サムライ8 八丸伝 第10話「ターゲット捕捉」感想⑦
「ち…違う!
オレの…オレの意思で
ダルマ師匠の弟子になったんだ!!」(八丸)
「侍になったから何だ!?
そんなのは関係ない!!
お前は…守られる側の人間だ!!
そして機械屋の息子だ!!」(パパ)
ま…パパにしてみれば自分が居ない内に何の断りもなく八丸を連れ出したんだから、こうなるのは至極普通だと思います。ぶっちゃけ児童の連れ回しですからね。もし僕が同じ事したら間違いなく「お巡りさん…この人です!!」になって、TVのニュースで「横浜市在住の自称ケルベロスが…」と紹介されると思います(笑)。おまけに馬侍のキーホルダーとロッカーボールまで勝手に持ち出してますしね。いやーその前に秘密のガレージのドアを壊してますから、もう絶対タイホーですよ!!
しかし、パパも警察に通報できないくらい怪しい事をしているのでしょう。達麻もそう思ったから堂々と持ち出したのかと思います。やっぱパパの素行がめちゃくちゃ怪しいんです。胸に観音開きの扉まで付いてて、身体検査で思いっ切り引っかかりますよね。そして、そのパパが八丸を「守られる側の人間」(第4話「親子ゲンカ」)と何度も言います。これって親の物言いではないなと思うんです。親だったら、こんな風に自分の子の生き方や可能性を決めつけないと思うんですよ。
これだと既に決まってる…というか、守られるのが前提って事ですよね。八丸がどこかのお城のおぼっちゃまとかだと分かりますけど、パパの顔も殿様とか王様っぽくないし、パパの顔で王様っていうとドンキのコスプレコーナーのディスプレイで見た気がします(笑)。確かにお金は持ってそうだから土地成金なんでしょうか?それか大泥棒?達麻もそこは疑ってましたよね。本人は「機械屋」って言ってますが、ソフビでできた…すっごい怪しい機械売ってるんじゃないの!?
ここはありがちだけど、八丸が何処かの名家の子孫で、それをアタさんから隠す為に預かっていると考えるのが…自然でしょうか?今回、アタさんは「八角」と共に「童子切高綱」の侍魂も回収しようとしてますので、二つは関係があると思いますので、もしかして八丸は高綱という侍の子だとか。しかし、岸本先生はこういうありがちな設定は徹底的に避けてきますからね(笑)。でも、達麻が八丸に感じる強い引力ってのが気になって仕方ないし、何たって「1つ目の鍵」ですから!!
パパも相当口が堅くって、達麻の「八丸はいったい何なんだ?」(第3話「戦車入刀」)とする詰問に口を閉ざしています。『NARUTO -ナルト-』では、ドジでクズですっとこどっこいのオタンコナスのクソヤロー…そこまでは設定されてないぞー!!…のナルトが実は超イケメンの四代目火影・波風ミナトの子供だったと言う「醜いアヒルの子設定」(本当はキレイで大きな白鳥だけど子供の時は汚くてショボイの…というお話)というのがありましたが、今回はどうでしょうか。
「今すぐ帰るぞ!!」(八丸)
「オレはもうガリガリの
つまようじじゃないって言っただろ!!
病弱でまともに動くことすら出来なかった
臆病なオレは昔のオレだ!!」(八丸)
「…!!」(アン)
「今はもう違う!!」(八丸)
「…そ…そうなの…
は…八丸くん
さっき…活発な神童…って言って…」(アン)
「!」(八丸)
それで、今度はアンちゃんだ…。アンちゃんがちょっと切ない表情で八丸に確認してますが、これは八丸が言ったように「活発な神童」じゃなかったのが悲しいんではなくて、八丸が嘘をついてたのが悲しいのです。もっと言うと、そんな風に八丸が嘘をつかねばならない原因が自分にあるんじゃないかと不安になってるんだと思います。ロッカーボールを探して穴を掘る八丸を微妙な眼差しで見ていたアンちゃんの気持ちを考えれば、八丸が「活発な神童」じゃない方がアンちゃんとしては嬉しいと思うんです。
アンちゃんは常に劣等感…と申しますか、大勢の中に居る時の自分の異物感に苛(さいな)まれてこれまで生きてきたと思うんですね。上手く喋れなかったり、空気読めなかったり、他の子はできるのに自分はできない事が山盛りでいつも叱られてばかり…それが当たり前になって、こう言うもんだと半ば諦めてたと思うんです。でも、それとは正反対の八丸と出会って何かが変わろうとしてる予感があるのに、八丸が「活発な神童」と聞かされて、それはそれでショックだったと思うんです。
これが実は八丸もアンちゃんよりももっと悲惨な状況だったけど、そんなの気にせずにガシガシやってまーす!!ってなれば、それはそれでアンちゃんの希望になる筈なのさ。なのに、八丸ときたら余計な虚栄心みたいな…今まで全くなかったものが、色気付いた勢いで飛び出しちゃって、あんな薄っぺらい嘘をついて自分の心がジュクジュクしてたんですよ。これは一緒にいる大人が導いてあげないと…と、僕は思います。この子らの本当の姿をちゃんと捉えて、その子が生きやすいように導いてあげないと…って。
今でこそ、子供の教育が多角的に研究され、その子に沿った導き方がある程度確立しています。僕の子供の頃は本当に悲惨で、先生にすら虐められた事だってありますから、意識の問題以前に教育そのものが画一的だったのです。特に日本は凸凹な子を良しとしない風土がありますから、そりゃもう僕みたいな子は生き難いわよー。かと言って八丸の世界も教育に関してはアレですが、達麻の言う「心眼」があれば、その子の本性が見えると思うので、導き方だって自ずと見つけられますよ。
八丸も剣術云々の前に「心眼」の大切さに気付ければいいのにね。そうすればアンちゃんの事だってよく分かるでしょうに。でも、それを成す為に剣術に励んで免許皆伝しなきゃー達麻みたいにはなれない訳で、先は長そうなので、八丸のレベルでは個別の案件を一つずつ解決して行くしかなさそうです。しかし、良くしたもんで、正反対の八丸とアンちゃんが上手く補い合ってお互いの長所を認め合えれば2人とも良い方向に進めると思います。その為にこの蟠(わだかま)りは是非とも解きたいものです。
続きまーす!!