サムライ8 八丸伝 第22話 アンと兄 感想⑥
「うっ…」(七志)
「ん…」(アン)
「ご…ごめんアン!
…守ってやれなくて
オ…オレは
お…お前を守るって…
約束したのに……
……」(七志)
<ハァ><ハァ>(七志)
<ハァ><ハァ>(七志)
「……」(アン)
(…謝らないで兄さん
いつもこんなに優しいのに
私はただ
側にいてくれるだけで
うれしいのに)(アン)
『次号 八丸——…大暴れ!?』と最終頁のアオリがありましたけど、よく見ると『?』が付いていましたが、表現として『?』ってどうよ?今回はどう見てもアンちゃんの覚醒ですもの(笑)。七志はアンちゃんに悪さを働こうとした糞ガキ2人の邪魔をしたんですね。七志も手傷を負ってますから、七志がその2人を一方的にボコった訳ではないでしょうに、それを痛み分けとせず年長さんを2人増員して報復しに来たようです。やっぱこういう事にならないように先の2人は少なくとも歩けないように処置するべきでしたし、もう二度と手で何かを掴めないようにす冪でした(笑)。
それ以前に相手の心を徹底的に折る必要があって、それには淀みなく恐怖を与え続けるのが効果的なんだけど、そんなの幼い七志に分かるわけないので、七志がこういう問題を相談できる大人が近くに居ればよかったのになーと悔しい気持ちが胸の中で蹲って動きません。やはり、こういう弱者をそれより少しだけ力のある弱者が搾取する社会の構造を見直す必要があると思います。警察や子供の福祉を担う公的な仕組みが存在しないというのは、社会としての知性が圧倒的に乏しいのです。これにはきっとこの社会の身分制度が関係していると思います(あるんだとすればなー)。
ま…それはこの後の描写と共に考察するとして、ここでは七志が切腹して果てる直前の(…謝らないでよ…)〜(側にいてくれるだけで…)というアンちゃんの想いについて少し…。糞ガキに木刀でうち伏せられて気絶したアンちゃんをオンブして例の不動明王のお堂に向かうんですが、七志の背中で夢うつつのアンちゃんが、あの場でこの言葉を噛み締めたのではないと、僕は考えているんですよ。この頃のアンちゃんですが、きっと小学生の低学年…10歳以下じゃないですかね。きっとその年頃の子供にこういう想いは心の中にであろうと的確に造形できない。その本質を理解していても出力できないのです。
(…謝らないで兄さん
いつもこんなに優しいのに
私はただ
側にいてくれるだけで
うれしいのに)
この想いとは兄・七志の行動を俯瞰できているんですよ。あの糞ガキ共は恐らく性的搾取を目途にアンちゃんにアクセスしてると僕は思うんですね。もしかしたら、既にアンちゃんはこの時既に汚されていたのかも知れません。だから、私が大人しくしてればあいつらは黙らせられるのに…と思ってたようでもあります。しかし、七志は到底それを看過できる筈もない…そういう2人の温度差が、まだまだ幼いアンちゃんにはこの時理解できなかった…心の中で渦巻く様々な想いを整理し咀嚼するなんて無理です。ましてや言語化なんて…もう無理過ぎて無理です(笑)。
きっとここで示されたのはアンちゃんの後悔なのだろうと思います。あの時、これを七志に伝えられていたら、もしかしたら七志は切腹なんかしなかったかも知れません。今回のアンちゃんの回想は重い蓋がのし掛かった記憶とやっとこさ向き合えるようになったから可能になった訳です。そしてあの頃、言語化できずに心の中でグルグルと行き場を見付けられずにいた想いに行き場が見つかっただけなのです。アンちゃんの過去と現在が統合されているのであります。ここに来て想い出したくなかった過去とちゃんと向き合う覚悟がアンちゃんに整ったのです。
ここはすごく良かったと思います。唐突杉という一点を除いて(笑)。何でこんないい話が描けるのに、ここに至るまでをもっと周到に準備できないのでしょうか?これはね…勿体無いですよ!!八丸を庇いアタさんの凶刃に立ち向かうところとか、その前の八丸とアンちゃんが出会ったシーンなんかで、何で…こう…上手くアナウンスしないんですかねー。それが全くなくて…ってかその前にお兄ちゃん居たの前回の最後に一行ポロっと出ただけで・す・か・ら〜!!!!<残念!!>(波田陽区風)。あー勿体無い。勿体無い(笑)。
続きまーす!!