サムライ8 八丸伝 第30話 潜入 感想④
「奴の艦はバリアーで守られているが
ステルスフィールド内は角弾頭の範囲…
逃げられん」<ガチャ>(千)
「発射を止めるには……
艦のコックピットにある義常の鍵を
デバイスから引き抜く他ない
プランC実行に時間がかかるようだ
その間約20分ほど
その間に奴の艦のコックピットに潜入し
弁形を倒しつつ義常の鍵を引き抜き奪取
2手に分かれ潜入成功率を上げる
鍵でお互いに通信するチャンネルを合わせてくれ
地図やバリアーのスキ間はリアルタイムで送る
そこの君たち侍4人はチームαだ
αは右ルートの小さなバリアーのスキ間から潜入
残りの私達チームβは左ルートでいく」(千)
「承知した」(モブ2)
ウワサ通りいい指揮だ!
ついていこう!」(モブ1)
「……」<ジ~…>(八丸)
「何だ?」(モブ1)
「いいか…
千殿とお前では実績が違うんだよ!!
それにオレはお前じゃなく
お前の師を支持している
カン違いするなよ若造」(モブ1)(師匠ってやっぱすごいんだな)(八丸)
「何だ!?」(モブ1)
「オレ…そんな達麻師匠の弟子
いいでしょう?」<ニカッ>(八丸)
「姫たちと三打は
キーホルダーで宇宙防護服を装着!」(千)
「行くぞ!」(千)
「いざっ!!」(八丸)
<ゴウッ>
<ゴオオオオオオ>(αチーム)
<ゴオオオオオ>(βチーム)
ケルベロスはミリオタなので、α(アルファ)ときたらブラボー(B)なんです。これはミリタリー用語と言うよりは航空用語かも知んないけど、アルファ(A)、ブラボー(B)、チャーリー(C)、デルタ(D)、エコー(E)、フォックス(ロット)(F)、ガリバー(G)…と…まあこんな感じに通信等で聞き違えないように工夫したアルファベットの呼称方法がありまして、軍事関係もこれに準じているという風に記憶しています。例えばA(エー)とD(デー)が周囲が煩かったりすると判別が付き辛いのを、アルファ(A)とデルタ(D)と言えば一発で分かりますもんね。勿論、この様式が分かる同士の会話に限ってですが…。
そんな訳で、右ルートのアルファチームと左ルートのベータチームに分かれてリャンメン(両面)でデススター攻略戦が始まるようですが、いきなり千ちゃんが指揮してて八丸が全くの空気になってしまってますが、八丸はスリープモードに入る前に師匠に弁形の始末を任されたと思うんですが、全然責任感がなくて悲しくなりました。ここは自分が師匠に弁形を任されたんだから、八丸にはもっと前に出て貰いたかったです。骨河の土下座であれだけの大見得切っといて、ここで師匠をネタにチャラけた事を言って、ピースサインしてる姿に<ジワッ>と殺意が芽生えました。何なんですかね…八丸の…この主体性の無さは。
達麻に弁形を任された時に八丸は困ったような感じで、いきなり千ちゃんが仕切り始めてホッとしちゃったのでしょうけど、これでは師匠との約束があまりにも軽過ぎて、達麻がスリープモードに入ったのは信頼できる弟子がいればこそ…だったのに、八丸は全く信頼できません。少なくとも八丸は物語の主人公を張れる器ではないんです。それが完全じゃない!!っていうエクスキューズの根拠になると岸本先生はお考えのようだけど、人間性の肝である誠実さを欠くというのは致命的過ぎて、それまで「完全じゃなくてもいい!!」というメッセージに含められるのはとても容認できないのであります。
例えば「鬼滅の刃」の大ヒットとは偏に主人公の竈門炭治郎(かまどたんじろう)の人間味にあると、僕は考えています。鬼滅に僕は深夜アニメから入ったクチで、それが週刊少年ジャンプでリアルに連載されているのを認識したのは『サムライ8 八丸伝』の連載が始まるというアナウンスが入った後でした。彼がものすごく困った時に「長男だから」…つー理由で乗り切った時に、ああ…この子はこういう子なんだ…で納得できたのも炭治郎の真面目で実直な性格や極めて誠実な人となりがあったればこそでした。そして、僕は炭治郎が少しずつ強くなる敵を順々に倒しながら成長していく姿を心の底から応援したくなっていました。
簡単に言うと炭治郎がすごくいいヤツで好きになってしまったのです。彼がピンチになると手に汗握り、負けるなと願った。そして艱難辛苦を見事に乗り越えた時にはまるで自分が何かを成し遂げたような喜びを僕は得ていました。僕は間違いなく炭治郎と共に作品の中で鬼と戦っていたのです!!炭治郎と共に…時には傷を負い、時には挫けそうになり、しかして最後には敵を滅ぼしていったのです。それは僕がそうありたいと思ったからであり、その為には炭治郎の好ましい人間性(人間味)無くしては有り得ないと、僕は思うのであります。これこそ少年漫画における主人公の必要にして十分な条件であると思うのです。
一方、『サムライ8 八丸伝』の主人公はと申しますと…トホホな状態でありまして、ぶっちゃけ…何でこんなにお話が詰まらないのか?と問われれば、八丸の人間性に依るとしか申し上げられません。確かに完全な人間なんていないんだし、不完全だからこそ助け合う…そのメッセージは間違ってはいないと思いますが、物語の主人公たるもの欠いてはならない要件というものがあるのですよ。そこが不完全だとダメだよー…っていうのを岸本先生は考慮されていないのではありませんか?それはダメですよ。主人公が人間としてクズとか…斬新過ぎて無理でーす!!そこズラすとこじゃないですよー(小声)。
いきなり千ちゃんが仕切ってるのに何も感じずに、師匠上げにもたれ掛かるようにおチャラけてヘラヘラと笑う八丸を見て、とてもじゃないけど感情移入なんかできません。できて堪りますかッ!!お話の要石である主人公がこんなだから、どんなにお話を盛っても一向に盛り上がらないのです。こんな漫画オタクのおっちゃんにすら分かる事が岸本先生はお分かりにならないのでしょうか?週ジャンの編集部の方々も同じです。何でお分かりにならんのですか?アルファチームが並んで千ちゃんに指示を受けるカットなんて…『NARUTO -ナルト-』のサスケ奪還編のシカマル班集合みたいなもんですよね。
ホントならサイコーにワクワクするシーンなのに…。この後に及んでもモブ侍の名前や流派すら分からず、そもそも作戦への参加がなし崩し。それ以上にベータチームの八丸以下がほとんど空気になっていて、このお話に登場する誰にも感情移入できない状況で盛り上がれって言われても無理かー…(笑)。ところで達麻のキーホルダーの黒馬ちゃんが何処にも見当たりませんね。それと黒馬ちゃんが後ろ足に抱えてたロッカーボールも無くなってます。キーホルダーは侍にとって相棒以上の存在なんだから大切にしなきゃ。やっぱ八丸だけじゃなくてお話そのものに誠実さがないのが実は一番の致命傷なのかも知れないですねー。
続きまーす!!(決して…血の涙を流していませんので…)