サムライ8 八丸伝 第26話 侍らしく 感想⑤
<ズン>
「キャ!」(アン)
<ザッ>(早太郎)
「次のはデカイぞ!!」
(オレも援護を———)(スナイパー)
<ゾロ><ゾロ><ゾロ>
「なっ!!?
こっちにも…!!」(スナイパー)
非常に細かいところで恐縮ですが、ミリオタとしてスルーできなかったんでちょこっと書かせて頂くと…。スナイパーが狙撃してそのまま同じ場所に潜伏している訳はない罠ーと思います。スナイパーほど静粛性と機動性の両方を高度に要求されるスペシャリストはいないんですよ。だから、弁形の狙撃に失敗した時点で<サッ>とライフルにセーフティをかけてシェルターを片して静粛に移動する必要があるんだけど、そのままネストし続けるなんて、この方も葉芽道レベルの下っ端さんなのかも知れません。狙撃した段階で発射音とかマズルから火炎が上がったりで位置バレしますから戦場では格好の標的なのです(笑)。
何の為に鳥タイプのキーホルダーなのかというお話であります。地面にアンカーまで打って姿勢を安定させてるようだから移動が億劫なのかも知れませんが、それなら一撃目で任務完了してないとダメでしょう。それでも失敗したら即移動して刻々と自分の位置を変える神出鬼没であってこそ戦場におけるスナイパーの意義なのだけど、それが岸本先生も解っておられないようです。シェルターの偽装もそれ程頓着してないのだから、その分身軽の筈なんだけど、同じ場所で狙撃を続けようなんて甘い考えだから接敵を許しています。普通はその前に蜂の巣になるか擲弾で焼かれるか…最悪、迫撃砲で粉々のご愁傷様ですからね。
こういう細かな設定に拘りがなくて残念なんですよー。例えばスナイパーライフルの映えなんかはすごくいいのに、それを扱うスナイパーが全くダメダメで…勿体無いです。一事が万事と申しまして、そういう諸々に対する甘さが「侍×SF」というこの物語の根幹部分をスカスカにしてしまっているのです。それが為にお話の背筋がピンと張れないからブレブレになって、それをズラそうとするからもう何が何だか分からなくなるのです。ズラしってメインストリームがしっかりと流れるから成立するテクニックなんじゃーないでしょうか?この作品は肝心の本流が蛇行してるからズラした積りが氾濫しちゃってるのね(笑)。
「こいつは弁が作った対侍用の特殊人型ホルダーだ!
これで終わりにしてやる!」(骨河)
「骨河…
お前にとってそのおもちゃをくれた
「弁」ってのは何なんだ!?
信用できんのか?
そいつだって侍だろ!?」(八丸)
「ハハハハ!信用!?
信用が形になったのが金だ!
オレと弁は金で繋がってる!
最もシンプルで信用できるもんだ!」(骨河)
「……」(竜)
「八丸!
お前にうまい事言って騙してるのは
猫の方かもしれねーぞ?
少しの間お前を見てて思った
お前はうまく乗せられ
侍ぶって振る舞ってるが…
侍の器じゃねェ!
失望されたらどうする!?
それでも変わらないでいられるか!?
侍ぶったままでよォーーー!!!」(骨河)
<ドドドド>
そして、ここッ!!ズラしまくった挙句に一周回って偶然にもいいところに来た好例だと思っています。骨河の意見はある意味、正解だと思うんです。特に達麻に対する疑義…これはよく見てるなと思いました。僕はこれまでの25話を読み込んで、侍の社会に関してはいろいろと問題があると思っています。特に子供を大切にしていない社会のあり方に多大な疑問を感じています。失意の中、切腹して果てたアンちゃんの兄・七志もそうだし、いいとこのボンボンだったのに強盗殺人を繰り返す人生を選択せざるを得なかった骨河だって、侍に非ずんば人に非らず…の社会の被害者なんですよ。
そもそも師匠と言う割に達麻が八丸にほとんど何も教えてませんよね。それは剣技だけでなく、侍とは…の精神論にも及びます。特に八丸の場合は侍である前に人としてどうか?と思える人格なんですから、そこを戒め、先ず人として立たせるのが師の役目だと思うのです。思いやりとか優しさ…それらは人として後天的に獲得していくものですから子供らを師として導く責務がある筈です。それは侍としてだけではなく、人としての道でありましょう。わが国ではそれを憲法で定めています。子供らに対して側にいる大人が教育しないというのは最早…犯罪行為と言ってもいいと僕は考えます。
金剛夜叉流のやり方に関しては侍以外の全てを道具としか見ていないと、僕は考えます。だからストリートチルドレンが傷だらけでも気にも留めません。銀河を守る!!なんて言ってますが、それは自分ら侍が住む場所を守るという意味でしかないのでしょう。だから世話になったホルダーだって使えなくなったらサッサと廃棄しちゃうし、それと同じように侍になれない子供は容赦無く捨てる。そしてこんな世の中を許容し維持しているのが達麻の所属する金剛夜叉流であります。正直、クソすぎてヘドが出そうになります。達麻も侍以外の全てを道具としか見ていないないのですから。
そして、パンドラの箱の鍵である八丸は侍にあってもまた特別であり、それに加えてマンダラの箱の鍵の一部も兼ねている事から達麻としては大切な存在なのです。しかし、テロメア(TA)値が下がる危険性があるのに八丸が自分で自分の首を刎ねたのを咎めもせず、その危険性も教えない。それ以前に、八丸が人として間違った考えを示しても修正するでもない…。しかも、時間が掛かるから…という理由で免許皆伝のダウンロードも行わない。いやーそこは…時間が掛かるからこそ早くDL始めなきゃでしょー!!と突っ込むところです。烏枢沙魔流に八丸を奪われたら金剛夜叉流はそこでゲームセットなのに……。
結局、達麻は八丸に侍としての成長を求めていないのです。唯一、八丸に求めるのはパンドラの箱の鍵としての覚醒に他なりません。先の千隊長との一戦で八丸の侍魂が白く輝きましたけど、その時の達麻の喜びようときたら…!!両目が開いてましたもんね(笑)。お前、ホントは見えてるんだろ〜!!ってなったものね(笑)。侍や金剛夜叉流の半端ないクズさ加減から考えれば、八丸がパンドラの箱の鍵として完全に覚醒した暁には達麻は八丸を散体させて鍵(キーユニット)だけを持ち去る積りなんですよ。侍ゲーのムービー(不動明王の試練編)がそうだったじゃないですか。
達麻は八丸の鍵が欲しいだけなんです。その為に鍵として完全に覚醒しないといけない。それを待ってるだけ。だから、八丸がどんなに間違った事をしても咎めないし、正しく導こうともしない。結局、八丸も達麻にしてみれば道具の一つに過ぎないのです。恐らく強い侍だったら他に腐る程いるか、師匠の夜叉さんとか自分クラスがいれば他にどれだけ雑兵がいようと大勢に影響がないのでしょう。実際、八丸の住んでた星の星位大将軍以下守護侍はアタさん一騎に皆殺しにされましたしね(笑)。そういう世界で極めて不死な侍の一部が既得権益にしがみ付いてる…それにしても…何とも胸糞の悪い世界観ですね(笑)。
だから、そんな社会を許せないとして、アタさんやカーラさんが銀河をぶっ壊す!!っていうのであれば、僕はそっちに大賛成な訳。八丸なんてクズはサッサとアタさんに渡して八丸の力とやらを既にある7つの鍵に還元して頂きたい。mjdどうぞどうぞ!!です(笑)。それでマンダラの箱をパコッと開けてですね…銀河をあるべき姿…今とは違う価値観の世界…に変革すれば良いのです。それで真っさらになった世界で新たな物語をお始めになった方がいいんじゃないかと真剣に僕は考えていて、それと似た方向性でこの世界に疑義を抱く骨河の考えには心の底から拍手を贈りたいケルベロスなのです!!!
続きまーす!!