サムライ8 八丸伝 第38話 アンと八丸と五空 感想⑨
「やぁ…」(八丸)
「う…うん」(アン)
「……あのさ 最近…その…
何かオレを…避けてるよね?」(八丸)
「……
ご…ごめん」(アン)
「ごめんだけじゃ分かんないよ!
その理由が知りたいんだ!」(八丸)
「五空……!
あいつが来てから変だよ!」(五空)
「ご…五空さんは
か…関係ないよ」(アン)
「でも!」(八丸)
「わ…私が好きなのは…
八丸くんなんだから!」(アン)
「!?」(八丸)
「…じゃあ……
何で?」(八丸)
「わ…私が見てほしいのは…
侍にとって都合のいい姫じゃない…
わ…私なの」(アン)
「そ…そんなつもりまったくないよ!」(八丸)
「話しかけたらイライラさせて
嫌われるんじゃな…ないかって…
私…」(アン)
「ンなわけないだろ!
オレはアンを守るって誓ったんだから!」(八丸)
「それはアナタを強くする姫として!?
兄さんはいつだって私をちゃんと見てくれた!」(アン)
「……兄さん?」(八丸)
八丸に不足しているの「社会性」と「論理的思考」である事は明白であります。しかし、それは八丸の責任ではなく彼を取り巻く環境の所為であります。八丸はその意味では被害者なのです。だから今すぐにちゃんとした学校に入学させてあげるべきだと僕は思います。これは児童福祉法に違反する違法状態なので一刻も早く是正されるべき案件であります。それが無理であるならば師匠の達麻が八丸の保護者として八丸に人間として社会生活が送れるように教育する義務があります。しかし、達麻にはそんな気は毛頭もなさそうなので、やはり達麻にとっては八丸はアタさんを足止めする為の「人質」に過ぎないのでしょう。
五空が八丸を責めるのは御尤もな内容であり、間違ったところは一つもありません。しかし、だからと言って八丸は五空と争う必要はなくて、五空が何と言おうとこれまで通りアンちゃんとの関係を継続していればいいのです。八丸がどんな人間であろうとアンちゃんが八丸をどう想うかが肝心でありまして、五空に二人の仲をどうこうする権利はないのです。それなのに八丸は独りでジタバタして自滅しているだけなのです。それは八丸が五空の言う事が理解できないからです。悲しいけど、知性が育まれていません。その証拠に八丸は正論を叩きつける五空に一言も言い返せず獣のように睨み返すしかないのです。
僕らはガッコで10年は揉まれて社会生活に必要な最低限のものを習得できているから八丸の不出来さというものがピンと来ないのです。その中には恋愛に関する知見も含まれます。僕は小学校の時に横長の机で女の子と隣り合わせで座ってた記憶があります。木の机で真ん中に彫刻刀だか物差しの角で削って線を引いてそこに筆箱を立てて「空中なし」でそれぞれの領土を決めたのが一番最初の女性経験でした(笑)。そこから何度も恋をしましたー。今も胸に残る甘酸っぱい想ひ出。…といった経験が八丸には皆無なのであります。もしかしたら八丸は性的な感覚を持ってアンちゃんを見ていない可能性すらある聖人ですかー!?
八丸は知性だけでなく性的にも未分化のままなのです。だから、アンちゃんに告られてもそれが何を意味するのかが分かってません。八丸はアンちゃんを恋人としてではなくお母さんみたいな存在として感じてたんだと僕は思います。ご飯を作ってくれたり、自分が戦う時に応援してくれるんだもんね。八丸は「恋」を未だ知らないのであります。だって僕らみたいに練習してないんだもの!!ガッコも行ってないんだよ!!見る事、聞く事、みんな初めての事ばっかなんですよ!!それなのに達麻師匠を筆頭に誰も何も教えてくれないんだもの。それなのに「ちゃんとした人」になれる訳ゃーねーだろ!!(笑)
しかし、そんな八丸が母のように慕うアンちゃんが「都合のいい姫としてではなく私自身を見て!!」と言っておきながら、「兄さんがー!!」とか言い出すから、お前だって八丸自身じゃなくて八丸に兄さんを求めてんだろーが!!と、でっかいブーメランを投げ過ぎやでーで…となってしまいました(笑)。最後のコマの八丸の「兄さん?」のポカン顔がシュール過ぎ。そりゃそうだ罠。一度も会った事もない、アンちゃんの回想でカスっただけの関係の兄さんと比べられても、そんなん知らんがなーッ!!(ドローンの引きで雄大な自然をバックにせやろがいおじさんに吠えさせんぞ!!)
サムライ8 八丸伝 第38話 アンと八丸と五空 ハチマル ケルベロス 了