サムライ8 八丸伝 第27話 目覚め 感想④
(金剛夜叉流・犬掻き)<フッ>(達麻)
「!!?」(弁形)
(からの——)(達麻)
(この技!
今度は奴自身を弾き飛ばしたのか!?)(弁形)
「ぐああっ!!!」(弁形)
<ズババババッ…>(剣玉!!)(達麻)
「お前の秘密…
免許をダウンロードすら出来ない
貧弱な鍵しか持たず
ソレに強者の鍵をゴテゴテ直に継ぎ足して
他人の力を利用する
その本質は——…
弱者の卑怯者と分かった」(達麻)
弁形の猛攻に殺られるかに見えた達麻が金剛夜叉流・犬掻き~の…剣玉!!!で反転攻勢に出ます…が、ここがちょっと分かり難い(汗)。ここはズタボロになったかに見えた達麻の片目でも光らせて、その殺気に弁形が怯んだ瞬間…<フッ…>っと達麻の姿が搔き消える描写があれば少しは納得できたかと思います。ちょうど頁跨ぎで二枚一編に捲ったか?と思ったところで、こんなのは他の要らないコマを削れば何とかなると思います。具体的には剣玉で外皮をひん剥かれた弁形に接続された鍵がユラユラと揺れるコマ二つ…アニメ的な表現手法だと思いますが、岸本先生…好きねこういうの…(笑)。
このスペースを圧縮して、その分、前が開くから、そこに達麻の顔アップ~の…犬掻きの発動で達麻の姿が掻き消えた瞬間の2カットを挿入できます。多分、こういったコマ割りをペン入れの前に編集さんやスタッフさんと膝を突き合わせて打ち合わせるのだと思いますが、今はそうじゃーないんですかね。折角、カッコいいシーンなのに勿体無いです。特に弁形が片膝付いてキーユニットが無数に繋がったコードが乱れ髪のようにたなびくシーンは<グッ>っとキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!ホント…これだけで弁形が好きになった程です(笑)。ここ見開きで抜いてもよかったくらいインパクトありましたねー。
そうこう考えてると冒頭の3頁がホント要らん訳ですが…。さて…苦言はこのくらいにして、一個前の感想でどうして達麻が「装」として弁形がそれを「剣技」としたのかを僕なりに考察しないとね。先ず…達麻が弁形の正体見たり…とばかりに扱き下ろすところで「免許をダウンロードすら出来ない貧弱な鍵しか持たず」としてるところ。鍵(キーユニット)はロッカーボールテクノロジーによって人間が変態(メタモルフォーゼ)したパーツですけども、そもそもそれに「格付け」みたいなものが存在するんでしょうね。侍のサイボーグの体が在りし日の姿が上限となり侍のフィジカルを決定するのと同じ原理でしょう。
八丸の場合は生前の目の良さ=優れた動体視力がチートとして継承されました。また、そもそもが烏枢沙魔流が「マンダラの箱の鍵」として創り出したデザインチャイルドでしたから、鍵として最適化された遺伝子構成だった筈です。そういう先天的に侍の鍵に適した遺伝子配列があるのだと思います。これは『NARUTO -ナルト-』で出来損ないのウスラトンカチだと思われていたナルトが実は四代目火影・波風ミナトとうずまき一族の赤い髪のうずまきクシナとの間に設けられた実はとんでもないサラブレッドだった…<テヘッ><ペロッ❤️>で、人生には血統とか家柄とか乗り越えられない格差が厳然とあるものです。
僕はそれを否定はしませんが、だから何なんだ!!とも思っています。弁形は「銀のスプーン(匙)」を咥えて生まれてこなかっただけ。みんな…大概、そんなもんですよ。自頭がいい…とか、生まれながらにバネがある…とか、そりゃ親から受け継ぐいろんなもんだって人それぞれじゃない?!弁形はそれを受け容れて、じゃ…どうすれば強くなれるか?を真剣に考えたんじゃーないでしょうか?確かに達麻は金剛夜叉流の免許皆伝まで行った強者にして天才さんかも知れませんけど、だからと言ってそれができない人を否定して何になるのよ!?と思うんですよ。えー?何だって?…弁形が「弱者の卑怯者」だって!?
バカな事…言うなーッ!!!!(人生師匠風)
…って、僕は思います。ちなみに「免許」っていうのは各流派の部式の上位プログラムで「切紙→目録→免許→皆伝」というヒエラルキーがあるものと思われます。そして、それをダウンロードする為に容量的にか遺伝的にか何らかの素養が必要という事なのでしょう。それが偶々、弁形には備わっていなかったから彼はそれを補う方法を必死に考えただけじゃない!!それで他者の鍵を奪い、それを自分の鍵に接続する事で多流派のプログラムを扱う方法を独自に編み出したんだと思います(これは同時に悪事でもありましたが…)。これを努力と評価せず、弁形を弱者と蔑むのは絶対に間違っている!!
恐らく、侍が散体してロッカーボールに還元される段階で、鍵(キーユニット)の元になった人間の意識は潰えるのでしょう。それはキーユニットからデリート(消去)されるという事。きっと、それがその…侍の死なのだろうと、僕は考えています。しかし、散体してもキーユニットとしての造形は残ります。そして、弁形の四流派のプログラムの転用の現実を見るに、消去されずに残るデータというものが存在するのでしょう。弁形はそれらを寄せ集めてパッチを当てながら使用できるようにコーディングし直してる筈です。しかし、それでも各流派の免許や皆伝、奥義、秘伝といったトップシークレットまでは手に入らなかった…。
達麻の場合は免許皆伝の印籠がハードウェアキー(ドングル)の役目をしてるんでしょうし、当然、上位プログラムともなればプロテクトや暗号化が厳しいでしょう。それにそもそもそんなトップシークレットを有する強者を散体まで追い込むのが難しいから、弁形が入手できたのは各流派のある程度、低級なプログラムだったんじゃないかな。決して上位の「剣技」は含まれておらず、各流派が配布するファンダメンタル(基本的)なプログラムをして、「オレは4流派の剣技を網羅している!」と弁形は息巻いたのでしょうが、達麻にしてみれば、それが単に各流派の「装」に過ぎなかった…という事だと僕は思いました。
問題があるとすれば弁形は鍵に残存するソフトウェアのみを引っこ抜いて使用できる容量か他の素養か何かが足りなかった事。それで、仕方なく無数の鍵を自分の鍵に繋げるハードウェアマルチタスク、或いはバッヂを敷くしかなかった点で、効率がいいとは言い難いです。しかし、それでも達麻と似た「解析AI」すら持ち合わせ、一時は達麻を困らせた訳で、練習試合で相手から一本取る為に自分で自分の首を刎ねるしかなかった不出来な自分の弟子よりは何百倍も努力してる弁形を何でこんなにバカにできるのか不思議です(笑)。こういうところでその人の人徳が垣間見えるんだからもっと気を使いなさい!!と、僕は思うのであります。
続きまーす!!(弁形のと烏枢沙魔流の違いについても別の機会に考察しますね)