サムライ8 八丸伝 第28話 免許皆伝 達麻 感想④
(金剛夜叉流・剣腕!!)<ドゴオオオ>(達麻)
「……すげェ…」(八丸)
(前の時と規模が…違う!)(八丸)
「もうオレに姫はいない
全盛期の半分も力も出せねーが…
この姿での戦いは稀だ」(達麻)
<バッ>「時間制限付きだが
よく見てこの先の参考にしろ」(達麻)
(こ…これで半分の力!?)(八丸)
「すご過ぎて参考になんないよ!」(八丸)
<ズズッ>
「お前はオレを超える!
オレが見たお前はこんなもんじゃない」(達麻)
<ズズズズズ>
(金剛夜叉流――――)(達麻)
(流星牙!!)<ズバ>(達麻)
「!!」(弁形)
「オレの師匠…
めちゃくちゃかっけェ…」(八丸)
「こ…こいつは…
『星洋道中膝栗毛の文献にある
横綱級ホルダー』(解析AI)
「洋犬」だ!!」(弁形)
「知ってる!!」<ブン>(弁形)
満を持しての達麻のターンです!!先ずは金剛夜叉流・剣腕で弁形(鬼若丸)を弾き飛ばします。この時、この剣技の規模を示す衝撃波が描かれています。僕は前回の感想で達麻が片腕で弁形の斬撃を止めた描写を批判しましたが、恐らくあれも達麻は剣腕を用いていたと思うんですよ。それだと弁形の刃が綻ばなかったり、達麻の踏み込みが描かれなかったり…などの解せない部分がある程度均されます。ただ、余りにも控えめな衝撃波(というかあれは単なる火花でしたが)でしたし、剣技の詠唱もありませんでしたから、弁形が不憫に思えて若干吠えたのであります(笑)。
達麻ほどの剣豪ともなれば剣技の始動に起こりのない無拍子(予備動作のない剣技の発動)は当たり前ですから、自然体からの剣腕は不自然ではありません。しかし、そうであるにしても少年誌的な見せ方としては「無」から「有」に向けて一瞬で立ち上がる描写が欲しいです。具体的には作中の剣腕発動の前に衝撃波のない同じ絵柄のコマが必要だと思います。八丸が「すげェ…」となってるコマがありますよね。そこで達麻は右腕を突き出していますが、それの一瞬前の突きに入る前の自然体です。これは剣腕の発動を見開きで抜いて、小さなコマを二つ設けてその前後を描いてもいいでしょう。
そうすれば達麻の圧倒的な強さが描けると思うんです。また、八丸が驚くのに被せて「これが無拍子の突きだ」とか説明を噛ませてもいい。そうすれば先に弁形の渾身の斬撃を造作無く受け止めた描写も何とか説明が付きます。ただし、それも相応の衝撃波…剣腕の残光とでも申しましょうか…があったらの前提がありますが…。剣腕発動後の達麻の足元に衝撃波が残っているのは技の威力を相手に伝える為に必要な描写なので、これはいいと思いました。これがあるだけで、弁形の斬撃を受けた時と威力が違う事をアピールできるし、弁形が青天で吹き飛ぶ描写にリアリティが生まれます。
この後、達麻がウミガメちゃん改め洋犬の鎧を纏い金剛夜叉流・流星牙で弁形(鬼若丸)の両腕を斬り落とすんですけど、ここのコマの流れは迫力があってとてもいいです。何をしているのかもよく分かりますし、いろんな情報が詰まっていて解読する楽しさもあります。ちなみに横綱クラス以上の鎧はモビルスーツのような作りでどこかにコクピットがあって侍の操作が反映される仕組みのようです。それとウミガメちゃんの名前が何故だか「洋犬」なんですが、それはいいとして、ウミガメちゃんの鎧も「洋犬」と称されるようです。同じように弁形の鎧も「鬼若丸」なんだと思います。
しかし、何でウミガメちゃんが「洋犬」なんだろうかと考えてみたんですが、昔…進駐軍(米軍)が上野で愛犬を呼び寄せる時に”Come Here!!”って言ったのが「カメヤ」と聞こえて、それが「アメ横」に音便した…みたいなマメ知識を聞いたことがありますが、もしかして「カメヤ→洋犬」というダジャレでしょうか?(笑)よく見ると達麻が纏った鎧が「101匹ワンチャン大行進」(ふ、ふ、古ッ!!)のダルメシアン(ブチ犬)ですので、まさに「洋犬」(笑)。…という感じでウミガメちゃんが「洋犬」なんだろうなー…と、僕は無理矢理にでも納得するつもりです(笑)。
しかも、弁形の解析AIが「星洋道中膝栗毛」なんてEXITのネタみたいな事を言ってますもんね(笑)。これは弥次さん喜多さんで有名な「東海道中膝栗毛」(十返舎一九)という滑稽本のオマージュですよね。まー渋いとこから引っ張ってきたもんですが、これって「徒歩で移動する旅」(膝栗毛)を言うんだけど、ちょっとテキトーだな(笑)。岸本先生って、もう語呂しか気にしてないんじゃないかと思う時がしばしば(笑)。達麻のウミガメちゃんも師匠の夜叉さんが大きなクジラに乗ってるから弟子として海洋生物に拘ったのかなー。ちょっと無理筋っぽくもありますけど仕方ないかな(笑)。
余談ですが、戦闘シーンに解析AIがうまく絡んでますね。僕が子供の頃楽しみにしてた「光速エスパー」でもチカという名の鳥型ロボットが主人公にいろいろ情報提供する仕掛けがありましたけど、それと同じように解析AIをうまく利用して間接的に説明する…という表現が可能になると思います。これがうまく機能すれば達麻の説明要りませんもんね(笑)。弁形なんか紋切り型のAIのしゃべりにうまくツッコミ入れてますから。キレのいいツッコミはテンポを産むし、これまで平板な説明に終始してた『サムライ8 八丸伝』では画期的な試みだと思うのでへこたれずに続けて欲しいと思います。
洋犬の鎧を纏い〜の…流星牙(←Meteor Fangs)は流れも良くてすごくよかった…ですが、やっぱ流星牙の前にもうワンクッション…二刀流の抜刀か洋犬(鎧)の全体像を入れるべきじゃないでしょうか?ここ…すごくカッコいいところだから勿体無いです。剣腕のカットもそうだったけど、ページが足りないんですよ。それは何故かと言うと…冒頭の5頁の無駄なしゃべくりにループする…ていうね(笑)。あれがなけりゃ剣腕を見開きにして、流星牙にもう一つ二つコマを増やして分かり易くレイアウトできたのにね(笑)。達麻の数少ない見せ場だけに非常に悔やまれますねー。
続きまーす!!(「E…S…Paー!!」で光速エスパーは変身したんだ…遠ひ目)