サムライ8 八丸伝 第8話「ゆっくりでよい」感想⑥
「いざっ!!」(八丸)
<ズオッ>「…!」(八丸)
「やっと!たっとだ!
真っすぐ伸びたぞ!!」(八丸)
「あ…あ…アレって
そんなにす…すごい事なんで…
すか?」(アン)
「あれでも何度も失敗を重ねてる
お前の料理と同じにしてやるな…」(達麻)
「い…いや…わ…わたしの料理を
食べてくれたひ…ひと達は初めてです!」(アン)
「わ…わ…私はいつも…
失敗しがちだから…
つ…強がってば…ばかりで
は…八丸君のま…前でもつい…」(アン)
「今はそれでいい…
八丸も同じようなものだ」(達麻)
「……」(アン)
何から書こうか迷っていますが、岸本先生が何でこのようなシナリオを選択されたのか?アンちゃんと達麻がこうして語らうのを見て、その理由が分かる気がしました。当初、八丸とアンちゃんが運命で繋がってて、強い引力で引かれ合うのであれば、四の五の言ってないでさっさと出会わせて、何かのイベントの中で説明入れていけばいいじゃん!!と思ってたんですけど、それだと、こんな風にゆったりと落ち着いて達麻がアンちゃんに考える余裕を与える事はできなかったでしょう。
ぶっちゃけ、他者の気持ちを思い遣る選択肢というものを持たない八丸と、人一倍感じ易く、傷つき易いアンちゃんとをいきなり二人きりにするのは危険過ぎたのでしょう(笑)。運命でも引力でも上手くいきませんて。二人の間に達麻が挟まって、ついでに早太郎や葉芽道、黒狼なとがサンドイッチの具材のように挟まっていい感じの味わいになるみたいな…まだまだ子供の八丸とアンちゃんがゆっくりと自分のリズムでしっかりと歩き出せるように助けてあげないといけません。
八丸は兎も角としてアンちゃんは自分と他者との違いを感じてはいても、そこからどうやって持ち直す…と申しますか、自分なりの生き方を見つけて行くすべを知りません。その前に、自分というものを知りません。僕もそうだったけど、子供の頃って全くと言っていいほど「内観」がなっていないです。それで自分の周りのできる子達に差をつけられて劣等感だけを感じてましたねー。それで、周りのできる子達はどうだったかというと、その子らだってたまたま調子がいい程度なんです(笑)。
でも、子供の頃はそういう状況が不安で…っていうよりは不思議だったかな。もう何が何だか分かりません!!でしたね(笑)。普通は親の言う通りとか、隣の子のやる通り…みたいなに、先生が言ってた「みんな」と同じ事をして進んでた訳です。でも、僕みたいに一つでも納得できないと、それに引っかかって進めない子だっているし、もっと別の理由で立ち止まってしまう子だっています。たまたま、そういう子が少数派ってだけで、ほんと、一定数存在するんですよ。
これからの教育はもっとそういう層に目を向けなきゃいけないと思うんです。別に甘えてる訳ではなく、何か一箇所でも手掛かりがあれば、ちょっとした足掛かりがあれば、もう少し楽に僕だって歩めたと思います。八丸やアンちゃんも口には出しませんが…というのは気付いてすらいませんから!!特に八丸は自覚ゼロどころかマイナスです!!…それと同種の不満が心の中に渦巻いている筈です。そして、そういう子の、そういう気持ちに気付ける大人の存在。ここではそれが我らが師匠・達麻なのであります!!
岸本先生はきっと八丸やアンちゃんのような子らの為に、達麻をこんな目の見えない招き猫のような身体に閉じ込めてしまったんだと思います。それが見事にハマってアンちゃんはいきなり心を開き、自分の内側をゆっくりと吐き出し始めています。八丸はどうなんだろう?苦手なタイプだから分かんない!!(笑←冷てーッ!!)。しかして、達麻の<パカッ>と頭を開けば、二人にとっては相当出来てる子の部類の黒狼の葉芽道が、その非礼を死んで詫びると土下座する程の印籠が収まってます罠。
達麻はどこかで教育学とか専攻してた訳じゃないと思いますが、やはり免許皆伝の伝家の宝刀とも言える「心眼」が備わっているので、八丸やアンちゃんの不備な点が理解できるのでしょう。だから、アンちゃんにはこうして物静かに落ち着いた物腰で相対(あいたい)しているのです。アンちゃんは入力に対して出力が弱い。そして緊張感は禁物です。達麻の愛くるしい外観がアンちゃんの警戒心を解きほぐしています。八丸はってーと…苦手なタイプだからねー分かんない!!(←冷てェーッ!!)
続きまーす!!(小刻みに行きまーす!!)