテッ>
『一本竜』<ピッ>(ホルダーAI)
「……」(達麻)
「は…八丸くん……」(アン)
「ちょっ…ちょっと待て!」(八丸)
「毎回こうやってくっつくの待つのかな?
かったるいなぁ〜〜〜」(コツガ)
「!」(いや…こいつ
結合が早い)(リュウ)
「よーし!もう一度だ!」<カチャ>(八丸)
<ズバッ>『一本竜』(ホルダーAI)
<ズボッ>『一本竜』<ズガ>(ホルダーAI)
<スパッ>『一本竜』<ズカ>(ホルダーAI)
『一本竜』<ピッ>(ホルダーAI)
<ハァ><ハァ>(八丸)
「ハハハハ!
こいつまるで仕掛けにかかるバカネズミだな!」(コツガ)
「ダ…達麻師匠
な…何かアドバイスは…な…ないんですか?」(アン)
「答えを己で導くのも訓練の一環だ」(達麻)
恐らくリュウは構えた状態から一直線に八丸を斬りつけているのでしょう。何事も止まった状態から動く時には、ヨッコラショ♫という感じにリズムを取ったり、歩幅を変えたり、体を屈めたり…動きに入る為の予備動作があるもので、これはその人の癖みたいなもんだと考えて良いでしょう。剣術や剣道でそれを「起こり」と呼んでいまして、これを排するように修行を積むものです。リュウはその「起こり」が極めて少ないのでしょう。だから、1/120フレームを見切る八丸の目でもリュウの攻撃が見切れないでやられっ放しなのです。
剣速も速いのでしょうが、剣の出所や動作の立ち上がり(起点)が掴めない方が厄介です。事実、八丸は気付かぬ間に斬られています。また八丸は<ハァ><ハァ>と肩で息をしていますが、その呼吸すら「起こり」としてリュウは察知し、その「先」(せん)を抑えるように剣を走らせているのでしょう。リュウには八丸の全てが見えた状態ではないかと思います。剣士としてのレベルが違い過ぎます。しかし、アタさんの時は八丸はもう少し善戦できたと思うんですが、今回は情けないくらいに防戦一方のやられっ放しですが、どこがどう違うのでしょうか?
これはやはり達麻が最初に説明した対戦の「ルール」に尽きると思われます。八丸の頭の中を「己の刃が少しでも相手の身体に触れたら一本」が占領していて自由な発想が影を潜めているのだと思います。八丸は今やイケメン化しましたけど、基本的に一点集中ですから、達麻が示した対戦の「ルール」が八丸を雁字搦めに縛っているのは非常に自然な成り行きに思えます。僕は達麻の教育者としての一面をかなり高く評価しているんですが、今回のような課題の出し方は八丸の良さをスポイルしてしまうので、何で!?と違和感を拭えないでいました。
八丸には剣士としてのスキルや経験値がほとんどありませんから、逆にそれがアタさんにとっては意外性となって八丸の動きが読めなかったんではないかと思います。しかし、今や八丸は「ルール」の虜になっていますから、八丸が唯一実力者に対して刃向える可能性のある意外性が出せなくてこの有様(笑)。八丸に「らしくなってきた」と訳の分からない事を言ってた達麻が八丸をわざわざ「らしくなく」するなんてどういう事?!と、ま…痛快なチャンバラを待ちに待った読者としては非常につまらない展開を目の当たりにして虚無感が漂うのであります。
でも、達麻がそんな無意味な事を八丸にさせるのも変だな…とは思うので、圧倒的に実力差のあるリュウに八丸をコテンパンにやっつけさせて、間合いの取り方とか、自分と相手の間合いの違いを如何に埋めるかを八丸に考えさせる為に、八丸よりも遥かに実力者であるリュウに更にハンデとして、八丸の意外性を意識的に殺したのかな…と考える事にしました。ま…達麻もそんなような事をアンちゃんに言ってるのでホルダーAIに任せて楽しようとか、居眠りをブッここうと考えてないのを心の底から祈っております(笑)。
続きまーす!!