サムライ8 八丸伝 第32話 タイムリミット 感想④
『角弾頭発射まであと20秒』(解析AI…以下同じ)
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こう言う風にセリフだけ見せたらおちょくってんのかよ!?と思いますが、角弾頭発射のカウントダウンです。当初、この解析AIが弁形の鍵に装備されているものと僕は考えてましたが、弁形がそれどころではない状況でかなり落ち着いてアナウンスしていますので、鬼若丸に装備された解析AIなのかも知れません。きっと汎用の解析AIが普及しているのでしょう。それが鬼若丸に刺された義常の鍵をコントロールしているのだと思います。弁形と鬼若丸の接続は竜と三打の反撃により解除されてますからね。それでも角弾頭の発射シーケンスが停止しないのだから既に命令が鬼若丸側に投げられている筈です。
角弾頭の発射を阻止する為に義常の鍵を抜く必要がある…というのは弁形の記憶を分析した結果得られた情報なので確かだと思いますが、恐らく義常の鍵が角弾頭の最終ロックかトリガーの役目をしてるという事になろうかと思います。やはり義常が自らが使用する目的で烏枢沙魔流から角弾頭を購入した事は確定です。所有しただけで流派破門どころか300年の禁錮刑の重大な処分が課せられる角弾頭ですから、これは並々ならぬ覚悟とそれに相当する目的が存在したのでしょうが、それらの全てを弁形にまんまと乗っ取られてしまったのですね。その原因が義常の空っぽ頭だったのだから笑えます。
星位大将軍のムジンさんでも感じましたが、横綱級や親方級のキーホルダーを手に入れてもアタさんの一撃に軽くあしらわれてお終いなので、侍の強さの指標としては剣士単体の能力が重要になりそうです。例えば、アタさんは衛星クラスの天体を侍魂の一振りで真っ二つに割りましたし、達麻はそれらを大気剣で粉々に砕いてしまいました。彼らには角弾頭なんて大袈裟な兵器は必要ない訳です。もしも義常がそれと同じ境地に達するにはアタさんや達麻と同程度の技をダウンロードすればいいのですが、鍵の容量(或いはポテンシャル)や承認の可否といった何らかの理由で阻まれたのでしょう。
それでもパワーバランスを維持しないといけないので仕方なく星殺兵器に手を出さざるを得なかった…というのが実情でしょう。そこには自分の家族や故郷である星を護るという大義があったかも知れませんし、義常がバカじゃなければ弁形に全てを奪われれる事もなく今でも幸せに暮らしていたと思うので、やはり弁形が悪党だったようです。僕は弁形にもやはり弁形なりの「愛」があり三打を骨河として育て上げる理由を探し続けたのですが、どこにもそんないいお話はなくて普通に蹂躙されただけの義常が哀れでなりませんでした。しかし、強くあらねば奪われるのはどこも同じです。
肝心なのはその強さが一種類じゃーないってとこですかね。例えば義常は腕は立ったのでしょうが頭が空っぽで考える力がなかったし、そこに弁形はうまく付け込んだ訳です。そして、それに味をしめた弁形は他者から奪う事で自らの能力を拡張して行く…。弁形は自分の強さを見つけた訳です。倫理観や社会性にはすごく問題がありますが、これはこれで生き方としては正しい…というか、強さを得て奪われない自らの安寧は確保できています。ま…それも達麻という強者の存在が一瞬で揺るがしてしまったのですが、それは弁形がどうこうではなくて運が悪かったのだと思います。
暴力が罷り通る社会において強さとはアタさんや達麻のような強者によって一方的に定義されてしまいますが、リアルに目を移せばそんな事はありません。それは社会が法律によって統制されているからです。その上、社会の力を三つに分離して互いに監視し合い安定を図るシステムを人類は考え出しています。それによって「強さ」も分化している(一種類じゃーない)のであります。そう考えながらもう一度『サムライ8 八丸伝』の世界に目を移せば、侍達が何と戦わねばならないのか?が見えてくると思います。同時にこの世界に何が足りないのか?も見えてくるのではないでしょうか?
一番問題なのは八丸達が既に何の為に戦っているのか?を忘れてしまっているところにあろうかと思います。ここに至るまでに目的そのものが変節してますし、そもそもが何とわなしの金儲けみたいなノリでしたから(笑)。もし僕がこの世界の住人でこんな人達が世界の命運を賭けて戦ってるのを知ったら逃げ出したくなるでしょう(笑)。そのくらい支離滅裂です(笑)。もう少し一人一人が考えて、その中から学びを得て、自らの使命や戦う目的を実感した方がいいと思います。何でもいいから思い付きで適当に行動していても素晴らしい未来が訪れない事はこれまでのお話が如実に物語っていますものね(笑)。
さて、お話に戻りますと…角弾頭の発射までの20秒の攻防をコマ送りで実況してますけど、最初から千隊長がロケットパンチを飛ばして義常の鍵を引っこ抜きに行ってればこんなカツカツな状況にはならなかったのになーと、僕は思いました。千ちゃんはスナイパーの眼力に補助されてブラインドにある標的を知覚できるんですから!!一の矢で弁形を攻撃し、その直後に二の矢でこそっと鍵を取りに行けば詰んでたんじゃない?それにロケットパンチならトラップに巻き取られても何とか繰り出せたんじゃないですか?千ちゃんも軍荼利流なのに竜みたいな仕込みがないのもちょっと変でしたけどね。
でもホント言うと、千ちゃんが達麻の大気剣のような大技で角弾頭の発射シーケンスに入った鬼若丸を粉砕しちゃえばそれで詰みだったんですよね。…っていうか、10分もあったのに万全の状態の達麻が鬼若丸までぶっ壊せなかったのが信じれれんし、それ以前に弁形みたいな小物すらトドメを刺せなかったとか正直あり得ん!!とは思います。しかし、その前に角弾頭の発射を阻止する理由があるー〜!!??(せやろがいおじさん風)鬼若丸の中にいれば安全なんだから別に急がないでもいいし、義常の鍵なんかどうでもいから弁形を散体に追い込むのが先なんじゃーないですか!?と独り虚しく叫ぶケルベロスなのです(笑)。
サムライ8 八丸伝 第32話 タイムリミット ハチマル ケルベロス 了