サムライ8 八丸伝 第40話 支えの喪失 感想⑦
<ズイ>(アタ)
「昔…今のお前と同じ状態にされた
ハンナという
なじみの美しい女侍がいてな…
何十年も試し斬りの素体にされ続けた
彼女の「義」は…
不出来な侍の弟を
一生守り抜く事だった」(アタ)
「……」(八丸)
<スッ>(アタ)
「お前は本当の地獄を知らない
生き地獄……
それは弟にとっても同じだった
姉を生き地獄から救うには
己が死ねば事足りる
だが弟は死ねなかった……
侍の死ねぬ体を呪ったそうだ」(アタ)
<ガゴゴゴゴ>
<ガコン>
「待て!!アタ!!」(八丸)
八丸はアタさん達に囚われて壁から伸びる無数のチューブに繋がれて自由を奪われて…これじゃーまるで第1話「1つめの鍵」の生命維持装置に繋がれた状態に逆戻りじゃないッスか!?師匠。その上、今は腕も上腕から斬り落とされているのでゲームすらできない(笑)。だからあれ程DMMO-RPG(Dive Massively Multiplayer Online Role Playing Game/「オーバーロード」)にしておけと!!(笑)でもこれから毎日、八丸は一角~七角に試し斬りされる素体になるんですからお先真っ暗で、まー…とてもゲームを楽しめる雰囲気ではないですね。しかし、こんな風に八丸を飼い殺しにしてアタさん達に何の得があるんでしょうか?
それで僕は一個前の感想で「試し斬り」と「回復ソケット」をリンクさせて「候剣」を無効化して八丸が復活する方法を考えてみましたが、ここでアタさんの口から「ハンナ」の名前が飛び出して、アタさんの捻じ曲がった「愛」が見え隠れしています。「ハンナ」は第14話「父の秘密」で大気剣で萎びた達麻が口にした名前です。当初、それがアタさんの姫の名前かと思ったんですが、「ハンナ」という名の女侍だったのですね。しかもアタさんが「美しい女侍」とわざわざ言うくらいですから、めっちゃ美形だったのでしょう。これで女子の容姿がそーでもないと思いっきり滑ってしまうのでリアルでも注意が必要な案件です(笑)。
しかし、アタさんの昔話的な他人事って、実はアタさんが当事者ってのもリアルのあるある(笑)。そうなるとアタさんが八丸に示された他人事に登場する「不出来な侍の弟」という事になります。アタさんが不動明王の遺した「パンドラの箱」と「マンダラの箱」を揃えて神の力を得て銀河を消し去ると宣言した時に達麻は「それを…ハンナが望んでいると思うのか!?」と責めたんですよ。達麻の口ぶりからするとアタさんが金剛夜叉流にいた頃(アタさんが達麻の弟子だった頃)ですからハンナもハンナの弟も金剛夜叉流の侍だったのでしょう。つまり「ハンナ」の試し斬りのエピソードは金剛夜叉流での出来事という事になります。
烏枢沙魔流だから(適当)…って訳じゃなく「試し斬り」は侍にとっては通常の修行なのでしょう。強い「勇」や「義」があって簡単に死ねない侍を身動きできない状態にして只々斬り刻む修行って…もーそれだけで侍の世界に倫理観が存在しないのがよーく分かります。そして侍が欲する「勇」や「義」の本質すらリアルの僕らの価値観とは全く趣を異にする事が分かります。僕らが考える「正義」や「悪」だって侍の世界では意味が異なるでしょう。だから第38話「アンと八丸と五空」で五空が八丸に「(侍や武士の前に)ちゃんとした人であるべきだ」と告げた「ちゃんとした人」も言葉通りに受け取るべきではありません。
これまでも花一さんが自分の住んでた星が角弾頭で吹き飛ばされた爆八こと苺ちゃんに「間に合ったな」と言って読者を騒つかせましたが、侍は「誰かの為」ではなくて「自分の為」に自分の「義」を定めるんだと思います。花一さんが「間に合った」というのは苺ちゃんにとってではなく花一さん自身…自分(の目的)にとっての「間に合った」です。苺ちゃんの気持ちなど関係ないんです。「勇」だって同じです。アンちゃんが勝手に八丸に亡兄・七志を重ねて祈れば「白い刃」だって覚醒しちゃうんだもの。それを八丸にぶっちゃけた後も変わらず「勇」が整うどころかもっと強くなっていて救いがない(笑)。
だから、「ハンナ」が望むか望まないかは関係ない訳です。それ以前に達麻が「ハンナ」の気持ちを慮ったんではなくて達麻自身の意に沿うか沿わないかを責めてるんだから、どんだけ自分勝手か?が侍の矜持なのです。その意味で八丸の「師匠がどう思おうが失望されたかどうかはオレが決める事にするよ」(第26話「侍らしく」)は誠に侍らしいセリフなのであります。これがこの世界、侍の世界のデフォ(デフォルト・default)なのですから、僕らのリアルの常識で到底理解できないセリフが出てきたらその頭に(自分の為に…)を付加すればめちゃめちゃしっくり来るので騙されたと思ってやってみて下さい(笑)。
アタさんの昔話の登場人物は「ハンナ」と「不出来な侍の弟」と「試し斬りをした侍」でありまして、アタさんが「ハンナ」以外のどちらかか、それを傍観した第三者なのか?は断定に至りません。そもそもが(自分の為に…)を至高の価値観とする侍の行動ですからその答えを見つけても胸糞が悪くなるだけなので考えないでいようと思います。ただ、このイベントが何かの手違いで八丸の利益に傾けば八丸の立つ瀬もあるというものです。そんな事を考えてるとアタさん達の鑑に近付くナナシ君が久々に登場して、しかも侍になってて、三つ頭の獣(キーホルダー)に騎乗して増援キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!なのであります。
<スウー…>
「やっと追い着いたよ
八丸!」(ナナシ)
ナナシ君は赤木城下の住人で葉芽道(←狼侍なんだよね)の所属する武士隊で修行してましたね。だからアンちゃんの亡兄・七志が「切腹の儀」に失敗したロッカーボールが近くにあった筈です。葉芽道みたいなチョロい侍が上の方で胡座かいてるような組織だから危機管理もまともではなくて、未成年で武士隊に入っていない未就学の七志が死亡する事故があってもロッカーボールを別の場所に移すなどの対策も取られずにずーっと同じ場所に置いてたと思います。きっとナナシ君はそのロッカーボールで「切腹の儀」を行ったんじゃーないでしょうか?時期的には八丸が無雲を達麻のリモートで「星砕き」した以降でしょうね。
また七志の事故は武士隊の中で都市伝説として語り継がれていたんじゃないかな…と思います。そこで「七志」の「義」はナナシ君にも伝わったんではないかと期待します。だから、ナナシ君の元服名(烏帽子名)は「七志」でいいじゃん!!と、僕は考えます。アタさんの鑑を追いかけるナナシ君の半纏?が<スウー…>っと闇から浮き上がる描写(ここまではステルスモードで存在を秘匿しながら飛んでたんだよね)で「七」の文字が見えます。八丸とあそこまで劇的で運命的な出会いをしたナナシ君ですからこれで「箱の鍵」じゃーなきゃ何なのさなので、ナナシ君も数字持ちのナンバーズなんですわ(笑)。だからその名に「七」が入るは必定。
しかし、侍ゲー的にも八丸の次点だし、侍になった時期も後だし、ここでナナシ君が来たところでどうにもならんような気がします(笑)。八丸と違ってナナシ君は武士隊でのキャリアもあるにはあるけど引き籠りでそんな修行熱心でもなかった筈だし。例えば、光速で移行するアタさんの鑑をナナシ君のキーホルダーも自性輪身でスピード上げて猛追してるなどの描写があればちょっとは期待できたんですが、通常モードですよね。個人的には「三つ頭の獣」のキーホルダーってのがツボで、僕のHNのケルベロス(cerberus)の「三つ頭の犬(地獄の番犬)」と仲良しこよしのキメラちゃんじゃーないですか!!
それにナナシ君だけじゃーなくて、あと二つ…「箱の鍵」は残ってますしね。一人は見下星のバトルロイヤル編で登場した姫持ちの鹿侍(名前は「四華丸」でいーよ!!)で、苺ちゃんはハチマルでは「箱の鍵」から除外してるので…三打、四華丸(仮)、五空、七志(仮)、八丸と竜(←仮名)の6人が揃って単騎待ちのリーチです。八丸の「内なる宇宙」が「箱の鍵」の在り処を示した「光の線」も後1本残りますから苺ちゃん以外に「箱の鍵」がいる筈なので、それが運命に引き寄せられて集結すれば何とかなりますってー(適当)。でもこの展開、ちょっとやそっとじゃ閉じれなそうなのでまだまだ続く予感でケルベロスまで「杖(ささえ)」を失っちゃいそう…(笑)。
サムライ8 八丸伝 第40話「支えの喪失」 ハチマル ケルベロス 了