サムライ8 八丸伝 第11話「ふざけたマネを」感想③
「ね…ねェ?ダルマ師匠
一番弟子で頭下げてんならこの人…
悪い人じゃないよね!」(八丸)
<ガバッ>「そこの小僧!!
それが師に対する口のきき方かァ!!!」(アタ)
「!!?」(八丸)
「す…すみません…!!」(八丸)
(厳格な兄弟子登場―――!?)(八丸)
それで…達麻が一番弟子にこんな目に遭わされているのに八丸には何処吹く風なのが、アタさんとは違う僕の琴線を掻き鳴らすんです(笑)。こんだけやられて「悪い人じゃないよね」とか何で言えるの?!ってね(笑)。でも、八丸は悪意があってこんな立ち振る舞いをしてるんじゃなくて、この状況が汲み取れない…そういう感性の子供なんですよ。他にも長い文章が理解できない…とか、文脈というものを理解できない特性を持って生まれた子なんだと思います。例えば…
A:お前、今日、身体の調子が悪くて休みじゃなかったっけ?何で会社に来たの?
B:はい!!自転車で来ました!!(←小話かッー!!)
と、にっこり笑顔で答える子とかね(笑)。これは文章の最後まで聞く頃には頭の方を忘れてるんです。まーあちこちの掲示板でウロウロしてて、どこでもツマはじきの憂き目を見るんですが、八丸もそんな感じの子なのかな…と、僕は考えています。正直に白状しますが八丸みたいな子がケルベロスは苦手ではあります。もし、八丸が近くに居たら疲れるので、独りになって落ち着ける自分の時間が欲しくなるだろうし、睡眠も充分に取りたくなると思います。達麻の寝落ちも案外、同じ理由かもね(笑)。
八丸はこういう子なんだ…と理解はしていても、達麻が一番弟子にその心の奥底を蹂躙される状況であるにも関わらず、軽々な言葉で場を汚す姿を見ると、もう何だかなー…となってしまいます。しかし、この子がこの物語の主人公なのですから、それを岸本先生がどのように転がされるのか?は楽しみなところではあります。岸本先生もまた苦難の道をお選びなさったもんだと、僕は思うのでありますが、これは岸本先生の果敢な挑戦…全く新しい「ヒーロー像」の模索を意味するのでしょう。
ここからは教育論からのアプローチになりますが、凡そ考えられる「ヒーロー像」を八丸に落とし込もうとするのは大いに無理があろうかと思います。例えばナルトのような無尽蔵とも思える受容力を八丸に求めるのは可哀想…と申しますか、ぶっちゃけ虐待に近いと、僕は思うのです。八丸は入力というものが苦手な性質の子ですから、入ってこないんだから仕方ないのです。ここで何が大切かと申しますと、そんな八丸の性質を導く側がどう受け止めるか?にあろうかと思います。
これまでの教育…殊、日本においては歪な能力を均す方向で、満遍なく…平均的な能力の開発を重視してきたように思います。実際、僕はそのような環境に置かれて苦しんでいた記憶があります。ややもすると、できない事が悪いみたいに受け取られるのが、子供の僕は嫌いでした。そうではなくて、もっとできる事、得意な事を伸ばす方向に導いていいんじゃないでしょうか?満遍なくできる子。特定のある事柄だけが得意な子。いろいろ存在する…存在していいのだと認めてあげればいいんじゃないですか?
例えば、八丸は侍ゲーにおいてはこの星のトップゲーマーなんですよね。だったら、ゲームで宇宙一を目指すようなチャレンジをさせてあげればいいと思うんですよ。生命維持装置に繋がれた不遇の生活とは決別して、今は侍となってサイボーグの身体というインターフェイスを介して世界と繋がったんですから、ゲームのキャラを操作するように自分の身体を動かして大活躍すればいいんです。ここで親御さんが心配される社会性とか協調性なんて、八丸が僕みたいなおっちゃんになるころには解決してますから!!(笑)
それよか子供の頃に何でもかんでも望むのは八丸のような子にとっては重荷でしかない事に気付くべきです。そういう子も居るって事を知って欲しいです。しかし、逆にそういった個々の性質に子供らを甘えさせるのも良くないので、頑張らせるべきは頑張らせてあげたいです。そして、それは不得手の克服ではなく得手の拡充であるべきだと、僕は考えるのであります。ただし、これは経験者としての僕の考えであり、別に教育とか心理学を研究した成果ではない事は重ね重ねお断りさせていただきます。
しかし、その前に立ちはだかるのが「勇」なのであります。それが今話ではフォーカスされて行くのですが、「勇」が何であるか?とか、どうして大切なのか?なんてのも、僕ぐらいのおっちゃんになれば自然と気付いているものですが、如何せん、ちょっとアレで未開発な八丸には理解できないでいます。そして、この部分に達麻も腫れ物に触るような手付きで難儀している最中なのであります。それがある程度、事の真意を察する読者にとっても隔靴掻痒(かっかそうよう)に感じるのですよね。
そんな風に考えていると、たった1人の運命の姫様と分かり合えればいいという『サムライ8 八丸伝』の設定は逆に…優しい!!と感じませんか!?世界とか宇宙とか壮大な対象をいきなり意識しなくていいんです。今、八丸の目の前にいるアンちゃんだけを感じていればいいのですから!!八丸やアンちゃんが感じ難い「みんな」なんか探さなくていいんですよ!!2人ともそのままでいいの!!無理しないでいいの!!八丸はアンちゃんだけのヒーローになればいいんですよ!!
続きまーす!!