サムライ8 八丸伝 第33話 相棒 感想②
「おい……アレ…!」(手下①)
「発射口が閉じていく…」(手下②)
「た…助かったぁ!」<ドサッ>(手下③)
『こちら銀河球連邦だ
弁形を捉え艦・鬼若丸を抑えた…!!
連邦の艦隊も召集済みだ
これ以上の悪あがきはよせ』(千)
「こいつ…確か特務隊の…千だ!」(手下②)
「ケッ!
遅かれ早かれ
いずれこうなると思ったぜ」(手下①)
「じゃあ俺たち逮捕か!?
助かってねェーぞ!!」(手下③)
弁形の手下と思(おぼ)しき侍達ですが、彼らにはしっかりとした自我があります。当初、僕は彼らがRPG等に登場するNPCに相当する存在ではないかと考えていました。だから鍵侍を見つけたらお決まりの喋りで斬り掛かりバトルロイヤルを盛り上げる役割を担っている程度に考えてたんですが、実はめちゃくちゃ自立していて、個別に考えて行動しています。手下の侍達はバトルで捕獲した侍と侍に付随する資産(侍魂やキーホルダー)を提供する対価として弁形からお金を貰う関係のようなのです。つまり契約によって両者の関係は成立している訳です。しかし、全くの自由意志に依るかと言うとかなり疑わしいと僕は考えています。
ところで弁形はどのようにして手下の侍達を創り出したのでしょうか?その辺の描写が一切ないので想像するしかありませんが、これにはやはりお話の流れからして弁形のキーユニットコレクションが関係しているとしか考えられません。弁形のコレクションはこれまで弁形達が喧嘩祭りの賞金を餌に侍をおびき寄せて奪って来た侍達の成れの果てと考えられます。ちなみに侍は散体するとロッカーボールに逆戻りしてキーユニットと侍魂を残します。実際、弁形はそれらのキーユニットを自分のキーユニットに無数に接続して自分の機能を拡張し、他者が習得したスキル(四流派の装)を使用していました。
しかし、散体=侍の死として、散体してしまった侍のキーユニット(鍵)にその侍の人格や記憶が残っているかというと、それだとその鍵(キーユニット )をまたロッカーボールに刺したら侍が復活してしまいそうなので、武神に見放され散体に至った場合、キーユニットの侍の人格や記憶…つまりその侍の心は消失(デリート)され鍵と侍魂が残されると考えるのが妥当かと思います。それとは逆に弁形が他者の鍵を自分の鍵に繋いで機能を拡張できたのは、侍の死によって消去されずに残されるデータも存在する事を示しているでしょう。恐らくそれは侍になった後にダウンロードしたデータではないかと僕は考えます。
侍の剣技がダウンロード可のソフトウェアであることから、免許皆伝を頂点とする上位の剣技に関してはセキュリティが手厚く施されてる筈で暗号化や印籠などのハードウェアキー(ドングル)を要求されるでしょう。だから、比較的下位と思われる各流派の「装」を弁形が達麻にひけらかしたのだと思います。それとハードウェアとしてのキーユニットを大量に自分のキーユニットに繋げば単純にメモリーやHDを増設した効果も期待できるでしょう。達麻は弁形の鍵を「免許のダウンロードすらできない貧弱な鍵」と蔑んでいましたように、侍個々に個別のパフォーマンスの違いがあるようでした。
弁形はガタイは大きかったけど、キーユニットの容量には恵まれていなかったのですね。だから、それを何とか克服しようとした弁形を僕は評価した訳です。たまたま才能に恵まれた誰かさんとは違って弁形は努力したんですから。弁形は容量不足の鍵を補う為に必死に勉強した筈です。恐らく相当なハッッキングかIT土方スキルを身につけていたと思われます。そして、徹底的にキーユニットの仕組みを調べ上げ、ロッカーボールテクノロジーの深層にもその手は及んだ事でしょう。きっと弁形の手下の侍達の創造に関してもその技術の延長線上にあるのではないかと、僕は考えています。
よくよく考えてみればロッカーボールとは人間からキーユニットと侍魂という二つのハードウェアを創出するシステムであります(正確にはホルダーをキーホルダーに昇格させるのもありますが、ややこしくなるので割愛です)。それは同時に人間(の心と魂)をソフトウェア化するという事でもある訳です。その部分を推し進めて行くと最終的に不動明王はロッカーボールを使って人間を元に侍魂を作りたかったのかな?(人間を侍魂に変換する)と僕は想像しましたが…これもややこしくなるのでここでは割愛しまーす(笑)。ま…多分、この世界では人の心(思考や記憶)のソフト化に実現してるのでしょう。
その技術で弁形は散体で残されたキーユニットに擬似的な人格をダウンロードして手下の侍達を創り出したんだと、僕は考えます。バトルロイヤルの開始直後に襲ってきたサーベルタイガー侍達(6人組だっけ?複数いて同じ外見だったので即座にNPCを疑いましたね)やガスマスクさん達の架空の人格を弁形が作り上げて自分の配下に加えて行ったんじゃーないですかね。ある意味、弁形は「神」のような存在だったんだけど、それに見合う動機がなくて何なんだーよッ!!って思っちゃうんです。この作品は万事がそういう感じで「結果」だけがあってそこに至る「理由」が希薄過ぎるんですね…。
だから弁形がこんなに凄い事をしているのに全く評価されないんです。弁形はちょっとしたマッドサイエンティストなのにね…。それが大勢の部下と大層な武器や艦を持っているのにやってる事が余りにも情けない…訳で、結局、お前は何がしたかったんだーッ!!??ってなっちゃうのです。一応、そんな弁形がバトルロイヤル編の大ボスなのにそんなだからお話が落ちないのです。それは落差がないからであります。本当は弁形には愛があって骨河を救い出した方んだよーってんならまだ良かったのに、単なる欲しがりのクズでしかありませんでしたー!!<テヘッ>っていう結末の救いのなさと来たら…。
続きまーす!!