サムライ8 八丸伝 第17話 コツガとリュウ 感想③
「四流派のそれぞれの免許もロッカーボールも
簡単に言えば武神不動明王が残したプログラム装置だ
そのプログラムは物質の「繋ぐ」と「断つ」を
コントロールできる
侍の鍵とはモノとモノを「繋ぐ」ための縄を表し
侍魂とはモノを「断つ」ための棒を表している
プログラムは物質を形成している素粒子を繋ぐ力と…
H粒子から発生する引力をコントロールできる
我々侍はプログラムの力…接続と分離を制し…
メタモルフォーゼ(変態)を行うことができる」(達麻)
「……
くわしい事はよく分かんないけど
前に早太郎を直したのはその力って事なのか?
乗り物や鎧になったりするのも…」(八丸)
「それだけじゃない侍自身の体も同じだ
鍵を出し入れする時も他の誰かとつながる時も
斬られた体が修復し死なないのも
全てそのプログラムの力のおかげだ
八丸…お前は侍の中でも鍵の力…
つまり「繋ぐ」力が強い
なにより侍になる前から拙者を引き寄せ
キーホルダーと強いつながりを持っていて
侍になって後すぐに姫を引き寄せた
…そして敵も……
お前の作り出す引力は
やがて同じ鍵の仲間を引き寄せ地図を作る
星々が決まった星座を形造るように…」(達麻)
<キラ><キラ>(八丸)
「さっそくオレの鍵に
金剛夜叉流の免許をダウンロードして下さい!
大冒険の始まりですね!!」(八丸)
「いや…ダウンロードは
ものすごく時間がかかるのだ
だからその前に……」(達麻)
<ガクッ>(八丸)
「まずは必要なものを買いそろえるのと――
当面の旅費を確保しなくては…長旅に備えてな」(達麻)
エーッと、今話の核心部分です。侍の剣技を含む全ての道理が明かされました。僕は金剛夜叉流・黙斬りの理屈が提示されないまま物語が進んでる…アタさんがそれで無雲を真っ二つに割った…のに納得できないでいました。ましてや、達麻が八丸への説明で「侍とは何事も自分で決められる者だ」(第4話「親子ゲンカ」)としてまして、まさか全てを精神論で押し切るお積りですか?!岸本先生!!と疑心暗鬼になっておりましたので(笑)、今回このように非常に明確な回答が得られてホントに嬉しゅーございました。
侍を構成する要素は「鍵」(キーユニット)と「サイボーグの体」と「侍魂」の三つです。「鍵」は切腹してロッカーボールの承認を受けた人の成れの果てで、キーユニットの生成と同時期にキーユニットの先端(脊椎の先の尾骨の辺り)にボワっと火の玉よろしく生成されるのが「侍魂」です。僕はこれがロッカーボールの儀式における人の肉体(陽=キーユニット)と魂(陰・侍魂)の行き着く先だと考えています。純粋にロッカーボールが提供するのは「サイボーグの体」と「キーホルダー」のみだと思います。
まずモノ(物質)を構成する要素として、素粒子が存在するという事。それはリアルの物理世界でもノーベル賞のレベルで実証されていまして、物質の最小単位と考えていいのかな?専門家でもないので正直怪しい知識でしかありませんが、宇宙の成り立ちと原子の組成は非常に似ている…というか、全く同じ構造という風に考えられるようです(間違っていたらごめんなさい)。僕的には原子という宇宙を構成する星々が素粒子である…という風に理解しています。例えるなら宇宙とはマトリョーシカみたいな構成だと思います。
或いは今ある自然を科学的に成立させる為に素粒子という概念が必要なのか?はたまた、素粒子というものが存在するから宇宙の物理的な現象が説明できる…みたいな、よく分かりませんが数学の虚数みたいな存在が素粒子なのかも知れません。ホントに数式レベルの理論体系を理解してる訳ではなく情緒的、文学的なアプローチで分かった積りになってるだけなので時が経てば幼い君も…の赤っ恥に終わるかも知れませんが、素粒子の宇宙が原子であるならば、原子を構成する素粒子を固定(制御)しているのは「引力」であります。
侍の「鍵」はモノとモノを「繋ぐ」ための「紐」であり、「侍魂」とはモノとモノの繋がりを「断つ」ための「棒」を表します。ウィキペディアの不動明王像をつぶさに見ると確かに左手に「紐」(羂索)を、右手に「棒」(三鈷杵)を携えています。これが『サムライ8 八丸伝』における侍の基本形なのでしょう。そして、武神・不動明王はそれらをプログラム化してソフトウェアとして後世に伝えたのです。金剛夜叉流などの侍の流派の免許や侍の大元のロッカーボールすら不動明王の残したプログラム(装置)だったびであります。
侍はモノとモノとの繋がり(=引力)を侍魂で断ち切り、キーユニットはそこで断たれた繋がり(=引力)を修復する役割を持っているのです。それこそ侍の剣技(各流派の部式=型)であり、キーユニット(鍵)はそれらによって断たれた繋がりをコントロールする…素粒子の繋がり方を制御するコントローラーなのであります。そもそも原子を構成する物質の関わりに介入できる技術でありますから、原子すら再構成できる…ぶっちゃけ錬金術を侍が個別にオートマチックに行っているのだからとんでもないです(笑)。
僕はロッカーボールにナノマシンが大量に搭載されていて侍とキーホルダーに関与してると考えてたんですが、実はもっと高度に分子の前の原子レベルから徹底的に管理され、表層には意識すらされない深層で物質の構成から、それらを関与できる膨大なルーチンを実行するプログラム装置としてのロッカーボールを不動明王が遺したのです。そして、金剛夜叉流などの各流派はロッカーボールテクノロジーに基づく素粒子を構成する引力の斬った貼ったをコントロールするスキルとしての部式一式を体系化した訳だ。
例えば、金剛夜叉流・黙斬りは剣気の有効範囲にある素粒子の引力の解除を時限発効させる剣技です。剣気というのはこっちで勝手に考えた(少年誌的な)概念ですが、侍魂を振るう者の度量(スキル?)によって効果の及ぶ範囲が限定される冪です。修行に入ったばかりの八丸が活動を停止した門番ホルダーの外皮に刃を立てるのに苦労してましたが、何でもかんでも断ち切れる訳ではなくプログラムとしての剣技を扱う侍の個別の問題が反映されて然るべきで、無雲を真っ二つにできたのはアタさん(自性輪身割引)だからです。
侍の個別の問題…というのが、また難解ではありますが、それこそ精神性とか経験値などが影響する冪だと、僕は思います。そもそも「勇」というのも「諦めたらそこでゲームセットだよ」のスラダン的な線引き(指標)でしかありませんから、ややもすると「サイボーグの体」で標準化される侍にあっては、精神の力…つまりキーユニットや侍魂といった人間由来の要素が重要になってくるのではないでしょうか?先のアタさんの八角の回収ミッションでも「血吸・童子切高綱」(侍魂)もアタさんは持ち帰ろうとしてましたっけ。
長くなってしまったので一旦切りますけど、『サムライ8 八丸伝』ではナノマシンではなく、そもそも原子から再構成する…どちらかと言うと錬金術的な理屈で侍は成り立っているのですね。そして、それを全く意識せずにオートマチックに実行するのが、不動明王の残したプログラムであり、人間由来のキーユニットが人から引っ張ってきたイメージ力(想像力)、或いは「根性」とか「意地」なのかなー…と思います。しかし、それを動かすエネルギーが食事で摂取されているとすれば、ますます排泄が重要なるので描写が欲しいです!!←また、それかーッ!!!
続きまーす!!