サムライ8 八丸伝 第12話「誰のために、何のために」感想④
「は……は八丸くん!
ど…どうしよう…!?」(アン)
<スゥーー…>(アタ)
「アン
…見栄っ張りでダッセー嘘ついて……
ごめん……」(八丸)
「!?」(アン)
「父ちゃんをたのむ」<スッ>(八丸)
「犬ころの遠吠えはどうした?
言ってみろ」(アタ)
<ビリリ>(アン)
<ザッ><ザッ>(八丸)
「誰のために強がるかが重要だ
そして――何のために強がるか」(達麻)
(こいつの言う通りだ…
侍の体を手に入れてオレは――
自分のためだけに強がって
見栄を張るために強がって…
あの笑顔も忘れてた<スッ><スッ>
父ちゃん…今まで…ごめん)(八丸)
<ギュ>(アン)
<ズォ>「オレは
ここにいる人達を必ず護る!!」(八丸)
「それだけか?
また武神の名を出さなければハッタリも弱いぞ
見栄を張るいいチャンスだろ?」(アタ)
「そんなのはもう…
どーだっていい!!!」<ダッ>(八丸)
すごい昔の話で記憶が定かではありませんが、週刊少年ジャンプで『銀牙 -流れ星 銀-』という作品があって、その前に月刊少年ジャンプで『白い戦士ヤマト』という作品を高橋よしひろ先生が描いてたかと思います。動物が主人公の漫画で今では珍しいタイプの漫画でしたけど、これが読ませんるんですー…引き込まれる…という方がいいかな?兎に角、ズイズイと読ませる作品でしたね。それで闘犬を描いた『白い戦士ヤマト』の方だったかをアタさんの「犬ころの遠吠え」で、僕は憶ひ出しておりました。
youtu.be単行本ももってないし、資料もなくてアレですが、主人公の男の子(藤原良)がヤマトに闘犬というものを教える為に蛇(キングコブラじゃなかってっけ?)を嗾(けしか)けるシーンがあった記憶があるんです。何でも闘犬では「セリ声」(ウ〜ゥッ…っていう犬が脅しで使う唸り声)を禁止されてて、「セリ声」を発すると失格になるルール(ざっくりと調べてみましたが制限時間を設けて禁止してるみたいです)だそうです。『白い戦士ヤマト』は動物のセリフがなくてナレーションだったかなー。
子供ながらに、闘犬のルールとは、その本質に戦いに声など必要ないとする精神があると認識してました。それで相手を威嚇する為の発声を戒めていたのかな?と、今も思っています(←ちゃんと調べろーッ!!)。それで主人公の男の子がヤマトにそれを教えるのに蛇を嗾けて、如何に発声が戦いにおいて無意味かを教えてたシーンが「アタVS八丸」で蘇ってきまして、アタさんはあの時の蛇だな…と思ったのであります。「セリ声」というのもこの作品で覚えたんじゃーないかな。懐かしいなぁ…。
ま…オッチャンになってしまいましたが、僕も社会の荒波で戦いながら生きております。その中で感じるのは人間にも「セリ声」は無意味という事。行動しなきゃ!!戦いの本質ってのは動物だろうが人間だろうが変わらないのです。僕はそれを幼き日にふと触れた漫画に教えられていたんだなー…と、今になってシミジミと感じてるんだけど、『サムライ8 八丸伝』の読者の少年少女もきっと本格的に戦うようになって、この「アタVS八丸」の件を想い出すのかと思うと、目頭熱男も胸熱であります。
それで、余談ついでにもう少し…。僕は武器の類が好きな所謂、ミリオタなんですが、何で武器が好きかと申しますと、武器には不必要な部分がなくて、極限まで研ぎ澄まされているからなんです。贅肉を微塵も持たない搾り切ったフォルムが純粋に美しいと思うのです。きっと、それと同じで「セリ声」とか無用な喋りが本当の戦いには要らないのだと思います。ちなみに…それを逆手に取ったのがインディ・ジョーンズシリーズの「レイダース/失われたアーク」ですよね。初めてこれ観た時は「やられた!!」と思いました罠(笑)。
youtu.beお話がいきなりあっちの方に行ってしまって、こんなだと八丸に「そんなのはもう…どーだっていい!!!」と言われますね(笑)。でも、漫画にいろいろと教えて貰ったなー…と、こんなオッチャンになった今、僕はシミジミと思うのであります。だから、少年少女の親御さんも彼らが漫画を読んでても、そんなに無駄な事ばかりじゃなくて、彼らが将来、何かと戦わなきゃならなくなった時に心の中で「柱」となるようなものを取り込んでいるかも知れませんので何卒ご容赦下さい。
さて、紆余曲折がありましたが、八丸にも自分の「義」というものが見え始めているんですね。それと自分のいけないところにしっかりと目を向けて反省できています。何がいけなくて、何をしなければならないか?それが八丸にはちゃんと見えているから無用な喋りが影を潜めた訳です。そうなれば、これまで八丸の為に達麻が語った…あの時は意味不明な呪文でしかなかったものが、不思議にも自分の足元を照らす灯明にすら変わるのであります。「誰のために、何のために」を八丸は気付き始めているのです。
(あの笑顔も忘れてた…)
これは泣かないで強がって笑ってみせた幼き八丸の笑顔を見たフルタ博士…パパの笑顔を指しているのだと思います。あんな風にパパが微笑んだのを自分本位で暮らしてきた八丸は再び見ることができなかったのかも知れません。少なくともパパの為に意識してできなかったんじゃないかと思います。だから(父ちゃん…今まで…ごめん)なのですよね。もっとパパの気持ちを考えてパパの為に強がって…パパを安心させる為に…もっと笑ってあげればよかった…そして、その気付きが八丸の「義」を形作るのであります。
「オレはここにいる人達を必ず護る!!」
この覚悟が八丸を立たせているのです!!背筋がピンと伸びた八丸の正眼の構えが凛々しいです。侍魂はまだまだ歪ですが、物の上手は時間が解決します。大事なのはその人の芯を貫く性根であります。既に八丸の中には明確な「義」が生じていて、それが急速に「勇」を練って行く事でしょう。八丸は大いに傷付き、強烈な痛みの中で気付く事が出来たのであります。そして、その気付きが八丸という「人」を…「侍」を…「勇」を築こうとしている。今…正に八丸は「元服」を果たさんとしているのです!!
続きまーす!!(余談ばっかなーッ!!)