サムライ8 八丸伝 第7話「出会い」感想①
「侍と姫……
運命の2人が勇とか何とか……
いやそもそもだよ――
運命って…何?」(八丸)
「……
無意識の状態でめぐり合わせる宿命であり
天からあらかじめ決められたものだ…
それぐらい理解を……」(達麻)
「あーーもう…
かいかい!かゆい!」<カキ><カキ>(八丸)
「どうした急に?」(達麻)
「…猫アレルギーかなぁ…!?」<カキ><カキ>(八丸)
「拙者ロボットだぞ?」(達麻)
「……分かった!じゃあ
たぶん…説明ゼリフアレルギーだ!」<カキ><カキ>(八丸)
「……」(達麻)
初夏の青空をバックに早太郎の背に腰掛ける八丸が描かれたセンターカラーの扉絵……大久保先生の画は綺麗だなーと思いながらいつものように慎重に読み進めると、いきなり「説明ゼリフアレルギーだ!」なんて自虐ネタが飛び出して、岸本先生も空気感じてるようで身につまされました(笑)。しかし、サイボーグの身体になっても皮膚感覚とかアレルギーとか残るようです。確か第1話で馬侍が自分の腕を鈍(なまくら)で斬って見せて痛くも痒くもない…みたいにしてたけど、状況により感覚が変化するのかも知れませんね。
例えば、ある種の敏感さや、痛みに起因する恐怖心などは危機管理上は非常に有為な情報であると思われますので、戦士としては残しておくべきかなー…とは思うんです。しかし、自分で自分の腕を斬り落とした時には危機でも何でもない状況で、痛みなど必要ないので意識的にキャンセルできる…侍はいろんな感覚を完璧にコントロールできる仕様になっているのはなかろうかと思われます。そうでなきゃ、こんな程度で痒がってるのに、腕を斬り落とした時の痛みなぞ耐えられる筈がない。でないと絶対に気絶しますわ(笑)。
ところで、八丸のアレルギーですけど、これは八丸の生前の記憶(キーユニットになる前)の名残りで、トラウマ(心の傷)として八丸に残った…幻肢痛に似た感覚なのではないでしょうか?ロッカーボールの承認により人間の身体がキーユニットに遷移する描写があって、人の身体を構成するタンパク質がナノマシンと融合して「鍵」(キー)に組み替えられるのだと、僕は考えていますが、八丸にとってアレルギーの苦難は重大過ぎて、深部にある為にそれを消すと他の重要な情報も消されるので残すしかなかったのかもね。
でも、こういう人間的な感覚を侍が残している描写は、食べ物を食べたり、食事そのものを楽しんだりする感覚と同様に、侍が戦士として立つ理由…と申しましょうか、達麻が八丸に如何にして伝えるべきか?難儀してる真理に通じるのだろうと思います。そもそも達麻が八丸の修行において説法中心(…ってかオンリー!!)になるのは、侍が既にサイボーグ化されていてフィジカルが万全なので肉体の鍛錬とか動作の習得が不要だからで、それが僕らが普通に考えるありがちな修行風景と全く違って面食らってるだけだと思われます。
きっと八丸も僕らと似たような修行シーンを想像しているから、達麻の態度に戸惑っているのかも知れませんね。ここはひとつ僕らも既成の概念から解放されないと八丸みたいに身体が痒くなってしまうので柔らかい頭で考えるべきでしょう(笑)。しかし、達麻は自分の事を「ロボット」と言います。それに対して、八丸ら侍はサイボーグ(の身体)とされてて、達麻にとっては重要な情報だと思われますが、まさか名作「いなかっぺ大将」のニャンコ先生へのオマージュなんでしょうか?!
それで八丸が裸踊りする時に前を隠す役をする…とかを想定して岸本先生が達麻を猫侍にしてたら、これはこれで面白いですね(笑)。子供の頃、TVアニメで見たよなー!!主人公の風大左衛門のCV野沢雅子さんで、ニャンコ先生が愛川欽也さんだったんだよなーッ。愛川欽也さんはもう亡くなったけど、「おはよう子供ショー」のロバくんとか、子供の頃はお世話になったなー…と懐かしいです(笑)。あー例の祭囃子が聞こえるようだー(ドンドンドン、チャカチャッチャ♫…遠い目)。そして達麻が八丸の前を隠して…(…って、やって欲しーッ!!)。あと、キャット空中三回転もねーッ!!
「とにかく…
運命か何か知らないけど…
その姫と会えばオレが強くなるってんなら
そりゃ大歓迎だけどさ……」(八丸)
「一度言った
…強くなるならないではない
強くあろうとするかしないかだ」(達麻)
「それ…つまりは強がってれば
いいって事だろ?」(八丸)
「誰の為に強がるかが重要だ
そして――何のために強がるか」(達麻)
「あーもう!よく分かんない問答で
またアレルギーが!!」<カキ><カキ>(八丸)
「武士は食わねど高楊枝」(達麻)
「ベー!!」(八丸)
きっと八丸は異性を意識した事がないのだろうと、僕は思います。恐らく、いろんな事に不気味なくらいに詳しいパパの庇護化にあったので、ネット環境も八丸にバレぬように巧妙にフィルタリングされていて、可愛いオネーサンがインタビューされながら次第に脱いでゆく動画とか(ケルベロスはしばらくの間、あれをドキュメンタリーだと信じておりました)、ごみ捨てで屈んだ時に隣の若奥さんの胸がチラリと見える動画など見た事ないんだろーな。ましてや八丸と同年代の女子が登場する貴重な動画なぞ!!知る由もなく!!(←コラーッ!!犯罪だぞー!!)
まだ移動式の生命維持装置も完成していなかったから通学もしてなかっただろうし、だから、横に長い二人掛けの勉強机に女子と並んで座って、丁度中間に筆箱縦に置いて「空中なし!!」で領土決めたりもしてなかった筈なので、色恋関係には全く無菌状態でしょう。きっと性徴的にも完璧に未分化で、自分で<ドドドドドドドドド!!!!!>(アメリカンバッファローの大群が突然現れて何も聞こえませーん!!)ピュッ!!なんてした事もないでしょう。そんな子にいきなり説法してもねー…と、僕は思うのであります。
達麻の言いたいことは僕は分かります。勿体ぶると言ってもいいくらいに回りくどく八丸に説いている意味すらしっかりと分かります。同じように達麻が伝えたい事が八丸に伝わらない理由もよく分かります。ABCDEFG…アルファベットをよく見ると、H・I・JKLMN…で”I”(愛)の前に”H”(エッチ)があるじゃないですか!!つまり、やっぱ…やる事やらなきゃ始まらない!!って事じゃーないでしょうか!!??(ナル×ジャンでこれ書いた時、ある方から死ぬほど叱られた記憶が蘇ってきましたがまたもや書いてしまってスマセン。人間って変われないのね…)
でも、岸本先生もお人が悪い…。先ず最初に八丸とアンちゃんを出会わせてから、「あとはお若いお二人で…」<ヒヒヒ…>と薄笑いを浮かべながら襖を開けると、そこに布団が一つに枕が並んでる…例のアレをやってからの方がお話がシンプルで良かったかと思います。そしたら、達麻だってこんなに難儀しないし、八丸だって説明ゼリフアレルギーで<カキ><カキ>なんてしなかったのにね(笑)。ま、しかし…全ては「岸本先生の思うまま」ですし、読者は巣で親鳥の運ぶ餌を口を開けて待つ雛鳥みたいなものなのよね。
それに、これはきっと岸本先生が少年少女に向けたメッセージなので、僕みたいなエッチな動画を既に一生分賞味したオッチャンはお呼びじゃないのでしょう。だから、少しくらいまどろっこしくてスピード感に欠けようが、もっとチャンバラ見たいのにー!!と思おうが、しばらく辛抱して読み込む努力が必要という事なのでしょう。達麻なんかもう50年もこんな事してるんだから、高々1ヶ月とかで僕らが投げ出しちゃーいけません。大きな船がスピードに乗る為にはそれなりに時間が必要ですよー…って事なんですよ。
続きまーす!!