サムライ8 八丸伝 第40話 支えの喪失 感想②
「一角
次の準備をしろ
八角を捕える」(アタ)
<ガチャ>「ハッ!」(一角)
<ゴオオオオオ>
「3体とも消えた!?」(八丸)
「…あの師匠が一瞬で!?
そんな事が!?」(五空)
「2人とも嘆く暇は無い!
備えろ!」(千)
<ズズ…>(アタ)
「一角
お前の内なる宇宙から捜し———
八角を確実に捕える」(アタ)
<パッ><スッ>「これでやっと……
足らない箇所が埋まる
よし…見えたぞ八角
……ちょうどいい
一角
お前達にもそろそろ
姫とキーホルダーを
あてがってやとう」(アタ)
「はい」(一角)
「烏枢沙魔流———
猫招き」(アタ)
「え!?」(八丸)
「!」(アン)
第17話「コツガとリュウ」で4流派の免許について説明がありました。この世界の剣術とは不動明王の作り出したプログラムであり①物質を形成している素粒子を繋ぐ力②H粒子から発生する引力…①と②をコントロールできるとあります。①と②の違いがイマイチ分からなくて難儀したんですが、この説明の後、達麻が続けた「侍はプログラムの力…接続と分離を制し…」から①が「接続」で②が「分離」であると考えようと思います。「H粒子」とは不動明王の「三輪身の状態のひとつ」(ep35/侘び寂び)で、それが物質を形成する素粒子にくっ付いて森羅万象全てを造形している…という世界観を構築しています。
ちなみに「H粒子」が関与するまでは質量のない素粒子が数多存在する「完璧な均衡を保った世界」(ep35)だったのに不動明王がそれを崩した訳で、「何で完璧を崩しちゃうの!?」という疑問はさて置き、「H粒子」の関与に拠って素粒子は質量を持ち物質へと変化して行った…つまりこれが不動明王がこの世界に与えた「秩序」の起点であります。H粒子の存在がもともとこの世界にあった素粒子を変質させた訳です。そして、変質した素粒子が有する「繋ぐ力」に対する干渉力が①接続なのだろうと思います。そして、それとは別に素粒子に付与されたH粒子そのものが持つ②「引力」にも侍は干渉できる…と僕は解釈しています。
恐らく侍が対象を切断する時には直接H粒子に対して働きかけ物質を②「分離」し、何かを接合する場合はH粒子の付与で変質した素粒子(不動明王出現後の素粒子)が新たに獲得した「繋ぐ力」に対してH粒子経由で干渉して①「接続」するのだと思います。非常に余談ですが、不動明王が関与したのは素粒子の均衡を崩したところまでで、それ以降の物質の形成〜の生命の誕生は自然の成り行きで、それをして「直接ではないが…そうなるな」(ep35)と不動明王が語録を遺したんだと思います。ただ、物質の基礎的な構成要素である素粒子にH粒子が付随した状況は続いているので侍のH粒子に対する干渉力もまた継続しているのです。
それでやっとアタさんの「屍界」であります(笑)。侍とは不動明王の遺したプログラムの行使者である事は分かりました。そして、侍の扱うプログラムとは大きく分けて①接続と②分離の二つで、それらのプログラムはH粒子を出力デバイスとして実行(発現)されます。つまり、侍はH粒子が介在しない状態ではプログラムを発動できないのです。恐らくその状態がアタさんの用意した「虚界」であり「屍界」の正体でありましょう。しかし、如何にプログラムを行使しようとH粒子が介在しない=物質ではない空間に対しての干渉力は考えられないのですが、アタさんは「宇宙領域とて同じだ」としていますので、それを容認する上位のプログラムが必要になるでしょう。
或いは烏枢沙魔流の得意とする物質の転送プログラム(猫招きなど)を応用して、H粒子の全く存在しない宇宙領域(=不動明王が改変した宇宙の外の宇宙)にまで飛ばしたのかも知れません。一瞬、達麻と花一さんがキューブ状に崩壊して、それがまた再生された描写がありましたから、アタさんが二人を素粒子レベルに分解(素粒子レベルまで分解しないと運べなかった?)して転送したんでしょう。それなら斬り刻んでしまえ!!とも思えますが、候剣の刃を達麻や花一さんに当てるのはアタさんにもそれなりのリスク…アタさんだって達麻の候剣を当てられる可能性があったのだと思います。
別宇宙に飛ばされた達麻が「アタに…そんな力まで」と驚いていましたから、「屍界」とは達麻や花一さんにも未知のプログラムだったのだと思います。また「屍界」の発動においてアタさんの龍騎(侍の鎧)も一緒にキューブ化し霧散(3体とも消えた!?)していますので、達麻と花一さんを迎え撃った龍騎は別宇宙への転送システムを仕込んだ分身体(かダミー)である程度の仕込みが必要だと思われます。つまり、アタさんは達麻や花一さんの特攻を予想していて、その上で周到に準備して二人をトラップに呼び込む戦法をとったのです。つまりアタさんは達麻や花一さんとの真っ向勝負を避けた…と考えられます。
最強格クラスともなると警戒すべきは「候剣」なのでしょう。一太刀も浴びてはいけないのですから、そのリスクを排除するためには刀を交える状況を排除すべきなのです。その意味ではアタさんにとっても達麻と花一さんは脅威なのです。だから、「屍界」の準備がない状況であれば、アタさんに取りつく島がない…とは言えないと思います。ま…達麻と花一さんが一緒になって龍騎に立ち向かった時点で勝負あったのでしょうね。あそこで花一さんがアタさんの母艦に斬り込んでいればまた違った結果だったかも知れません。あの時は二人とも焦りまくって正常な判断ができなかったので結果としては残当ですが…(笑)。
それでアタさん(本体)はシレッと母艦に残ってて一角の「内なる宇宙」から八丸の座標を割り出し八丸を猫招きで召喚してしまいます。この時、アタさんは母艦と物理的にリンクしていまして、母艦のエネルギーか空間転送エンジンを利用する必要があるのかも知れません。つまり、フィールドで猫招きは使えないと考えられる訳です。こんなに便利なスキルですからそのくらいの使用制限がないと無敵過ぎますものね(笑)。しかし、ここまではアタさんの戦術がどハマりで一方的な展開ですね。アタさんは感情の起伏が激しい熱血漢に見えて実は冷静で用意周到な策士という事が分かり好感度が爆上げです(笑)。
続きまーす!!